家政婦の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説
「家政婦」とは
お客さまから依頼を受け、お客さまに代わって掃除・料理・洗濯などのさまざまな家事を行う。
家政婦とは、おもに個人のお客さまから依頼を受けて、お客さまに変わって家事をする人のことです。
家政婦が担当する家事の業務は、掃除や片付け、料理、洗濯、買い物、留守番など、お客さまの要望に合わせて多岐にわたります。
近年は高齢化や夫婦共働きの核家族が増え、1日数時間だけ家政婦を雇いたいというニーズが増しており、需要が大きくなっています。
家政婦として働くには、家政婦紹介所や家事代行サービスを手掛ける会社に登録するのが一般的な方法です。
経験を積んで信頼を集めると、お客さまと直接契約を交わして専属で働く人もいます。
特別な資格や学歴は必要ありませんが、家事全般のスキルやお客さまと良好な関係を築ける人間性が求められます。
多くの人が1日に数時間程度の勤務をし、時給制で給料を得ていますが、住み込みの家政婦になると長時間勤務で夜間も拘束時間が発生することから、やや高めの収入が見込めます。
「家政婦」の仕事紹介
家政婦の仕事内容
お客さまに代わってさまざまな家事を担う
家政婦は昔からある職業のひとつで、お客さまから依頼を受けて、お客さまの代わりに、さまざまな家事を担う人のことをいいます。
具体的な業務内容は、家の掃除や片付け、庭の手入れ、調理や食事準備、衣類の整理、買い物やクリーニングなど所用の代行、お年寄りの話し相手、留守番など多岐にわたります。
家政婦というと、大きな家やお屋敷で、住み込みで働いている家政婦さんの姿をイメージする人も多いでしょう。
しかし現代では高齢化や夫婦共働きの核家族が増え、1日に数時間だけ家政婦を雇いたいというニーズが増えています。
お客さまのさまざまなニーズに対応する
家政婦には専門的な資格や学歴は求められませんが、お客さまの家事に関するニーズに幅広く応える力は必要です。
なかには、忙しく働く保護者代わりに子どもの世話や相手を希望するお客さまもいます。
この場合、保育や教育に関する知識や資格をもっていると、お客さまからの信頼を集めやすく、自身の経験を生かして活躍できます。
家政婦になるには
特別な学歴や資格がなくても働ける
家政婦として働くうえで、特別な学歴や資格は必要ありません。
家政婦をおもに募集するのは、民間の家政婦紹介所や家事代行サービスを手掛ける企業です。
そうした企業へ登録すると、自分に合う案件が入ったときに仕事を紹介してもらえます。
一部、正社員としてフルタイム勤務をする人もいますが、パートタイムで働く人が多いことがこの仕事の特徴です。
家事のスキルは不可欠
お金をもらってプロとして家事をするためには、家事のスキルが高いに越したことはありません。
とはいえ、主婦(夫)として長く家事を経験してきた人であればできる業務も多いですし、事前に社内研修を実施して、現場に出られるレベルまで育ててくれる会社もあります。
あとは働きはじめてからお客さまのニーズを学び、それに応えていく努力ができれば問題ありません。
より専門性や信頼度を高めるために、後述するような家事関連の資格取得を目指す人もいます。
家政婦の学校・学費
一般的な家政婦は学歴が問われない
ほとんどの場合、家政婦になるために学歴は問われません。
やる気さえあれば、誰でも家政婦を目指すことができます。
ただし、家政婦は一人暮らしの方や共働き世帯からの依頼による「留守の間の作業」を任されることがあるため、信用が強く求められる仕事です。
明るくて社交的かつ、まじめな性格の人のほうが向いている傾向にあります。
また、どんな人に対しても親しみをもって接することができるホスピタリティや、一人でしっかりと仕事をこなすことができる自律心も求められます。
家政婦の資格・試験の難易度
家事関連の資格を取得し信用を高める
家政婦になるために特別な資格は必要ありません。
ただ、収納や掃除、料理、育児に関する資格を取得していれば、業務のさまざまな場面で生かすことができます。
家政婦の仕事に関連する資格としては、以下のようなものが挙げられます。
・整理収納アドバイザー
・整理収納清掃(3S)コーディネーター
・ハウスクリーニングアドバイザー
・クリーニングインストラクター
・栄養士、管理栄養士
・調理師
・ベビーシッター
など
こうした資格を取得することで、より幅広いお客さまのニーズに対応できるようになり、信頼を集めることにつながりやすいです。
家政婦の給料・年収
パートで働く家政婦は時給制が基本
家政婦の働き方はさまざまであるため、平均年収を出すのは難しいところがあります。
多くの人はパートで働いており、その場合は通常「実働時間×時給」の給料体系です。
時給は地域や経験にもよりますが、1,200円前後からスタートするのが一般的とされています。
経験を積んで、多くのお客さまの指名を集められるようになると、時給がさらに上がっていくこともあります。
住み込みの家政婦はやや高めの収入
住み込みの家政婦の日給は20,000円~35,000円ほど、月収は50万円以上になることもあります。
実働時間が長めで、夜間にも働くことがあるため、パートの家政婦よりも給料はだいぶ高めになる傾向です。
住み込みの場合は、住居も用意してもらえるため人気がありますが、求人は少なく狭き門となっています。
福利厚生は勤務先によって事情がまったく異なるため、事前によく確認しておきましょう。
家政婦の現状と将来性・今後の見通し
家事を人に任せる時代が到来
近年、家政婦や家事代行サービスの仕事がメディアで取り上げられる機会が増えています。
こうしたなか、家政婦の仕事は「一部のお金持ちの人々が利用するサービス」から「日常的なサービス」へと、人々の意識が変化してきました。
共働き世帯が増えて「家事や身の回りのことは主婦(夫)がやるべき」という考え方も薄れており、生活のさまざまな場面でアウトソーシング化が進んでいます。
現在では「1日に数時間だけ」「仕事で忙しい日だけ」など、お客さまの多様な要望に応えられる家政婦のニーズが増しています。
家事を専門に請け負う人材の活躍の場は、さらに広がっていくものと考えられます。
家政婦の就職先・活躍の場
家政婦紹介所や家事代行サービスが一般的
家政婦は、かつては依頼主と直接契約を結んで働くのが一般的でした。
しかし近年では、家政婦の紹介所や家事代行サービスを手掛ける企業へ登録し、そこから各家庭に派遣されて仕事をスタイルが主流となっています。
家政婦紹介所や家事代行サービスでは、登録した家政婦に対して適性を調べたりさまざまな研修を行ったりして、お客さまのニーズに合う仕事をマッチングし、案件を紹介しています。
家政婦には、大きな家で住み込みで働く人から、1日に数時間あるいは自分に都合の合う日だけ働くもおり、働き方はさまざまです。
家事代行サービスの需要が拡大しているなか、以前に比べると、家政婦が気軽に働ける機会も増えています。
家政婦の1日
お客さまの要望によって動き方が異なる
家政婦の1日は、雇用形態をはじめ、勤務するお客さまの家や、お客さまの依頼内容によって大きく変わります。
ここではパートとして、複数のお客さまを掛け持ちして働く家政婦のある1日を紹介します。
家政婦のやりがい、楽しさ
家事のスキルを生かして人に喜んでもらえること
家政婦として働く一番の魅力は、人に感謝される仕事ができる点です。
主婦(夫)として家事をする場合は、家事が当たり前の作業となってしまい、家族から感謝の言葉をもらえないこともままあります。
しかし、家政婦となって家事をした場合は、毎回作業をするたびにお客さまから「ありがとう」と感謝の言葉をいただけます。
また、生活に密着した仕事のため、相手の役に立っている実感が得やすく、お客さまと親密な関係を築けることも魅力のひとつです。
自分が生活を通して見につけてきた家事やコミュニケーションのスキルを仕事として生かし、誰かの役に立てることにやりがいを感じている人が多いです。
家政婦のつらいこと、大変なこと
細かいところにまで気を遣わなくてはならない
家政婦というと、簡単な家事をするだけの楽な仕事と思う人もいるかもしれません。
しかし、お客さまのお宅でする家事は、いつも自宅で行っている家事とはさまざまな点で異なります。
まず家のつくりなどで勝手が異なりますし、何よりも「大切な家具に傷をつけてはいけない」「ミスがあってはならない」といった緊張感がつきまといます。
そして、お客さまによって依頼内容や要望、好みはさまざまであり、それらの一つひとつに丁寧に応えていかなくてはならないのが、家政婦の大変なところです。
家事は意外と力仕事も多いため、仕事で家事を繰り返すことは決して楽とはいえません。
家政婦に向いている人・適性
人のために働きたい気持ちが強い人
家政婦は、生活に密着した仕事をするため、自分のしたことがダイレクトに人の役に立つ仕事です。
そのため「人のために働きたい」「誰かの役に立ちたい」という人にぴったりの仕事といえるでしょう。
また、丁寧さが求められる作業が多いことや、お客さまのちょっとした要望を聞きだす力が求められることから、気遣いができる人に向いているといえるでしょう。
もちろん、家事そのものを苦手とせず、むしろ家事をすることが楽しいと思えるタイプの人には家政婦の適性があります。
逆に、あまりに大雑把な人や、淡々とした細かな仕事は苦痛という人は、家政婦にはあまり向いていないかもしれません。
家政婦志望動機・目指すきっかけ
家事の経験を生かして働きたい
家政婦を目指す人は、自分で家事を経験したことのある人がほとんどです。
たとえば主婦(夫)として長年自宅の家事をしていたり、親が忙しくて子どもの頃から家事をこなしていたというような人が、その経験を生かして働きたいと考えることが多いようです。
家政婦は、家事を得意にする人にとっては非常に向いている仕事といえます。
また、お客さまと直接関わる機会が多いことや、自分の仕事の成果で目の前のお客さまに喜んでもらえることに魅力を感じる人もいます。
フルタイム勤務ではなく、1日の数時間だけ働くこともできるため、主婦など自分の家事のスキルを生かしてお金にしたいと考える人が、家政婦を目指すケースもあります。
家政婦の雇用形態・働き方
直接契約か、登録して働くかのどちらかが一般的
家政婦の働き方には、大きく分けて2種類あります。
ひとつは、依頼主であるお客さまと直接契約を交わし、専属で働く方法です。
これは、住み込みで働いている家政婦などに多く、通常は1つの家だけで仕事をします。
もうひとつは、民間企業などが運営する家政婦紹介や家事代行サービスに登録する方法です。
こちらの場合、自分の希望に応じて複数のお客さまの自宅で仕事をするケースが多いですが、都合のよい曜日や時間だけ働くことができます。
現代では、家政婦を直接雇用する家は少なくなっているため、登録制で仕事をする働き方が主流です。
家政婦の勤務時間・休日・生活
勤務先や仕事内容によってまちまち
家政婦の勤務時間は、自分が担当するお客さまのニーズや、働き方などによってまったく異なります。
お客さまによって、家政婦に仕事を頼みたい曜日や時間は違うため、勤務時間も休みも不規則になりがちです。
ただし、登録制で働く家政婦の場合には、そもそも自分の希望に沿う仕事を紹介してもらえるため、ムリな働き方になることは通常ありません。
お客さまとスケジュールの都合がつかない場合は、代わりの家政婦を派遣するなど、会社が管理してシフトで働く職場が増えています。
住み込みの家政婦の場合は、基本的に毎日仕事がありますが、仕事をしていない夜間は自由に過ごすことができ、依頼主と相談して休みを取ることもできます。
家政婦の求人・就職状況・需要
家事代行サービスを手掛ける企業が増え、求人数が増加
お客さまの家事を担う家政婦や家事代行サービスは、時代を追うごとにニーズが拡大しています。
都市部を中心に、家事代行を事業として手掛ける企業が次々と立ち上がっており、求人数も増えてきています。
とくに需要があるのは、共働き家庭の日常的な家事をはじめ、一人暮らしのお年寄りの身の回りの世話、一人暮らしで家事に手が回らない人の家の管理などです。
また、今後さらに需要が伸びると考えられているのは、お年寄りのお宅でのヘルパーの仕事や、子どものいる家庭でのベビーシッターのような仕事です。
一般的な家事を担う家政婦には特別な資格は必要ありませんが、介護や保育などに関連する専門的な資格を取得しておけば、活躍の場がさらに広がるでしょう。
家政婦の転職状況・未経験採用
主婦からの転職例が多く、未経験でも挑戦できる
家政婦は、家事経験の多い主婦(夫)から転職する人が多いです。
日常で培ってきた家事経験を生かすことができること、また特別な学歴や資格が求められないことから、他の職種よりも敷居が低く、未経験でもチャレンジしやすいことが背景にあります。
「子どもの手が離れたので働きたい」「家事や育児の合間に数時間だけ働きたい」と家政婦を始める人も多いようです。
ただし、家事ができるといっても、人によってレベルはさまざまです。
「料理が得意」「掃除が得意」など、家事のなかでもここは特別に得意という分野をもっていると、転職の際にアピールしやすいでしょう。
住み込みの家政婦になるには
紹介などで直接雇用されるケースが多い
住み込みの家政婦は、かつての日本にはよく見られた存在ですが、現代では減少傾向にあるようです。
ただし、まったくいなくなったわけではなく、現在も大企業の社長や超有名芸能人などで、住み込み家政婦を雇っている人もいます。
住み込みの家政婦は、お客さまと生活を共にすることから、一般的な家政婦以上に「信用」や「人間性」が求められます。
このため、見ず知らずの人に頼むよりも紹介などで直接契約を結ぶことが多く、採用された場合には、非常によい待遇で働けることが多いです。
ごくまれに、一般的な求人情報サイトなどに住み込み家政婦の求人が出ることもありますが、採用基準は非常に高いため、家政婦としての経験やハイレベルな家事の能力が求められます。
なお、現在は生活の多様化が進んだことで、住み込みではなく、特定の時期のみ「通い」で家政婦を雇う家が増えています。
家政婦と家事代行の違い
仕事内容や役割はほぼ同じで、契約の結び方が異なる
家政婦と家事代行は、どちらもお客さまから依頼を受けて、掃除や洗濯、料理、買い物などの家事をする人のことを意味します。
どのような家事を担当するかは、お客さまのニーズによっても異なりますが、基本的な仕事内容や役割に関しての違いはないと考えておいて問題ありません。
両者のわかりやすい違いは、契約の結び方です。
家政婦の場合、お客さまから家政婦が直接依頼を受けて、個人で契約を結ぶのが一般的なスタイルです。
一方、家事代行の場合は、家事代行サービスを手掛ける企業とお客さまが契約を結び、企業から派遣されたスタッフが仕事をする形態が一般的です。
最近では、直接雇用の家政婦が減っているのに対し、家事代行サービスを手掛ける企業が増加し、そこで働く人も増えています。
雇用形態は正社員のこともありますが、パートやアルバイトなど非正規で働く人も多いです。