【2023年版】日本語教育能力検定試験の難易度・合格率についてくわしく解説

日本語教育能力検定試験は、日本語教育に従事する者が必要とされる基本的な知識やスキルを測定するための検定試験です。

この試験では、受験者が日本語教育に関する基本的な知識が備わっているかどうかや、その知識を実際の教育現場で適切に活用できるかどうかが問われます。

ここでは、日本語教育能力検定試験の概要や難易度・合格率や独学の方法などを紹介します。

日本語教育能力検定試験について

日本語教育能力検定試験とは

「日本語教育能力検定試験(JEES: Japanese Language Teaching Competency Test)」は、「公益財団法人 日本国際教育支援協会」が主催している試験です。

この試験は、日本語教師になりたい人や、すでに日本語教師として活動している人を対象にしており、日本語教育の専門家として基本的なスキルがあるかどうかを検定します。

受験資格は学歴や年齢などに制限がなく、だれでも受験が可能です。

重要なポイントは、この検定試験は国家資格や公的試験ではないものの、日本語教師としての基本的な資格として社会で広く認識されていることです。

実際、この検定試験に合格することは、日本国内の多くの日本語学校やスクールの採用条件の一環として位置づけられています。

日本語教師の職を目指す人にとって、この試験に合格することは、日本語教育分野へのステップアップや仕事の機会を広げるための鍵となります。

試験の概要

日本語教育能力検定試験は、1日で行われる3つの部分から成り立っています。

午前中に行われる試験Ⅰでは、90分間にわたり、日本語教育の実践に関連する基礎的な知識が評価されます。

昼食後には、試験ⅡとⅢが実施されます。

試験Ⅱでは、30分間の聴解問題に対応する形で、音声を聞いて回答する出題形式が採用されています。

この部分でも基礎的な知識が問われます。

試験Ⅲは120分間で、日本語教師としての実践に必要な基礎的な知識が試されます。

試験Ⅱ以外の問題は、マークシートや記述式で出題されます。

試験の範囲は大きく5つの区分に分かれており、それぞれに主要項目と基礎項目が示されています。

これには社会・文化・地域、言語と社会、言語と心理、言語と教育、言語一般が含まれています。

基礎項目が重点的に出題されるため、文法や構造から言語学、教育制度、歴史、心理学まで、幅広い知識が必要です。

詳細な試験情報は、日本語教育能力検定試験(JEES)のホームページで確認できます。

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日本語能力検定試験の難易度・受験者数・合格率

試験の難易度は?

日本語教育能力検定試験は出題範囲が非常に広範囲であるため、一定の学習量が必要です。

特に、リスニング試験が含まれていることから、リスニングに対する専用の対策も必要です。

しっかりとした事前準備を行えば、合格の可能性はだれにでも充分にあります。

日本語教師養成講座や、日本語教育能力検定試験対策講座を活用することで、効果的に学習できますが、自己学習で合格する人もいます。

自己学習の場合、市販のテキストを理解し、過去の問題を徹底的に演習するなどのアプローチが役立ちます。

十分な準備を重ねることで、試験に合格するための確かな基盤を築くことができるでしょう。

合格率は20%前後

日本語教育能力検定試験の合格率は、例年15%~30%程度を推移しています。

公益財団法人日本国際教育支援協会のホームページには、過去の日本語教育能力検定試験の結果の概要が公開されています。

令和4年度

全科目受験者7076人 合格者2182人 合格率30.8%

令和3年度

全科目受験者8269人 合格者2465人 合格率29.8%

令和2年度

全科目受験者9033人 合格者2613人 合格率28.9%

令和元年度

全科目受験者9426人 合格者2659人 合格率28.2%

平成30年度

全科目受験者6801人 合格者1937人 合格率28.4%

最近の日本語教育能力検定試験の傾向として、受験者数が増加しており、合格率が時折25%を超える年も見受けられます。

これは、日本語教師を志す人が増えており、試験がやや緩和されている可能性が考えられますが、具体的な合格基準は公表されていないため、確定的なことは言えません。

受験者の多くは、主婦/主夫や会社員、公務員、自営業者などさまざまなバックグラウンドを持っています。

すでに退職している人や非常勤の日本語教師の受験も増加しており、受験者層が多様化しています。

年代別では、20代が引き続き高い割合を占めていますが、近年では40代、50代、さらに60歳以上の受験者も増加傾向にあります。

また、受験者全体の約7割が女性であるという特徴も見られます。

検定試験を受験するのはどんな人?

日本語能力検定試験の過去の結果を見ると、会社員の20代女性が転職や新たな挑戦のために日本語教師を目指すケースや、50代以上の方が退職後の新たな人生を模索して受験する傾向が見受けられます。

20代の受験者には、会社での事務的な仕事よりも、自分の興味を追求し、好きな仕事で活躍したいという志向が多く見られます。

また、日本語教師の仕事は社会人経験を活かせることから、高齢の世代にとっても挑戦しやすい職業となっています。

実際、途上国で60代以上の人たちが自らの能力を発揮し、活気ある生活を送っている例もあります。

ただし、社会人になると大学進学が難しいため、多くの人が日本語教師養成講座450時間のコースを選び、その中で日本語教育能力検定試験に向けて勉強を進めているようです。

日本語能力検定試験の難易度・受験者数・合格率

試験の難易度は?

日本語教師としての職に就くためには法的に資格が必要とされているわけではありませんが、多くの場合、資格取得が採用条件として求められます。

令和4年度の試験合格率は30.8%であり、決して簡単な試験とは言い切れません。

また出題範囲が広いため、十分な学習が必要です。

さらに、リスニング試験があるため、それに特化した対策も必要です。

日本語能力検定試験 受験者数

日本語能力検定試験の受験者は27年度から徐々に増加傾向にありましたが、令和4年度の受験者数はやや減少し7,076人となりました。

日本語教育能力検定試験受験者数_令4

日本語能力検定試験 合格率の推移

日本語能力検定試験の合格率は、おおよそ25%前後で推移しています。令和4年度の合格率は前年度より高い30.8%となりました。

日本語教育能力検定試験合格率_令4

日本語能力検定試験 男女別受験者数

受験者数は常に女性のほうが多い傾向です。前年度と比べて男性・女性共に受験者数が若干減少し、令和4年度試験の男女別受験者数は、女性が5,188人、男性が1,866人となっています。

日本語教育能力検定試験男女別受験者数_令4

令和4年度日本語能力検定試験 年齢別受験者数

令和4年度の日本語能力検定試験年齢別受験者数は、50歳代が1,800人で最も多く、ついで、20歳代が1,537人、40歳代が1,338人となっています。

日本語教育能力検定試験年齢別受験者数_令4

令和4年度日本語能力検定試験 受験回数別受験者数

令和4年度の日本語能力検定試験の受験回数別受験者数は、初回が4,568人と最も多くなっています。続いて、2回目が1,323人、3回目が642人、4回以上が479人となっています。

日本語教育能力検定試験受験回数受験者数_令4

令和4年度日本語能力検定試験 職業別受験者数

令和4年度の職業別受験者数は、「会社員等」が2,757人と最も多くなっています。次いで、「主婦/主夫」が895人、「日本語教員(非常勤・個人教授)」が633人、「退職者」が515人となっています。

日本語教育能力検定試験職業別受験者数_令4

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令和5年度 日本語教育能力検定試験の概要

試験日 令和5年10月22日(日)
出願期間 令和5年7月3日(月)から7月31日(月)まで
試験地 北海道・東北・関東・中部・近畿・中国・九州
受験資格 受験資格に制限はありません。
試験内容 <試験Ⅰ> 90分 100点
原則として、出題範囲の区分ごとの設問により、日本語教育の実践につながる基礎的な知識を測定する。
<試験Ⅱ> 30分 40点
試験Ⅰで求められる「基礎的な知識」および試験Ⅲで求められる「基礎的な問題解決能力」について、音声を媒体とした出題形式で測定する。
<試験Ⅲ >120分 100点
原則として出題範囲の区分横断的な設問により、熟練した日本語教員の有する現場対応能力につながる基礎的な問題解決能力を測定する。
合格発表 令和5年12月22日(金)(予定)に受験者全員に文書をもって通知
合格率 30.8%(令和4年)
受験料 17,000円
詳細情報 財団法人日本国際教育支援協会 日本語教育能力検定試験

独学で日本語教師の資格は取得できる?

日本語教師を独学で目指す人はいる?

日本語教育能力検定試験への合格が第一歩に

日本では、公立学校の教員になるためには教員免許が必要ですが、日本語教師は免許がなくても仕事をすることができます。

ただし、多くの日本語学校では特定の条件を求めています。

具体的には、大学での日本語教育課程の修了や、日本語教育養成講座の修了、または日本語教育能力検定試験の合格などが採用条件として挙げられています。

そのため独学で日本語教師になるためには、日本語教育能力検定試験の合格が一つの選択肢となります。

ただし、この試験は幅広い分野にわたる出題範囲があり、文法や言語学から歴史、心理学まで多岐にわたるため、独学での合格は簡単ではありません。

市販の参考書や問題集があるものの、相当な努力が求められます。

独学で合格した人々の経験からみると、最低でも半年以上は継続した集中的な勉強が必要となります。

自身の力で幅広い知識を習得することは大変ですが、可能性は存在します。

試験の合格率は決して高くない

日本語教育能力検定試験の合格率は例年20%程度です。

これは非常に低い数字とはいえませんが、決して容易な試験ではありません。

この試験は年に一度しか行われないため、早く合格したい場合は効率的な対策が求められます。

対策講座は民間のスクールなどが開講しており、通学期間やカリキュラムの内容を比較して、自身に合ったものを選ぶことができます。

独学で進める自信がある場合は、本試験直前に行われる単発の講座を受講するという選択も考えられます。

こうした対策をとることで、自己学習の補完が可能となります。

適切な対策を講じることで、合格への道が開けるでしょう。

独学のメリット・デメリット

メリット

独学の最大のメリットは、日本語教師になるためにかかる時間や費用を最小限に抑えられることです。

大学に通うことは簡単なことではありません。

日本語教師養成講座420時間コースも、一般的には受講料が最低50万円程度かかり、学習期間も半年から1年かかることが一般的です。

一方で、独学の場合は自身の頑張り次第で、勉強を始めた年に日本語教育能力検定に一発合格することも可能です。

自分のペースで学ぶことができ、計画的に勉強を進める自信があれば、独学で合格することは十分に可能です。

デメリット

独学で日本語教師を目指す際のデメリットは、時間や費用がかかることが挙げられますが、それ以上に「実践力が身につきにくい」という点がポイントです。

日本語教育能力検定に合格しても、実際の現場で生徒を指導する力が自動的に身につくわけではありません。

一方で、日本語教師養成講座では、座学だけでなく模擬授業も経験でき、実践的なスキルを身につける機会が多くあります。

本気で日本語教師を目指す場合、420時間の養成講座に通学することがベストとされています。

実際の授業経験や指導スキルの向上を重視する企業や学校では、日本語教師養成講座の修了生が優先的に採用されることが一般的です。

総合的なスキル向上を図りたい場合、独学だけでなく、日本語教師養成講座を利用して実践力を養うことが賢明と言えるでしょう。

日本語教育能力検定試験のまとめ

日本語教育能力検定試験では、言語学や心理学、教育学などの幅広い分野にわたる知識が含まれ、これらを統合的に理解し応用する力が求められます。

合格率は例年20%程度であり、比較的低い水準とされています。

この試験は年に一度しか実施されず、幅広い出題範囲と難易度が特徴であるため、合格には十分な準備と努力が必要です。

独学で合格することも可能ですが、多くの人は対策講座などを利用し効率的に勉強しています。