ショップ店員の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説
「ショップ店員」とは
アパレル、雑貨などのショップで、商品管理から品出し、接客・販売など幅広く業務を行う。
店舗に立って、商品を管理して、お客さまに販売するのがショップ店員の仕事です。
店舗はアパレル、アクセサリー、インテリア、雑貨などさまざまなものがありますが、どのショップ店員でも仕事内容はほぼ同じです。
営業時間にもよりますが、ほとんどのお店ではシフト制が導入され、早番、遅番、中番などに分かれて勤務するため、不規則な生活となります。
ショップ店員は未経験者採用も多い職業で、求人サイトや店頭に貼ってあるポスターなどから応募するほか、ショップ店員の派遣会社に登録して働くという方法もあります。
ショップ店員の給料は、月の手取りが17万程度と、あまり良いとは言えない金額ですが、歩合制がある店舗の場合は、販売成績に応じて給料がアップしていきます。
ショップ店員はお店の運営になくてはならない存在ですが、スマホの普及にともない、お客さまの大部分はネットショップに奪われています。
外に出ずとも欲しい商品が買えて、家に届く、便利なネットショップから、お客さまをいかに実店舗に呼び寄せるかはショップ店員の腕にかかっています。
「ショップ店員」の仕事紹介
ショップ店員の仕事内容
店舗で商品を管理し、お客さまに販売する仕事
接客を通してお客さまに商品を販売する
ショップ店員の仕事は、店舗で商品を管理し、お客さまに販売することです。
店舗はアパレル、アクセサリー、インテリア、雑貨などさまざまなものがありますが、どのショップ店員でも仕事内容はほぼ同じです。
商品管理には、本社から届く商品の品出し、検品、タグつけ、陳列(おたたみ)などの業務があります。
お客さまに商品を販売するシーンでは、接客技術が大きく関わってきます。
アパレルショップなどでは1日に数点しか販売できない人もいれば、数十点売りさばくという人もいます。
また店長になると、こうした業務に加えて売り上げ管理やシフト管理、スタッフのマネジメントといった業務も入ってくるので、忙しくもやりがいのある日々を送ることができるでしょう。
売り上げノルマや目標がある
ショップ店員は、多くの場合売上にノルマや目標があり、達成するために各店舗、店員一人一人が努力しています。
お店の売り上げをアップさせる役割があり、本社とやりとりをしながら、接客や陳列などを工夫しています。
とくに正社員の場合は、店舗間の異動があったり、残業があったりしますが、その分月給制で給料も高めとなっており、売上を大きく上げることができればインセンティブがもらえることもあります。
昇給やキャリアアップもあり、がんばればがんばった分だけ評価されるため、やりがいや魅力も大きいでしょう。
関連記事ショップ店員の仕事とは? わかりやすく仕事内容を紹介
ショップ店員になるには
未経験からでも採用されやすい職種
未経験からチャレンジできるところも多い
ショップ店員の就職先は、自分の好きなブランドやテイストで選ぶことが多いため、数あるお店からどこを選ぶか、実際に足を運んでみるのもよいでしょう。
求人では、未経験者可、新人可という募集も非常に多いのが特徴で、資格や免許が求められることもなく、学歴を気にしないショップも多数あります。
転職の場合は、やはり接客販売経験があると優遇されます。
給料アップや待遇アップなども狙えるため、転職する人も多く、有名なカリスマスタッフなどになると競合ブランドからの引き抜きも珍しくありません。
派遣やアルバイトで働く人も
派遣としてショップ店員になる方法もあります。
働くお店はもちろん、期間や働き方も自由に選べるのが大きなメリットですが、アルバイトよりも時給が高いぶん、数ヵ月から数年と契約期間が定められており、長くは働けないというリスクがあります。
もちろんアルバイトでショップ店員として働くことも可能で、フリーター向けのショップ店員募集はもちろん、短時間勤務、学生やダブルワーク向けの仕事もたくさんあります。
平日のショップは朝から夕方よりも、仕事終わりの客が増える夕方以降の方が忙しいため、夜だけ働けるアルバイトは歓迎される傾向にあります。
学生でもアルバイトができるショップもあるため、興味がある場合はまずアルバイトから始めるのもよいでしょう。
ショップ店員の学校・学費
学歴が重要視されることはほとんどない
ショップ店員になる際に学歴が求められること自体があまり多くなく、高校卒業程度の学歴があれば正社員として採用されることも多いです。
大規模に展開している企業の場合は大卒の学歴が求められることもありますが、そうでない場合は高卒や短大、あるいは専門学校出身者が多い傾向にあります。
ただし将来的に本社勤務を目指す場合は、大学に進んでおいたほうが就職先の選択肢はより広がるでしょう。
また、アパレルショップ店員であれば服飾系の学校、CDショップ店員であれば音楽系の学校など、販売する商品に関連した学びがあると、採用の際にはより有利となります。
ショップ店員の資格・試験の難易度
関連資格を取得する人も少なくない
関連資格には販売士試験がある
ショップ店員になるために絶対に必要な資格はなく、採用段階で資格が問われることはまずありません。
未経験から始めた人が現場で経験を積むのが一般的で、特別な資格を持たなくても売り上げを上げることができれば問題ないでしょう。
ショップ店員に関わる資格としては「リテールマーケティング(販売士)検定試験」があり、販売に関わる唯一の公的資格となっています。
試験内容は、販売に必要な商品知識や販売技術、仕入や在庫管理、マーケティングなど、多岐に渡ります。
レベルは、1級から3級までの3つに分かれており、どの級からでも受験できます。
接客や商品の知識を身に付けることで、セールストークのスキルが上がったり、経営者の視点がわかることで、売上の上げ方や店舗全体について考えられたりするようになります。
3級であれば独学で勉強も十分可能なレベルであり、合格のための通信講座や講習会なども開かれているため、興味のある人はチャレンジしてみるのもよいでしょう。
販売する商品に関連する資格
そのほか、従事する業界や販売する商品についての資格取得を目指す人もいます。
アパレルには「ファッション販売能力検定試験」「色彩検定」、雑貨やインテリアには「カラーコーディネーター」や「インテリアコーディネーター」などの関連資格があります。
これらの資格取得は必須ではありませんが、キャリアアップや転職のためにチャレンジするという人も多いです。
ショップ店員の給料・年収
インセンティブにより給料をアップさせる
大手企業になるほど待遇は良い
ショップ店員の給料は決して多くはなく、初任給で手取り16万円前後です。
英語のスキルが必須とされるような外資系高級アパレルショップでも、未経験者の場合は20万程度といわれています。
アパレル店員は、基本的に自分が働く店(ブランド)の服を着なければならないため、購入には社割がきくものの、新人で給料が安いうちは大半の人が苦しい生活を強いられます。
しかし、個人のスキルをしっかり評価してくれる会社に入社すれば、顧客がたくさん付き、ノルマを大幅に達成することで賞与をもらうことができます。
インセンティブを得られることができれば、さらに余裕のある生活ができるでしょう。
また大手のショップになるほど待遇は良く、大手アパレルチェーンでは、女性社員の産休・育休をはじめ、復帰後の時短勤務やシフト調整などさまざまなサポートをしています。
インセンティブがある企業も多い
個人の売り上げノルマを大幅達成したショップ店員には、営業でいうインセンティブのような賞与が出るお店や会社もあります。
基本給は低めでも、自分の実力次第で給料が変わるためやりがいを感じることができるでしょう。
またインセンティブのほかにボーナスもありますが、出る企業と出ない企業があり、業績によって支払われる額に大きな差があります。
ボーナスがある場合、年に2回、月給1ヶ月分程度が一般的ですが、支払われるのは正社員のみで、アルバイトや契約社員はもらうことができません。
関連記事ショップ店員の年収・給料はどれくらい? 初任給やボーナス、統計データも解説
ショップ店員の現状と将来性・今後の見通し
ネットショップの登場で実店舗は厳しい状況が続く
ショップ店員の働く各業界では、強豪同士の争いが年々激しくなっており、人手は常に不足している状況です。
近年はネットショップの利用が増え実店舗は運営が厳しくなり、ショップ店員の働き口が減っていく傾向にあります。
しかし、なかにはショップ店員のアドバイスを聞きながら買い物をしたいという方もいるので、ファンの多くいるショップ店員の存在が今後の実店舗を支えていくでしょう。
またショップ店員は、主に若手が活躍する職業で、20代の店員が大多数です。
年齢を重ねるとほかのブランドに移ったり、店長など裏方仕事に回ったりというパターンが大半であり、さまざまな形でキャリアアップを目指していかなければ長く働くのは難しいでしょう。
ショップ店員の就職先・活躍の場
アパレル系やインテリア・雑貨系がメイン
ショップ店員の勤務先には、大きく分けてアパレル系やインテリア・雑貨系の2つがあります。
アパレル系のショップでは洋服、アクセサリー、バッグ、シューズなどの接客販売を行います。
共通する特徴としては試着があることで、その善し悪しを判断したり、お客さまに似合う商品を提案したりすることが大きな役割です。
一方で、インテリアや雑貨系のショップではディスプレイや包装に力を入れており、手先が器用であったり、個人のセンスを生かして働いたりするショップ店員が多いようです。
また、客層によりそれぞれの店員の男女比が異なることも特徴で、インテリアショップでは男性4割、女性6割ほどですが、雑貨店となると男性2割、女性8割ほどとなっています。
ショップ店員の1日
シフト制で勤務をすることがほとんど
ショップ店員の勤務先はジャンルや営業時間がさまざまですが、ほとんどのお店ではシフト制が導入され、早番、遅番、中番などに分かれて勤務します。
店員の数が少ない、また営業時間が短いお店の場合は、開店から閉店まで通しで勤務する場合もあります。
<アパレル店員の早番の1日>
関連記事ショップ店員の1日のスケジュール・勤務時間や休日についても解説
ショップ店員のやりがい、楽しさ
好きな商品に囲まれて仕事ができる
ショップ店員の一番の魅力は、さまざま商品に囲まれながら仕事ができることです。
それが自分の好きなブランドやショップならなおさらで、誰よりも早く新商品に触れることができ、毎日好きな商品に囲まれていることでセンスも向上していきます。
また、ショップの店員の場合売り上げノルマがあることが多く、どんなお店でも売り上げ目標に向かって店員同士が協力します。
努力を続けていくことで、ノルマを見事達成し表彰されれば、苦労したぶん、「今後もさらに頑張ろう!」というやりがいにもつながります。
またノルマ以外でも、値段の高い商品や、あまり人気のないマイナーな商品が自分のセールストークで売れると嬉しさも倍増するでしょう。
ショップ店員のつらいこと、大変なこと
仕事中は立ちっぱなしで、不規則な生活となる
ショップ店員の業務は基本的に立ち仕事が多く、倉庫での商品管理業務でも重い段ボールを運ぶなど肉体的にハードなことが多いです。
華やかな一面もあるものの、歳をとると転職を考える人もいるほど、体力的につらい仕事でもあるのです。
セール時期などの繁忙期には朝から晩まで仕事に追われ、休憩をとることすらままならないこともあります。
さらにシフト制の勤務であることから休みは不定期で、土日祝日が休みになるオフィス系の仕事をしている人とは予定を合わせづらいこともこの仕事の大変なところです。
また、接客では、老若男女、どんな人とでも話を弾ませてコミュニケーションをとらなければいけないので、人と接することや初対面の人が苦手な人にとってはつらいでしょう。
ショップ店員に向いている人・適性
社交的でだれとでも気軽に話せる人
ショップ店員ははじめて会う人に声をかけ、商品の説明をしたり、おすすめをしたりしなければならないので、社交的な人の方が向いているでしょう。
普通に生活をしていたら出会えないような、さまざまなお客さまと出会うことができるのは、ショップ店員の大きな魅力のひとつでもあります。
また年上の方への接客時には、しっかりとしたマナーや言葉遣いをしなければお客さまをがっかりさせてしまうこともあります。
研修を受けたり、店頭での経験を積んだりして、常に接客の力を向上させようという意欲のある人が向いています。
さらに新しいものに敏感な人は、知っている知識を接客時のコミュニケーションにも利用することができるでしょう。
関連記事ショップ店員に向いている人とは? 適性や必要な能力を紹介
ショップ店員志望動機・目指すきっかけ
一番のきっかけはそのお店が好きであること
ショップ店員を目指す人の中で一番多い志望動機は、そのお店やブランドが好きであることです。
買い物が好きで洋服や雑貨、インテリアなどが好きだと理由で、こういった人であればお客さまにも親身になったアドバイスやサポートができるでしょう。
そして自分が実際に素敵なショップ店員に出会ったことから、ショップ店員を目指す人もいます。
ショップ店員を目指す人は、そのお店やブランドが好き、ファッションやインテリア、音楽が趣味といった人ばかりであるため、単純な志望動機では他の人と差をつけることができません。
特にアパレルの場合、ブランドによって扱う服や客層は大きく異なるため、しっかりと下調べをしてからまとめることが大切です。
関連記事ショップ店員の志望動機と例文・面接で気をつけるべきことは?
ショップ店員の雇用形態・働き方
正社員、派遣社員、アルバイトなどさまざま
非正規雇用で働く人も多い
ショップ店員の中には社員で働く人もいれば、派遣社員やアルバイトといった雇用形態で働く人もいます。
正社員は店舗間での異動や、企業によってはブランド間の異動がありますが、店長に昇格すれば評価されて給料も上がり、やりがいも大きくなります。
派遣社員は年末年始、セール時期などの繁忙期などの期間限定で働くことが多く、短期間で稼ぎたい人や学生、フリーターなどに幅広く活用されています。
またアルバイトは派遣社員のように明確な雇用期間が決められていないことが多く、主に時給制で働きます。
レジ打ちなどのお金を扱う責任の大きい仕事は任されないことが多く、品出しや接客が仕事の中心です。
正社員として登用されることも
まったくの未経験から採用された場合、まずは店舗でショップ店員として経験を積みます。
アルバイトやパートだとしても、入社前の研修がしっかりと行われ、敬語や挨拶から始まり、お声掛けのタイミングや、ディスプレイ、お会計時の手順、お客さまとの間のとり方までを学びます。
アルバイトや派遣スタッフでも実力や成果を認められれば正社員への道も開けます。
社員として数年働くと店長に昇格することもでき、本社のSV(スーパーバイザー)やブランドマネージャーとなることもあります。
ショップ店員は非正規雇用から正社員になる人も非常に多いため、実力さえあれば本社へ異動して勤務することも夢ではありません。
ショップ店員の勤務時間・休日・生活
残業は少ないが土日の休みはとりづらい
ショップ店員の勤務時間は、正社員であれば8時間程度、学生アルバイトであれば4~8時間で、店舗の営業時間に合わせたシフト制が導入されています。
営業時間は10時~11時オープン、19時~21時閉店の店が多く、ショップ店員はその時間内の中で働きます。
営業時間の前後には、店の掃除や片付け・品出し・売上管理・商品整理等もあるため、営業時間の前後1時間ほどが含まれることが多いようです。
基本的にシフト制の勤務であることから、残業や休日出勤は少なく、とくにアルバイトや派遣社員はほぼ残業をすることがないでしょう。
休日に関しては週休二日制ではありますが、土日はかき入れ時でもあるので休みをとりづらく、スタッフが複数いる会社であれば交代で休日をまわしていくことになります。
ショップ店員の求人・就職状況・需要
大手のショップは毎年新卒採用を実施している
ショップ店員は特別な学歴や資格、免許などが必要ないことから、正社員、派遣社員、アルバイトなどたくさんの求人から自分の希望するものを見つけることができます。
インターネットショッピングが人気を集め、実際の店舗を閉鎖する企業も増えつつありますが、実店舗を展開する限り、ショップ店員の需要がなくなることはありません。
正社員を希望するのであれば、ハローワークやネット求人サイトで探すのが一般的で、ショッピングモールやファッションビルなどの場合は、ホームページなどに合同で求人情報を公開していることもあります。
またチェーン展開をしているような企業であれば、ほぼ毎年新卒採用をしています。
求人数は多いものの志望者も多くなるため、しっかりと対策をして臨むことが大切です。
ショップ店員の転職状況・未経験採用
接客販売の経験は優遇される
ショップ店員は求人数も多く、特別な資格も不要なことから、全く異なる業種から転職している人もいます。
未経験者も可としているショップが多いですが、やはり接客販売の経験があると優遇されます。
たとえ店員ではなくても、飲食業や小売業などで接客を経験した人は、そのままショップ店員の仕事でも生かすことができるでしょう。
また体力面だけでいえば20代の方が向いているといえますが、ブランドのターゲット層によっては30代以上の人の方が採用されやすいケースも珍しくありません。
とくにラグジュアリーブランドでは対象となる顧客の年齢層が高いことから、店員の年齢層も高めであり、店舗やブランドを選べば、年齢を重ねても転職することは十分可能です。