自社養成航海士が免許取得するまでの流れ
お読み頂きありがとうございます。
今回は第3弾、会社の貨物船実習終了後の研修についてお伝えしたいと思います。
航海士免許(海技免状と呼ばれます) を取得するための最後の段階です。
海技大学校後半の研修について
クリスマス前後の時期に会社の貨物船での実習を終えて下船すると、しばらく休暇が続きます。
2018年1〜5月(2016年入社なので、入社3年目)は、断続的に研修が入り、5月に横浜の運輸局 (国交省の支店みたいなところ) で面接試験を受けて、海技免状を取得します
ただ、この期間は毎日研修がある訳では無いので、かなりゆとりのある生活です(笑)
これは5月の国家試験の日程に合わせるように会社が研修スケジュールを組んでいるためです。
色々な研修があったのですが、以下に楽しかった研修をご紹介します!
操船シミュレーター実習
会社の研修所で操船シミュレーターの操作・実習を行います。
実習生3~4人が1チームとなり、当直士官(ぶつかりそうな船がいれば、どう避けるべきかを考え、操舵号令を発する役)、見張り員、操舵手、の役割を受け持ちます。
飛行機や車と異なり、船では航海士自らがハンドルをとるのではなく、部下に「舵を右に切れ、左に切れ」と指示を出します。
映画「タイタニック」の氷山衝突直前のシーンを見ると、見張り員が氷山発見を当直航海士に報告、航海士が「左舵いっぱい」を操舵手に指示し、エンジン全速力後進とするも間に合わず、衝突に至ります。
実際の民間船でもこれと同じような役割分担がなされているわけです。
消防訓練実習
船内で火災が発生したときの対処法を学びます。
貨物船でも、月に一度「防火操練」と呼ばれる模擬訓練があるのですが、もちろん実際に火を発生させるわけにはいきません。
そのため、人工的に火災を発生させられる施設で実際の火を目の当たりにして、訓練するわけです。
横須賀にある施設で座学を受けたのち、小型船で無人島に移動し、火事を消火する訓練を受けます。
たまに海上自衛隊特集の番組でやってることがありますが、あんな感じです。(使ってる施設は別です)
長い消火ホースを皆で持って、号令に合わせながら少しずつ前進するイメージです。
教官は海上保安庁出身の方で、大きい声を出すと褒められました笑
私は大きい声で号令をかけるのが好きなので、楽しかったです!
実習は17時で終わり、施設併設のホテルのような宿泊所で暮らすので、夕方は横須賀散歩を楽しみました。
ちなみに2月に1週間かけて行われます。
シンガポール研修
これは海技免状を取得後、LNG船に乗るにあたって、LNG船ではどんなことをやるのかを勉強します。
座学5日間、シミュレーター実習5日間で、土日は休みです。
真ん中の土日は、USS(ユニバのシンガポール版) を楽しみました。
ユニバよりも小規模で混雑していないので、午前中でアトラクション巡りが終わってしまいした (笑)
海技大学校卒業式
半年間の座学以降は練習船での実習、各種施設での実習となり、なかなか行く機会もありませんが、「大学校」である以上、操業式があります。
3月末に行われ、二年間の「学生生活」に別れを告げます。
もちろんお世話になった学生証も返納です(笑)
海技試験受験
これまで説明してきた研修を終えると、いよいよ5月に試験を受けます。
試験といっても口頭試問形式の面接です。
(筆記試験は海技大学校卒業で免除になります)
この試験では面接官1人に対して、受験生3人が質問に答えます。
今回は会社の自社養成同期3人で受けたので、とても気楽でした。
この面接官は以前外航の船長をされていて、今は面接試験官としてお勤めのようでした。
質問内容は、航海計器や交通法規など、色々と聞かれます。
受験対策本が出版されているので、出来るだけその通りに回答するようにします。
基本的に落とすための試験ではないので、皆んな受かります(笑)
(上位職の面接試験はこの限りではないようですが)
ちなみに海技免状には、1級から6級まであり、この時は3級を受験しました。
基本的に外航船の航海士の場合、1〜3級のいずれかが必要となります。
(4〜6級は国内を航行する船の航海士が必要となります)
この3級免許があると、外航船で三等航海士・二等航海士の仕事が出来ることになります。
ちなみに前回の休暇で私は2級の面接試験に合格したので、法律的には一等航海士になれることになります。
(もちろん社内要件を満たしておらず、まだまだ無理なんですけどね笑)
何はともあれ、3級免許を取得しほっとするのも束の間、まったりした5ヶ月間に終わりを告げ、晴れて次席三等航海士として、LNG船に乗船することになります。
ちなみにこの時点で2018年6月、入社3年目にして航海士デビューということになります!
次回は、この次席三等航海士としての乗船についてお伝えします!