消防学校に入るには? 訓練はきつい? 消防官になるまでの期間は?

消防学校とは消防士として採用された人たちが教育・訓練を受けて消防官としての技能を身につけるために通うところで、基本的には寮生活となっています。

放水訓練や梯子をかけて昇り降りする訓練や消火・救命訓練、消火訓練、はしご車訓練など多岐に渡り訓練を行います。

ここでは消防学校の入り方や訓練内容、消防士の1年目などについて解説していきます。

消防学校とは?

消防学校とは?
  • 新人の消防士は消防学校で教育・訓練を受ける
  • 消防学校で学ぶこと
  • 消防学校の在学中は基本的に寮生活となる

新人の消防士は消防学校で教育・訓練を受ける

各自治体の消防官採用試験に合格し、消防士として採用されると、まずは各自治体の消防士を教育・訓練するための機関である「消防学校」で半年から1年程度の時間を過ごし、消防官としての技能を身につけていきます。

消防学校は各都道府県に1つ置かれており、(ただし、東京都には東京都消防訓練所と東京消防庁消防学校があります)原則として6ヵ月間の研修が全寮制で行われます。

そこでは基礎体力向上のためのトレーニングはもちろんのこと、消火活動訓練・心肺蘇生法・消火作業に用いる器具の取扱いなど、実践的な訓練と学習を行います。

なお、消防学校で修業する初任科生には給与と手当などが支給され、学費は無料となっています。

消防学校で学ぶこと

消防学校は全寮制で、基本的な1日の流れは以下の通りです。

起床 → 点呼と早朝トレーニング → 清掃 → 朝食 → 訓練・学習等のカリキュラム → 昼食・休憩 → 訓練・学習等のカリキュラム → 清掃 → 夕食 → 自由時間 → 消灯・就寝

東京消防庁の場合、「学生訓練棟」という施設が用意されており、放水訓練はしごをかけて昇り降りする訓練が行われます。

また、ビルや住宅街を模した訓練施設では、中層ビルや高層ビルの火災を想定した消火・救命訓練地下街のショッピング施設などで起きる火災を想定した消火訓練なども行われます。

そのほか、はしご車訓練救助訓練などがあり、1日のカリキュラムとしてはかなり充実した内容です。

消防士は現場の第一線に出て消火・救命活動を行う職業ですから、日常的なトレーニングや訓練が欠かせません。

消防学校で学ぶことはどれも大事な項目ですが、とくに体力づくりと基礎訓練は、すべての基になるという意味で重要視されています。

入学してくる人のなかには、体力に自信がなく不安を抱えている人もいるようですが、消防学校といっても映画に出てくるような鬼軍曹がいるわけではないので、それほど心配することはありません。

なお、基本的に土・日・祝日は寮から離れて自宅に戻ることが許されています。

消防学校の在学中は基本的に寮生活となる

消防学校は、ほとんどの自治体で「全寮制」となっています。

消防職員として決められたルールの下で生活することが求められ、入校直後などは、外出制限や外泊禁止といった厳しい規則が敷かれていることも珍しくありません。

食事や入浴、就寝などの時間も決められています。

ちなみに訓練中の期間であっても、各市町村から消防学校への入学・研修を命じられた消防職員として、給与・各種手当等が支給されます。

そのため、一般的な高校や大学などの学生の生活とはまったく異なるものとなりますし、使命感を持って過ごす必要があります。

決められた訓練以外の時間にも自主的にトレーニングや勉強を重ね、少しでも早く一人前になろうと努力していく姿勢が求められるでしょう。

消防学校を卒業すると、それぞれが所属する消防本部に戻って、消防士としての任務に就きます。

消防士の1年目

消防学校を卒業しても、すぐに一人前として認められるわけではありません。

新人の消防士たちは、朝は先輩たちよりも少し早めに勤務先に着き、掃除や片づけをして待ちます。

元気な挨拶とキビキビとした行動、そして素直に何でも吸収していこうという心構えが重要であることは、一般的な会社務めの新人と変わりません。

業務としては、消防士の基本である「火消し」業務と、「ポンプ車の隊員」になることが多いでしょう。

学校ではホースの扱いからはしごの昇り降り、消火、ポンプ車の構造から操作方法まですべての基本を学びますが、現場では学んだことが頭の中から飛んでしまうほどの緊張感に襲われます。

人によって差がありますが、自分自身を冷静に保って、初動からの一切を満足できるようになるまでは、半年から1年くらいかかるでしょう。

現場から帰署したあとは、報告書の作成をはじめ事務処理もいろいろとあって忙しい毎日ですが、先輩の後について励んでいけば大丈夫です。

時間のあるときは、腹筋や腕立て伏せなどの筋トレに励む署員もたくさんいます。義務づけられているわけではありませんが、新人のうちは「次に備える」という意味でも、自分を鍛え続けることが非常に大事だといえます。

先輩と一緒にトレーニングをしていくことで、上下関係とは違ったラフなコミュニケーションもとれるようになっていくはずです。

消防大学校との違いは?

消防組織には、消防学校以外に消防士が教育・訓練を受ける機関として「消防大学校」という機関が設置されています。

消防大学校とは各自治体に置かれた消防学校とは異なり、消防庁の幹部候補を養成する目的で設立された機関で、日本全国に1つのみ、東京都調布市に本部が置かれています。

これは省庁大学校の一環で、現職の消防士がさらなるキャリアアップを目指して入校する学校となっています。

消防大学校では火災・救助・警防などに関わる知識と技能を習得するための学習・訓練が行われ、年間1,200名ほどの教育訓練を行なっています。

学科は総合教育と専科教育の2部に分かれ、全寮制となっています。

また、消防大学校では実務講習も行っており、緊急消防援助隊教育科、危機管理・防災教育科に分かれて実施され、指揮隊長コース・航空隊長コース・自主防災組織育成コースなどの専門的かつ実践的なコースが設けられています。

消防学校のまとめ

消防学校は新人の消防士が実践的な訓練と学習を行うところです。「学校」とついていますが、給与と手当などが支給され、学費は無料です。

入学直後は外出制限や外泊禁止といった厳しい規則がありますが、基本的には土・日・祝日は自宅に戻ることが許可されています。

学校ではさまざまなことを学びますが、現場に出ると頭が真っ白になってしまう人も少なくありません。冷静に満足できるほどの動きが取れるようになるまで、半年から1年くらいかかると言われています。

先輩について学び、一人前の消防士になるという強い気持ちを持って取り組むことが大切です。