学校事務職員は児童生徒の成長を間近で感じられる仕事
民間会社から学校事務職員に転職し、約30年が経ちました。学校事務職員を希望している方はぜひ参考にして下さい。
小中学校事務職員の雇用について
自治体によって異なりますが、学校には1~2人の事務職員がいます。
・県費職員:県から給与が支給される。教職員に関する一切の業務(給料、旅費、休暇に関する業務等)を行う。
・市費職員:非正規雇用。市から給与が支給される。主に児童生徒に関する集金事務を行う。
学校職員の主な業務
1.教職員に関する業務
給与計算、旅費計算、人事服務、勤怠管理、部活動手当、共済互助組合、福利厚生 等
2.児童生徒に関する業務
給食費、学費、修学旅行積立金等の集金と管理、社会科見学や修学旅行等の旅行会社へバス代支払 等
3.その他
各種補助金事務、PTA会計、学年会計等の予算管理執行、金融機関とのやり取り、転出入事務、購買事務、教科書事務、備品管理、修繕、就学援助、保護者来客対応 等
学校事務職人に必要なスキル・心構え・向いている人
①ほぼ一日中、PC作業をするため、ある程度PCを扱えることが必須条件です。
(Excelは、簡単な関数を扱えること、表やグラフの作成ができること。 Wordも同様、職員会議や提出書類等で使用することが多いです)
②学校には数多くの会計があります(県費、市費、給食会計、学年会計、PTA会計、各種補助金等)。
年度当初の配当金額、収入金額を、一年間を通して上手くやりくりして執行していかなければなりません。
また、児童生徒から集金して預かった学費を、責任をもって管理していかなければなりません。
いい加減にやっていると年度末の決算報告が合わなくなります。会計面に苦手な人は向いていないと思います。
③学校には様々な来校者の方が訪問されます。
保護者、業者、学校に関係する教育機関の方、地域の方々、等です。
また、給食費等の未納者へ支払督促するのも事務の仕事なので、コミュニケーション能力が必要です。
④事務職員は「学校の顔」です。
事務室は学校の窓口なので、事務職員次第で学校のイメージが決まってしまいますので「学校の顔」としての意識を持たなければなりません。
公務員への世間の目は厳しいです。
⑤基本、デスクワークのため体を動かす事が好きな方は向かないと思います。
また、先生方と違って裏方の仕事なので、目立ちたい人(??)には物足りないかもしれません。
学校事務職員の魅力・嬉しかったこと・やりがい
①事務職員という立場でありながら、学校という教育現場で仕事ができます。
学校が好き、子どもが好きな人はおススメです。
②児童生徒と接することができ、成長が間近で感じられます。
部活動や生徒会・児童会活動、生徒指導等、直接触れることができます。
③給食がとっても美味しい!お弁当を作らなくても済みます。
④季節が感じられる(入学式、春の遠足、運動会、卒業式 等)
⑤休暇制度や福利厚生が充実している。
育児休暇、家族休暇、看護休暇、介護休暇、病気休暇、産前産後休暇等があり、我が子の授業参観や、家族の通院付き添いや看護の時も休暇を取ることができます。
出産後でも辞める方はほどんどいません。
⑥先生方の仕事とは違い、残業もあまりなく、ほぼ定時で帰る事ができます。
⑦児童生徒とのかかわりが大切。事務室に遊びに来る子がいます。
ちょっと寂しそうな子もいたり、家庭環境が複雑な子もいたりします。
そんな子たちと関わりを持ち受け入れるのも、学校の職員としては、あってもいいのかなと思っています。
学校事務職員の大変なこと・苦労していること
①多数派の教員に対して、事務職員は1人または2人配置(もう1人は非正規事務職員)なため、孤立しがちです。
すぐに相談できる事務職員がいないので近隣校の事務職員に聞いています。
また、相方の事務職員との相性があるため、相性が合わない人だと気を遣います。
②仕事内容が多岐にわたるため、マルチタスクで効率よく業務をこなさなければなりません。
学校には保護者、業者、地域の方、教育関係の職員等、様々な来校者が訪問されます。
朝から電話が鳴り続けます。
児童生徒の欠席連絡や、忘れ物を届けに来た保護者への対応に追われます。
学校のために来て頂く方には、お茶を出したりしてきちんと対応しなければなりません。
夕方になると生徒指導の電話も多くなります。
大規模校だと電話も来客も多くなり、その対応だけでも相当な量になります。
その合間を縫って、本来の事務の仕事をしていかなければなりません。
③年度当初に1年間に使える予算額が配分されるので、うまくやりくりして執行していかなければなりません。
児童生徒から集金したお金を有効に利用していかなければなりません。
④本来の事務の仕事のほかにも、雑用も多いので、事務職員は「なんでも屋」です。
保護者が忘れ物を届けに来て、その忘れ物を教室に届けたりして校内を走り回ることもあります。
花の手入れ(本来は用務員の仕事ですが、事務職員もやったりすることもあります)給食の配膳もしています。
⑤事務室は、教職員や児童生徒、保護者の個人情報を聞きたくなくても耳に入ってしまう事が多いので、外部に漏らさない事が重要です。
学校事務職員は陰ながらではありますが、児童生徒や先生方のために仕事ができ、やりがいがあります。
また、実際に児童生徒と関わることが出来たり、運動会等の行事に参加することができて、他の職種の行政職員ではできないことを経験できるのが魅力です。
机上での仕事ももちろん大事ですが、学校全体を見渡し、児童生徒や先生方のためにできることを模索して実行していくことで、事務職員でも学校をより良くすることができます。
直接児童生徒に授業等で教えることはありません。
教員と違って裏方であり、陰で支える仕事ですが、児童生徒の豊かな成長を支援するため、教員が教育活動に専念できるように、これからも学校現場をサポートしていきたいです。