「レジリエンス」の意味とは？ レジリエンス力を高める9つの方法をわかりやすく解説

レジリエンスとは精神的回復力のこと

レジリエンス（Resilience）の意味を簡単に説明

レジリエンスとは、つらい状況や逆境に直面した時に、挫けずに乗り越えていく力のことです。

心理学の分野で使われ始めた言葉ですが、ビジネスや医療、教育など様々な分野で注目されています。

レジリエンスが高い人は、ストレスフルな状況でも折れずに適応し、困難を跳ね返して成長することができるのです。

一方、レジリエンスが低い人は、ちょっとしたストレスで心が折れてしまい、立ち直るのが難しくなってしまいます。

つまり、レジリエンスは「心の免疫力」や「メンタルの回復力」とも言えるでしょう。

各分野におけるレジリエンスの考え方

ビジネス

ビジネスの世界では、変化の激しい環境の中で生き残るために、レジリエンスが重要視されています。

例えば、プロジェクトの失敗や予期せぬトラブルに直面した時、レジリエンスの高いリーダーは諦めずに解決策を見出し、チームを牽引していくことができます。

看護

看護の現場では、患者さんの死や過酷な勤務など、心身ともにストレスフルな状況が多くあります。

そんな中でも質の高いケアを提供し続けるには、ナースのレジリエンスが欠かせません。

福祉

福祉の分野では、クライアントの抱える困難な問題に向き合うことが求められます。

レジリエンスが高い福祉従事者は、バーンアウトせずに、クライアントに寄り添い続けることができるでしょう。

災害

災害時には、生活環境の激変や喪失体験など、大きなストレスが襲いかかります。

そんな逆境を乗り越えて立ち上がるには、個人や地域のレジリエンスが重要になってきます。

ビジネスパーソンにレジリエンスが必要とされる理由

現代社会におけるストレスの増大

現代のビジネスパーソンは、常に高いストレスにさらされています。

グローバル化による競争の激化、AI等の技術革新、働き方改革など、ビジネス環境は目まぐるしく変化しています。

そんな中で求められるスピードや成果は年々高まる一方です。

加えて、コロナ禍によるテレワークの浸透で、仕事と私生活の境界線が曖昧になったことも、ストレス増大の一因と言えるでしょう。

過度なストレスは、メンタルヘルスの不調につながりかねません。

実際、企業の従業員のうち、なんらかのメンタルヘルスの問題を抱えている人の割合は増加傾向にあります。

このような状況の中で、ストレスに負けない強靭な心を持つこと、すなわちレジリエンスが注目を集めているのです。

個人にとってのレジリエンスの重要性

ビジネスパーソンにとって、レジリエンスは自分自身を守るための大切な力と言えるでしょう。

ストレスフルな環境の中で心を強く保ち、困難をバネに成長していくには、自分なりのレジリエンス力が必要不可欠です。

レジリエンスが高ければ、ストレスに負けることなく、自分らしく仕事に打ち込むことができます。

一方、レジリエンスが低いと、ちょっとしたストレスで心が折れてしまい、メンタルヘルスを崩してしまうかもしれません。

だからこそ、ビジネスパーソンは自分自身のメンタルを守るためにも、レジリエンス力を高めていく必要があるのです。

自分なりのストレス対処法を身につけ、困難な状況でも心を強く保つ。

そうすることで、ストレスに負けないメンタルの強さを手に入れられるはずです。

レジリエンス力が高い人の7つの特徴

特徴1. 困難な状況でも柔軟に適応できる

レジリエンス力の高い人は、どんな状況でも、柔軟に適応することができます。

困難に直面しても、めげずに粘り強く対処していきます。

環境の変化を好機と捉え、新しいことにチャレンジする勇気も持っています。

特徴2. ポジティブな思考と感情を維持できる

逆境に立ち向かうには、ポジティブな思考が不可欠です。

レジリエンス力の高い人は、つらい状況でも、希望を失わずに前を向いています。

失敗やストレスを、成長のチャンスと捉えることができるのです。

特徴3. 自己肯定感と自信を持っている

自分には乗り越える力があると信じられること。

それが、レジリエンス力の源泉です。

自己肯定感が高く、自分の強みを理解している人は、困難に負けません。

過去の成功体験を思い出し、自信を持って挑戦し続けることができるのです。

特徴4. 問題解決に向けて積極的に行動する

レジリエンス力の高い人は、受け身ではなく、能動的に問題に取り組みます。

現状を嘆くのではなく、打開策を見出そうと行動を起こすのです。

壁にぶつかっても、色々な角度から解決法を模索します。

特徴5. 他者からのサポートを上手に活用する

一人で抱え込まずに、周りの助けを借りることも大切なスキルです。

レジリエンス力の高い人は、家族や友人、同僚など、サポートしてくれる人を多く持ちます。

必要な時には、頼ることを恐れません。

適切なサポートを得ることで、困難を乗り越えていくのです。

特徴6. 失敗を恐れずチャレンジする勇気がある

失敗を恐れていては、何も始まりません。

レジリエンス力の高い人は、失敗を恐れずにチャレンジします。

たとえ失敗しても、そこから学びを得て、次に活かしていく力を持っているのです。

特徴7. ストレス対処法を身につけている

ストレスは誰にでもつきものです。

レジリエンス力の高い人は、ストレスに適切に対処するスキルを持っています。

自分なりのストレス発散法を取り入れ、心の健康を保っているのです。

質問リストでレジリエンス力をチェック

自分のレジリエンス力を知るには、以下のような質問に答えてみましょう。

• 困難に直面しても、粘り強く立ち向かっていく方だ
• ストレスを感じても、自分をコントロールできる
• 自分の強みを活かしながら、物事に取り組める
• 失敗しても、くじけずに次の挑戦ができる
• 支えてくれる家族や友人など、頼れる存在がいる
• 問題解決のために、積極的に行動を起こせる
• 過去の経験から学び、困難を乗り越えられると信じている
• ユーモアのセンスを持ち、笑顔を忘れない
• 感情をコントロールし、冷静に状況を見られる
• 他人に言われたことよりも、自分の価値観や信念を大切にしている

自分に当てはまると感じた項目が多ければ、レジリエンス力が高い傾向にあるといえます。

反対に、当てはまる項目が少なかった人は、これからレジリエンス力を高めていくことが大切です。

ただし、レジリエンスは生まれつき備わっているものではありません。

環境や経験を通して、誰でも伸ばしていくことができるスキルなのです。

レジリエンス力を高める9つのトレーニング方法

トレーニング1. ジャーナリングで自己認識を高める

ジャーナリングは、自分の感情や思考を言語化することで、自己理解を深めるのに効果的です。

つらい出来事があったとき、それを文字に書き起こしてみましょう。

心の中にあるモヤモヤが明確になり、問題の本質が見えてくるはずです。

ポジティブな出来事を書き留めるのも良いことです。

トレーニング2. 呼吸法などのストレス対処法を身につける

ストレスを感じた時、ゆっくりと深呼吸をしてみてください。

一呼吸ごとに、体の力を抜いていきます。

シンプルですが、これだけでも心が落ち着いていくのを感じられるはずです。

他にも、ヨガや瞑想、マインドフルネスなど、自分に合ったストレス対処法を見つけてみましょう。

リラックスする時間を日々の中に意識的に作ることが大切です。

トレーニング3. 人間関係を大切にし、サポートを求める

一人で抱え込まずに、周りの人にサポートを求めることも重要なスキルです。

信頼できる友人や家族、同僚など、困った時に頼れる存在を見つけておきましょう。

悩みを打ち明け、客観的なアドバイスをもらうことで、問題の糸口が見つかるかもしれません。

支え合える関係性を築いておくことは、レジリエンス力を高めることにつながります。

トレーニング4. 困難や失敗を自己成長の機会と考える

困難や失敗に直面した時、それを前向きに捉えられるかどうか。

それが、レジリエンス力を大きく左右します。

失敗を恐れず、そこから学びを得ようと考えられるようになりましょう。

どんな失敗も、自分を成長させるための糧だと思えたら、挫折を恐れずに挑戦し続けられるはずです。

ピンチをチャンスに変える発想の転換を心がけてみてください。

トレーニング5. 小さな目標を達成し、自己効力感を高める

自己効力感とは、「自分には物事を成し遂げる力がある」という信念のこと。

この自己効力感を高めることが、レジリエンス力アップにつながります。

そのためには、日々小さな目標を立てて、達成感を味わうのが効果的です。

例えば、毎朝ジョギングを続ける、新しい言語を学ぶ、資格を取得するなど。

小さな成功体験を積み重ねることで、自信がつき、前向きな気持ちになれるでしょう。

トレーニング6. ポジティブなセルフトークで自己肯定感を高める

私たちは、知らず知らずのうちに、自分に否定的なメッセージを送っています。

「私にはできない」「失敗するに決まっている」など。

このようなネガティブなセルフトークを、ポジティブなものに変えていきましょう。

「私にはできる」「うまくいかなくても大丈夫」など、自分を励ます言葉を意識的に選ぶのです。

自分を信じる気持ちを育てることで、ストレスに負けない心の免疫力がつきます。

トレーニング7. 感謝の気持ちを持ち、ポジティブ感情を増やす

感謝の気持ちを日常的に持つことは、レジリエンス力を高める上で欠かせません。

つらい時でも、今ある幸せに目を向けてみましょう。

家族や友人、仕事、健康など、当たり前だと思っていたことに改めて感謝します。

ネガティブな感情に囚われていると、視野が狭くなってしまいます。

感謝の心を持つことで、前向きな感情が増え、困難な状況でも希望を持ち続けられるでしょう。

トレーニング8. マインドフルネス瞑想を実践して自己と向き合う

マインドフルネス瞑想は、今この瞬間の自分の心と向き合う練習です。

雑念が浮かんでも、それを判断せずに受け止め、今に意識を戻していきます。

呼吸に意識を向けるだけでも構いません。

脳がリラックスし、ストレスが和らぐのを感じられるはずです。

日々の中で自分と向き合う時間を作ることで、心の安定が保てるようになります。

トレーニング9. 睡眠・食事・運動に気を配り健康を維持する

ストレスに負けない体を作るには、規則正しい生活習慣が重要です。

質の良い十分な睡眠をとり、バランスの取れた食事を心がけましょう。

適度な運動習慣を取り入れるのも効果的です。

体が健康であれば、心の回復力も高まります。

ストレス解消にもつながるでしょう。

逆に、不規則な生活を送っていると、ストレスに弱くなってしまいます。

レジリエンス力を高めるためにも、生活リズムを整えることを意識しましょう。

レジリエンスに重要な7つの能力・スキル

能力1. 自己認識：自分の感情や行動を理解する

ストレスフルな状況に直面した時、自分の心や体に何が起こっているのかを客観的に理解することが大切です。

怒りや不安、落ち込みなど、自分の感情を言語化できると、感情のコントロールがしやすくなります。

また、どのような時に不安になりやすいのか、ストレスにどう反応しがちなのかを知ることで、より良い対処法を見つけられるでしょう。

自分の特性を知り、受け入れることがレジリエンスの第一歩と言えます。

能力2. 自己効力感：自分の能力に対する信念を持つ

自己効力感とは、「自分にはできる」という自信のこと。

困難な状況でも、何とかやり遂げられるという信念を持つことが、レジリエンスを支える大きな要因となります。

過去の成功体験を思い出したり、自分の長所に目を向けたりすることで、自己効力感を高めていきましょう。

自分を信じる力は、ストレスに立ち向かう原動力になるはずです。

能力3. 感情のコントロール：ストレスや困難な状況での感情をうまく管理する力

感情は、時に私たちを支配してしまうもの。

特にストレスを感じている時は、怒りや不安に振り回されて、冷静な判断ができなくなることがあります。

そんな時こそ、深呼吸をしたり、自分の感情を言語化したりして、感情をコントロールすることが大切です。

一時的に感情を置いておいて、冷静に状況を見つめる習慣をつけましょう。

能力4. 柔軟性：状況の変化に適応し、問題解決のための新たなアプローチを試みる力

レジリエンスの高い人は、変化に適応する柔軟性を持っています。

「これまでのやり方が通用しない」と気づいたら、新しいアプローチを試みます。

視点を変えてみたり、他の人の意見を聞いてみたりと、固定概念にとらわれずに柔軟に考えられる力が重要です。

状況が変わっても、それに合わせて自分も変化していく姿勢を心がけましょう。

能力5. 回復力：挫折や失敗から立ち直り、学びを得て前進する力

人生には、うまくいかないこともたくさんあります。

大切なのは、挫折しても、そこから立ち直る力を持つこと。

失敗を恐れずに、挑戦し続ける姿勢が求められます。

たとえ思うような結果が得られなくても、そこから学びを得て、次のステップに進んでいく。

そうした回復力が、レジリエンスには欠かせません。

能力6. 楽観性：困難な状況でもポジティブな見方ができる力

レジリエンスの高い人は、どんな状況でも希望を失わない楽観性を持っています。

物事の明るい面を見つけ、ポジティブに考える力は、ストレスに負けない心を作ります。

楽観主義は、レジリエンスを高める重要な要素の一つです。

苦境に立たされても、「何かいいことがあるはず」と前を向いて歩み続けられる。

そんな楽観的なマインドセットを身につけていきましょう。

能力7. 人に頼る力：必要な時に他者からの支援を求め、活用する力

誰かに頼ることは弱さの表れではありません。

むしろ、一人で抱え込まずに、周りの支えを借りられることは、レジリエンスの大切な要素です。

信頼できる人に悩みを打ち明け、アドバイスを求める。

時には、専門家の助言を仰ぐのも良いでしょう。

サポート網を広げ、必要な時に助けを求める勇気を持つこと。

それが、回復力を高めるカギとなります。

レジリエンス力を高める3つのメリット

メリット1. ストレスに強くなり、メンタルヘルスが向上する

レジリエンス力が高まると、ストレスへの耐性がつき、心の健康を維持しやすくなります。

困難な状況でも、感情的にならずに冷静に対処できるようになるでしょう。

ネガティブな感情に振り回されることなく、自分をコントロールできる力は、メンタルヘルスの向上につながります。

ストレスに負けない強い心を持つことで、バーンアウトや鬱のリスクを下げることができるのです。

日々ストレスと上手に付き合える力は、これからの人生を送る上で欠かせないスキルと言えるでしょう。

メリット2. 困難な状況でも適応力が高まり、成長できる

レジリエンス力が高いと、変化の多い環境でも、柔軟に適応していくことができます。

予期せぬトラブルが起きても、めげずに解決策を見つけようとするでしょう。

「変化を恐れるのではなく、変化に対応する力を身につける」そんな前向きな姿勢が、パーソナルな成長を促します。

困難な経験をバネに、自分を高めていく。

そうしたレジリエンスの力があれば、どんな逆境も、自己成長のチャンスに変えられるはずです。

人生の様々な局面で、適応力の高さは大きな武器になってくれるでしょう。

メリット3. 人生の質が向上し、幸福感が増す

レジリエンス力を高めることは、人生の質を高めることにもつながります。

ストレスにうまく対処でき、困難を乗り越える自信がつけば、生きる上での安心感が生まれます。

自分には困難を跳ね返す強さがある。

そう信じられることで、人生を思い通りに生きられる感覚を持てるようになるのです。

また、レジリエンス力の高い人は、良好な人間関係を築くことができるといわれています。

ストレスの多い状況でも感情的にならず、建設的なコミュニケーションを取れるからでしょう。

周囲から信頼され、支えられている実感は、幸福感を高めてくれるはずです。

人生のクオリティを上げるためにも、レジリエンス力を磨いていくことをおすすめします。

レジリエンスをより深く理解するヒント

因子と尺度

レジリエンス力を測る尺度には、様々なものがあります。

例えば、「レジリエンススケール」は、代表的なレジリエンス尺度の一つです。

この尺度では、「意欲的活動性」「内省力」「楽観性」「人間関係構築力」などの因子が測定されます。

自分のレジリエンス力を客観的に知るために、これらの尺度を活用してみるのも一つの方法でしょう。

各因子のバランスを知ることで、自分に足りない部分を見つけ、伸ばしていくことができるはずです。

レジリエンス力は多面的な概念であり、様々な要素から成り立っています。

レジリエンスの要因

レジリエンスは、個人の特性だけでなく、環境要因にも影響されると言われています。

例えば、家族や友人からのサポート、所属するコミュニティとのつながり、経済的な安定など。

こうした環境面でのリソースが充実していると、レジリエンスを発揮しやすくなるようです。

逆に、サポート体制が乏しく、ストレスの多い環境に置かれていると、レジリエンス力が発揮されにくくなるかもしれません。

個人の力だけでなく、周囲の環境にも目を向けることが、レジリエンスを理解する上で大切なポイントとなります。

心理的安全性との関連

近年、レジリエンスと関連の深い概念として、「心理的安全性」が注目されています。

心理的安全性とは、自分の意見や感情を表現しても大丈夫だと感じられる環境のこと。

失敗してもペナルティを与えられることがなく、挑戦が奨励される風土があると、心理的安全性が高いと言えます。

こうした環境では、人はのびのびと能力を発揮でき、結果的にレジリエンス力も高まるようです。

レジリエンス力を高めるには、個人の力だけでなく、チームや組織の心理的安全性を高めることも重要だと考えられています。

安心して自分らしさを発揮できる環境づくりが、レジリエンス力を支えるカギとなるでしょう。

レジリエンスは、個人の特性から組織風土まで、多様な要因が関わる複雑な概念です。

様々な側面からアプローチすることで、より深い理解が得られるはずです。

おわりに

レジリエンスとは、ストレスや逆境に直面した時に、折れずに適応し、乗り越えていく力のことを指します。

現代社会を生きる私たちにとって、このレジリエンス力を高めることは、非常に重要なスキルと言えるでしょう。

レジリエンス力を高めるためには、自分自身と向き合い、ストレス対処法を身につけ、自己効力感を高めていくことが大切です。

また、周囲との絆を大切にし、支え合える関係性を築くことも重要なポイントとなります。

困難に直面した時こそ、その経験を自己成長のチャンスと捉え、周囲のサポートを活用しながら前を向いて進んでいく。

そうした逆境に負けない強さと、柔軟な発想こそが、レジリエンスの本質です。

本記事がレジリエンスを高めるヒントとなれば幸いです。