弁護士秘書の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説
「弁護士秘書」とは
多忙な弁護士をサポート。スケジュール管理や来客対応、事務作業など幅広くこなす。
弁護士秘書は、忙しく働く弁護士のさまざまなサポートを行う仕事です。
具体的な業務内容は、郵便物やFAXの整理や管理、担当する弁護士のスケジュール管理、出張・旅券手配、メールや電話対応、事務所への来客対応、書類のファイリング、裁判所等への提出書類作成などが挙げられます。
弁護士とは異なり、特別な資格が求められる仕事ではありませんが、秘書能力や事務処理力、ビジネスマナーなどが必要とされます。
勤務先は法律事務所が中心であり、正社員のほか、派遣社員やパートとして働く人もいます。
給料や待遇は事務所の規模が大きいほど恵まれている傾向にあるようですが、全体としては400万円前後となっているようです。
未経験からこの仕事に就き、実務経験を積みながら、より専門性の高い法律事務を担う「パラリーガル」を目指すことも可能です。
「弁護士秘書」の仕事紹介
弁護士秘書の仕事内容
弁護士が働きやすいようにサポート
弁護士秘書の仕事内容は、一般的に郵便物の整理や管理、弁護士のスケジュール管理、出張・旅券手配、メールや電話対応、来客対応、ファイリング、裁判所等への提出書類作成などがあります。
たとえばファイリングにしても多忙な弁護士が扱いやすいように、また秘書が探しやすいようになど、常に弁護士が業務をスムーズに進められるように配慮して行うことが求められます。
専門知識が必要ではないので高卒の募集もありますし、女性が圧倒的多数派ですが、男性でも就ける仕事です。
パラリーガル業務も兼任する場合は、秘書業務の他に謄本などの取り寄せや契約書案の作成、判例や資料の調査、その他渉外法律事務所であれば外国語での対応、契約書の翻訳業務なども行います。
弁護士秘書になるには
一般的な常識やビジネスマナーが必要
弁護士秘書になるために、特別な国家資格や法学部卒業でなければならないといった学歴は必要ではありません。
それよりも、一般的な秘書能力、事務処理力、ビジネスマナーを身に着けているのかといった点がより重視されるため、未経験者であってもチャレンジしやすい職業です。
一方で、日常的に裁判所等との連絡なども多く、業界特有のルールや知識がないと業務が進められないため、最低限の法律知識やルールは業務を通して身に着けていくことが大切になります。
弁護士秘書の学校・学費
高卒でもチャンスがある
弁護士秘書は上述の通り、一般常識やビジネスマナーが備わっていれば特別な能力は必要ないので、事務所によっては高校を卒業してすぐ就職することも可能です。
一方で、弁護士秘書の養成講座などを提供するスクールもあるので、絶対に弁護士事務所で働きたいという希望があるのなら通った方が就職できる可能性が高まります。
このようなスクールでは実際の弁護士秘書の業務内容や業界について学び、秘書検定の学習などで秘書業務を学ぶことになります。
弁護士秘書の資格・試験の難易度
秘書技能検定を取得する人が多い
弁護士秘書を目指す人や仕事に就く人は、秘書技能検定を受ける人が多いです。
秘書検定のレベルは3級、2級、準1級、1級と分かれており、難易度の高い1級と準1級はマークシートと記述に加えて面接も試験内容に含まれます。
実務経験がない場合、まず2級までの取得を目指すことが多いでしょう。
なお、2017年の2級の合格率は56.3%でした。
一般的にはテキストをしっかり読み込んで試験に挑めば合格できる内容ですが、暗記が苦手な人には難しく感じるかもしれません。
弁護士秘書の給料・年収
一般的な事務職と同等
弁護士秘書の給料は、勤務する法律事務所の経営状況によって大きく異なりますが、一般的に企業の事務職と同じくらいの水準で、350万~450万円程度です。
日本に存在する多くの弁護士事務所や法律事務所は、規模が小さいため大企業のような福利厚生や手当などの制度には期待できない場合が多いです。
一方で、大手法律事務所や渉外法律事務所などでは、スタッフも多く制度も整っていることが多いため、一般企業同等の待遇も期待できるでしょう。
弁護士秘書の現状と将来性・今後の見通し
能力が高ければ需要は高い
近年の司法制度改革などにより、法律サービス業界での競争は激化しており、生き残りのためにはよりスピーディでクオリティの高いサービス提供が必須となっています。
弁護士がより良い法律サービスを提供できるようには、サポートするスタッフが欠かせず、能力の高い弁護士秘書が求められています。
また、未経験から弁護士秘書として働き、実務経験を積みながらより専門性の高い法律事務を担うパラリーガルとよばれる職種の業務までステップアップいくケースもあります。
秘書業務に留まらず、実務経験と専門性を高めることにより市場価値の高いキャリアを築くことも可能です。
弁護士秘書の就職先・活躍の場
弁護士事務所などに就職
弁護士秘書として働きたい場合、弁護士事務所や法律事務所で正社員・契約社員・派遣社員のいずれかの形態で働くことになります。
高卒でも目指せる職業ですが、秘書としての常識を身に着けるために秘書技能検定を取得したり、専門学校を卒業したりすることで採用をジャッジするポイントも上がります。
大手の場合は秘書業務とパラリーガル業務は分業されていますが、小さい事務所の場合はパラリーガル業務も兼任することもあるので、どちらが良いか選ぶ必要があります。
弁護士秘書の1日
繁忙期以外はゆったりしたスケジュール
弁護士秘書の仕事は、裁判が何個も重なっているような繁忙期以外は比較的ゆったりしたスケジュールで残業も少ないようです。
9:00 出社
メールチェックや担当弁護士のスケジュール確認を行います。
9:30 会議資料準備
会議に使う資料の印刷やファイリングなどを行います。
10:30 来客対応
来客されたお客様を案内しお茶出しなどをします。
11:00 ファイリング
弁護士に依頼された資料を見やすくファイリングします。
12:00 昼休憩
昼食を食べます。
13:00 出張手配
弁護士の出張に伴う航空券の手配などを行います。
15:00 会議日程調整
クライアントと担当弁護士の面談日を調整します。
17:00 担当弁護士と打ち合わせ
普段忙しい担当弁護士にまとめて予定の確認や出張の手配報告などを行います。
18:00 帰宅
仕事が終わったら帰宅します。
弁護士秘書のやりがい、楽しさ
サポーター業務が楽しい
弁護士秘書は、弁護士が業務をスムーズに行えるために配慮することが仕事であり、サポーターとしての業務にやりがいを感じられる人に向いています。
弁護士がスムーズにクライアントとの面談や、出張などが行えるように細心の注意を図りながら仕事を行うこととなり、大変なことも多いです。
仕事をしっかり行ったことにより、担当弁護士がスムーズに仕事を進めて喜んでもらえることが弁護士秘書としての仕事の楽しさにつながります。
弁護士秘書のつらいこと、大変なこと
理不尽な雑務も行う
弁護士秘書として働くにあたり、クライアントや一部の個性的な弁護士などから理不尽な対応をされることも多くあります。
また、弁護士の案件が重なり忙しい時期は自分の仕事に集中しているため、弁護士秘書にまで気を使っている余裕がなく、話しかけにくく雰囲気が悪い時もあるでしょう。
そんな理不尽な対応をされたり、雰囲気が良くなかったりする場合でも幅広い業務をこなしていかなければならないため、肉体的にも精神的にもタフさが求められます。
弁護士秘書に向いている人・適性
正確な事務能力に自信がある
弁護士秘書の仕事で裁判所への提出書類などを作成する場合、期日や表記方法など法律特有の細かなルールに従う必要があります。
クライアントの人生を左右するような内容も多いため、決してミスは許されず、迅速で正確な事務処理力が求められるので、そのような能力に自信がある人に向いています。
国内では中小規模の弁護士事務所が多く、十分な研修や教育制度などが整っていないケースが多いため、新人であっても実践を通して自ら意欲的に学んでいかなければなりません。
弁護士秘書志望動機・目指すきっかけ
困った人を助ける弁護士のサポートがしたい
弁護士の仕事は大きい案件から小さい案件までさまざまですが、裁判などで困っているクライアントからの相談が多く、そんな困った人を助ける弁護士のサポートがしたいという思いで弁護士秘書を目指します。
自ら弁護士になるのはハードルが高いですが、弁護士秘書であれば高卒でもなれる可能性もあり、比較的ハードルは低めです。
自分が表舞台で活躍したい人より、裏方として人助けのために忙しく働く弁護士のサポートがしたいという人に向いています。
弁護士秘書の雇用形態・働き方
就職する事務所により大きく異なる
弁護士秘書として働く場合、正社員・契約社員・派遣社員など、本人の希望や事務所の規模などに合わせた雇用体系で働くことになります。
国内の弁護士、法律事務所の多くは、小規模のものが多く、一般企業のような有給制度や育児休暇制度といった福利厚生制度が整っていないことが多く、働きやすいとは言い難いです。
一方で、弁護士を何人も抱える大手事務所の場合は、その他の一般企業と遜色なく、有給などさまざまな制度を使うことができます。
弁護士秘書の勤務時間・休日・生活
残業は繁忙期以外少なめ
弁護士秘書の勤務時間は、一般的に月~金曜日の平日5日、9時または9時半から17時または18時で設定されている事務所が多いようです。
法律事務はすべて弁護士が行い、秘書業務が中心の事務所ならば余程案件が重なっていない限りほとんど残業がないようです。
しかしながら、担当する手続き書類の作成が多く頻繁に残業が必要なケースなど、勤務する事務所によって大きく異なります。
休暇については、中小規模事務所の場合、人員に余裕がないため取得しにくかったり、反対に弁護士との関係も密接なため相談しやすかったりと、勤務先によってさまざまでしょう。
弁護士秘書の求人・就職状況・需要
基本的に欠員が出たら補充
国内の弁護士事務所は弁護士と弁護士秘書やパラリーガルなど合わせて10人ほどで構成されていることが多く、欠員が出たら補充されるという小規模の事務所がほとんどです。
そのため、毎年新卒採用の時期に採用があるとは限らず、求人はその時の事務所の状況次第なので、求人情報はこまめに確認する必要があります。
一方で大手事務所の場合は毎年新卒採用を積極的に行っているところもありますが、競争率は高くなりますし、小規模の事務所に比べて学歴も重視されます。
弁護士秘書の転職状況・未経験採用
転職は経験者が優遇される
弁護士事務所の業務は一般企業とは異なる点が多いので、特に人材を育成する余裕のない小規模事務所では、経験者のみを中途採用することも珍しくありません。
しかしながら、特別な資格などは必要ないため、前職で秘書職をしていた場合や、大手企業などでしっかり一般常識やビジネスマナーを身に着けたことをアピールできれば未経験でも採用される可能性もあります。
また、契約社員や派遣社員の場合は全くの未経験でも採用されることもあるようです。