EQとは? EQを高める7つの習慣・トレーニングを解説
IQ(知能指数)が高いだけでは、現代社会で求められるスキルを十分に発揮することができないとの認識が広まっているためです。
EQが高い人は、自己理解が深く、他者の感情を読み取る力に長けており、良好な人間関係を築くことができます。
そのため、ビジネスの現場でも高いEQを持つ人材が求められるようになりました。
本記事では、EQとは何かについて解説するとともに、EQを高めるための7つの習慣やトレーニング方法をご紹介します。
EQについて理解を深め、実践的なスキルを身につけることで、仕事やプライベートでの人間関係の向上やメンタルヘルスの改善につなげていただければ幸いです。
- EQは、感情の識別、感情の利用、感情の理解、感情の調整の4つの要素で構成される
- 高いEQは、感情のコントロール力、ストレス対処能力、人間関係構築力などに発揮される
- ジャーナリングやマインドフルネス瞑想、アクティブリスニングなどのトレーニングでEQを高められる
EQとは何か
EQの定義と考え方
EQとは、Emotional Intelligenceの略で、日本語では「心の知能指数」や「感情知性」と訳されます。
アメリカの心理学者ダニエル・ゴールマン博士が1995年に発表した著書『EQ 〜こころの知能指数』で広く知られるようになりました。
EQは、自己の感情を理解し、他者の感情を読み取る力を指します。
感情の識別
感情の利用
感情の理解
感情の調整
EQを構成する能力
感情の識別
感情の識別「Identify」は、自分や他者の感情を正確に認識し、言葉で表現する力です。
表情や声のトーン、身体的な反応から感情を読み取ることが求められます。
感情の識別力が高い人は、自分の感情の変化に敏感で、他者の感情状態も的確に把握できるでしょう。
感情の利用
感情の利用「Use」は、感情を思考や行動に活用する力を指します。
感情を適切にコントロールし、問題解決やクリエイティビティに役立てることが重要です。
感情の利用能力が高い人は、ストレスをポジティブなエネルギーに変換し、困難な状況でも柔軟に対応できます。
感情の理解
感情の理解「Understand」は、感情がどのように生まれ、変化していくのかを理解する力です。
感情の原因や影響、複雑な感情の組み合わせなどを知ることが求められます。
感情の理解力が高い人は、自分や他者の感情の背景を深く洞察し、適切なコミュニケーションを図ることができるでしょう。
感情の調整
感情の調整「Manage」は、感情をコントロールし、望ましい方向に導く力を意味します。
衝動的な感情に流されずに、冷静さを保つことが重要です。
感情の調整能力が高い人は、ネガティブな感情を上手にマネジメントし、ストレスフルな状況でも適切な判断を下すことができます。
EQを診断する方法とは
EQを測定するための代表的な方法に、アメリカの心理学者ジョン・メイヤー博士とピーター・サロベイ博士が開発した「MSCEIT(マイヤー・サロベイ・カルーソ感情知性テスト)」があります。
MSCEITでは、感情の認知、感情の利用、感情の理解、感情の管理の4つの側面から、EQを総合的に評価します。
また、「EQ行動特性検査」と呼ばれる診断ツールも存在します。
EQに関連する行動特性を多面的に評価し、自己理解を深めるためのフィードバックが得られます。
質問に答えていくことで、自分のEQの傾向を知り、改善点を明確にすることができるでしょう。
EQが高い人と低い人の7つの違い
違い1. 感情のコントロール力
EQが高い人は、ネガティブな感情に流されることなく、冷静さを保つことができます。
ストレスフルな状況でも、感情をコントロールし、建設的な行動を取ることができるでしょう。
一方、EQが低い人は、感情のコントロールが苦手で、怒りや不安に振り回されやすい傾向があります。
衝動的な言動で、人間関係を損ねてしまうこともあるかもしれません。
違い2. 他者の感情の理解力
EQが高い人は、相手の表情や声のトーン、言葉の裏にある感情を敏感に読み取ることができます。
相手の立場に立って考え、共感的なコミュニケーションを心がけるでしょう。
対照的に、EQが低い人は、他者の感情を理解するのが難しく、自分の感情ばかりに焦点を当ててしまいがちです。
相手の気持ちを考慮せずに、一方的に自分の主張を押し通そうとする傾向があります。
違い3. 自己認識の度合い
EQが高い人は、自分の感情や行動パターンを客観的に認識しています。
自分の長所や短所、価値観や目標を深く理解し、自己成長に活かそうとするでしょう。
反対に、EQが低い人は、自己認識が乏しく、自分の感情や行動を客観視することが苦手です。
フィードバックを受け止めることが難しく、成長の機会を逃してしまうかもしれません。
違い4. 変化への適応力
EQが高い人は、変化を前向きにとらえ、柔軟に適応することができます。
新しい環境やチャレンジを楽しみ、学びの機会として活用するでしょう。
一方、EQが低い人は、変化を脅威ととらえ、抵抗感を示すことが多いです。
慣れ親しんだ方法に固執し、新しいアイデアを受け入れることが難しいかもしれません。
違い5. ストレス管理能力
EQが高い人は、ストレスに上手に対処することができます。
自分なりのストレス解消法を持ち、心身のバランスを保つことを心がけるでしょう。
対照的に、EQが低い人は、ストレスを溜め込みやすく、感情的な爆発を起こしやすい傾向があります。
ストレスに圧倒され、心身の健康を損ねてしまうこともあるかもしれません。
違い6. 人間関係構築力
EQが高い人は、他者との信頼関係を築くことが得意です。
相手の立場に立って考え、Win-Winの関係を目指すでしょう。
一方、EQが低い人は、自分の利益ばかりを優先し、他者との関係構築が苦手な傾向があります。
トラブルを引き起こしやすく、協力体制を築くことが難しいかもしれません。
違い7. コミュニケーションスタイル
EQが高い人は、感情を交えた温かみのあるコミュニケーションを心がけます。
相手の反応を見ながら、柔軟にコミュニケーションスタイルを変えることができるでしょう。
反対に、EQが低い人は、事実のみを重視し、感情を排除したコミュニケーションを取りがちです。
一方的に自分の意見を主張し、相手の反応を見ることが苦手かもしれません。
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EQが重要とされる理由
現代社会でEQが必要な理由
現代社会は、急激な変化とグローバル化が進み、多様な価値観が共存する複雑な時代です。
このような環境下では、自己認識や感情のコントロール、他者への共感といったEQのスキルが欠かせません。
AIやロボットには真似できない、人間ならではの感情的な知性が求められているのです。
また、メンタルヘルスの問題が注目される中、自分や他者の感情を適切に扱うことが重要視されています。
ストレス社会を生き抜くためには、EQを高めることが一つの鍵となるでしょう。
ビジネスシーンでEQが求められる理由
ビジネスの世界では、高いEQを持つリーダーが求められています。
部下のモチベーションを引き出し、チームを束ねるには、感情的な知性が不可欠だからです。
クライアントや取引先との交渉においても、相手の感情を読み取り、適切に対応することが求められます。
EQの高さが、ビジネスパーソンとしての成功を左右すると言っても過言ではないでしょう。
また、グローバルなビジネス環境では、多様な文化的背景を持つ人々と協働する機会が増えています。
相手の価値観や感情を理解し、尊重することが、円滑なコミュニケーションには欠かせません。
高いEQが人間関係に与える影響
高いEQを持つ人は、家族や友人、恋人との関係を良好に保つことができます。
相手の感情を敏感に察知し、適切に寄り添うことができるからです。
トラブルが発生した際にも、感情的に対立するのではなく、建設的な対話を心がけることができるでしょう。
また、高いEQは、自分自身との関係性も改善します。
自分の感情と向き合い、内面の声に耳を傾けることで、自己理解が深まっていきます。
自分の強みと弱みを受け入れ、ありのままの自分を肯定することにつながるのです。
高いEQがもたらす効果
効果1. 仕事やプライベートでの人間関係が向上する
EQが高い人は、同僚や上司、部下との良好な関係を築くことができます。
相手の感情を読み取り、適切に対応することで、信頼関係を構築できるからです。
チームワークが向上し、仕事のパフォーマンスにもプラスの影響を与えるでしょう。
プライベートでも、家族や友人との絆を深めることができます。
相手の気持ちを尊重し、思いやりのあるコミュニケーションを心がけることで、より強固な関係性を築けるはずです。
効果2. メンタルヘルスが改善される
高いEQを持つ人は、ストレス対処能力に長けています。
自分の感情を客観的に認識し、コントロールすることができるからです。
ネガティブな感情に流されることなく、冷静に問題に向き合うことができるでしょう。
また、他者からのサポートを上手に活用することもできます。
感情的な支えを得ることで、心の安定を保つことができるのです。
結果として、メンタルヘルスの改善につながり、充実した日々を送ることができるはずです。
効果3. 自己実現の可能性が広がる
EQが高い人は、自分の感情や欲求を深く理解しています。
自分の価値観や目標と向き合い、内面の声に耳を傾けることができるからです。
その結果、自分らしい生き方や働き方を見出すことができるでしょう。
また、他者との協力関係を築くことで、より大きな目標に挑戦することもできます。
一人では実現できなかった夢を、仲間と共に叶えていくことができるのです。
EQを高めることは、自己実現の可能性を広げることにもつながります。
EQを高めるための心構え
自己認識を深める重要性
EQを高めるためには、まず自分自身と向き合うことが大切です。
自分の感情や行動パターンを客観的に観察し、理解を深めていくことが重要なのです。
日記をつけたり、自分の行動を振り返ったりすることで、自己認識を高めることができるでしょう。
自分の長所と短所、価値観や目標を明確にすることで、より自分らしい生き方ができるようになります。
自己認識は、EQを高めるための土台となる重要な要素なのです。
他者の感情を理解しようとする姿勢
EQを高めるためには、他者の感情を理解しようとする姿勢が欠かせません。
相手の立場に立って考え、共感的に接することが大切です。
相手の表情や声のトーン、言葉の選び方などに注意を払い、感情の変化を読み取ることを心がけましょう。
また、相手の価値観や背景を理解しようとすることも大切です。
多様な価値観を受け入れ、尊重する姿勢が求められます。
他者の感情を理解しようとする姿勢は、円滑なコミュニケーションを可能にし、良好な関係性を築く助けになるはずです。
EQを高めるための7つの習慣とトレーニング
習慣1. 感情日記をつけて自己理解を深める
感情日記とは、主に自分の感情に焦点を当てて書く日記です。
その日に感じた喜怒哀楽を言語化し、感情の背景にある出来事や考えを振り返ることで、自己理解を深めることを目的としています。
毎日の感情を書き出すことで、自分の感情パターンを客観的に把握することができます。
ポジティブな感情もネガティブな感情も、偏りなく記録することが大切です。
感情の背景にある出来事や考えを振り返ることで、自分の心の動きを理解することができるでしょう。
ジャーナリングをしたり、継続的に感情日記をつけることで、自己理解が深まり、感情のコントロール力も高まっていきます。
習慣2. マインドフルネス瞑想で感情のコントロールを学ぶ
マインドフルネス瞑想は、今この瞬間の体験に意識を向ける練習です。
呼吸に意識を集中させたり、身体の感覚を観察したりすることで、心を落ち着けることができます。
瞑想を通じて、感情をあるがままに受け止め、とらわれずに見つめる力が養われるでしょう。
定期的にマインドフルネス瞑想を行うことで、感情のコントロール力が高まり、ストレス対処能力も向上します。
習慣3. アクティブリスニングで共感力を養う
アクティブリスニング(積極的傾聴)は、相手の話に耳を傾け、共感的に理解しようとするコミュニケーション技術です。
相手の話を最後まで聴き、内容を要約して伝え返すことで、相手の感情を受け止めることができます。
また、開かれた質問をすることで、相手の考えや気持ちを引き出すこともできるでしょう。
日常的にアクティブリスニングを実践することで、他者の感情を理解する力が養われます。
習慣4. ボディランゲージを意識してコミュニケーションをとる
言葉だけでなく、表情や身振り手振りなどのノンバーバルなコミュニケーションにも注意を払うことが大切です。
相手の表情や姿勢、視線の動きなどから、感情の変化を読み取ることができるからです。
また、自分のボディランゲージを意識的にコントロールすることで、相手に与える印象をコントロールすることもできるでしょう。
ボディランゲージを意識してコミュニケーションをとることで、相手との信頼関係を築くことができます。
習慣5. 自分のコンフォートゾーンを広げる小さな挑戦をする
コンフォートゾーンを広げることで、新しい経験や学びを得ることができます。
日常生活の中で、少しだけ勇気が必要なことにチャレンジしてみましょう。
例えば、初対面の人に自分から話しかけたり、新しい趣味に挑戦したりすることが挙げられます。
小さな成功体験を積み重ねることで、自信とレジリエンス(回復力)が高まっていくはずです。
習慣6. 感謝の気持ちを日常的に表現する習慣をつける
感謝の気持ちを言葉にすることで、ポジティブな感情が増幅されます。
家族や友人、同僚など、身近な人に日常的に感謝の気持ちを伝えましょう。
また、自分自身の長所や努力にも感謝の意識を向けることが大切です。
感謝の習慣は、人間関係の向上だけでなく、自尊心の向上にもつながります。
習慣7. 他者からのフィードバックを積極的に求める
他者からのフィードバックは、自己認識を深めるための重要な情報源です。
上司や同僚、友人など、信頼できる人に率直な意見を求めましょう。
自分の長所と短所、改善点などについて、具体的なフィードバックをもらうことが大切です。
フィードバックを受け止め、行動に活かすことで、EQの向上につなげることができるはずです。
おわりに
本記事では、EQの重要性と、それを高めるための具体的な方法について解説してきました。
EQは、自己認識、自己管理、社会的認識、関係管理の4つの要素で構成される心の知性です。
IQと並んで、現代社会で求められる重要なスキルと言えるでしょう。
高いEQを持つ人は、感情のコントロール力に優れ、他者の感情を的確に読み取ることができます。
また、ストレス対処能力が高く、良好な人間関係を築くことができるのです。
ビジネスシーンでも、プライベートでも、EQの力が発揮される場面は数多くあります。
自己認識を深め、他者の感情を理解しようとする姿勢を持つことが、EQを高めるための第一歩となるでしょう。
感情日記やマインドフルネス瞑想、アクティブリスニングなどの具体的なトレーニングを通じて、EQを向上させることができます。
小さな挑戦や感謝の習慣、フィードバックを積極的に取り入れることも大切です。
EQを高めることは、自分自身との関係性を深め、他者との絆を強めることにつながります。
仕事やプライベートでの充実した人生を送るために、ぜひEQを磨いていきましょう。
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