不動産鑑定士の求人・就職状況・就職先選びのポイント

不動産鑑定士の就職先にはどんなところがある?

不動産鑑定士の就職先は、不動産業界に属する企業と、金融業界に属する企業の2種類に大別できます。

不動産業界の企業としては、不動産鑑定事務所をはじめとして、一般の不動産会社や不動産管理会社などが挙げられます。

ただ、鑑定事務所は大小さまざまな規模のところが就職先となり得る一方、それ以外の不動産会社については、不動産鑑定士の求人があるのは社内に鑑定部門をもつ大手企業に限定されます。

金融業界の就職先は、メガバンクの担保評価部門、信託銀行の信託部門、「REIT」と呼ばれる不動産投資信託を取り扱う証券会社、監査法人などです。

また、富裕層向けに資産運用のアドバイスを行う、コンサルティング企業に勤める鑑定士も一定数います。

不動産鑑定士の勤務先と仕事内容の違い

不動産鑑定士の求人の状況

資格を登録するまでの求人状況

不動産鑑定士は、資格試験に合格しただけでは働くことはできず、不動産鑑定士事務所などで約2年間の実務修習を積まなければなりません。

しかし、見習いである実務修習生に対して、ゼロから仕事の方法を指導することは、事務所側にとって負担が重いため、受け入れ先は決して多くはありません。

また、待遇面などの条件も厳しいうえ、年齢制限も28歳~30歳くらいまでとかなり絞られていることが一般的です。

人によっては、不動産鑑定事務所に直談判しないと就職先が見つからないケースもあるようです。

資格を登録した後の求人状況

実務修習を終え、資格を登録できるようになった後については、不動産鑑定事務所だけでなく、上述のとおりさまざまな業界から求人があります。

とくに近年は、国際会計基準を適用するために、保有する不動産を時価評価してほしいという企業が増えていることもあって、就職先としては不動産業界よりも金融業界のほうが勢いがあります。

不動産鑑定士の需要は広がりを見せており、自分のスキルや意欲次第で、業務内容も待遇面も自由に選択することができるでしょう。

不動産鑑定士の就職先の選び方

手掛けたい業務内容で選ぶ

不動産鑑定士の手掛けられる仕事は幅広くありますので、まずは自身がやりたい仕事、身につけたいスキルを優先して就職先を選ぶという方法が考えられます。

鑑定評価業務だけを集中的に手掛けたい場合、あるいは将来的な独立開業を考えている場合は、不動産鑑定事務所に就職することがおすすめです。

鑑定評価業務だけでなく、建物の管理方法や運営方法など、不動産全般について学びたい場合は、大手不動産会社の鑑定部門や信託銀行などが望ましいでしょう。

また、鑑定評価よりも、むしろ不動産を有効活用する方法や収益を最大化する方法など、投資対象としての不動産に魅力・将来性を感じる人は、コンサルティング業界の企業が向いています。

自身のスキルレベルで選ぶ

不動産鑑定士は、給与などの待遇面が実力に反映されやすい職業であるため、自身の保有スキルに合わせて就職先を選ぶ方法も考えられるでしょう。

実務未経験の場合は、鑑定事務所や鑑定会社しか選ぶことはできませんが、その後のキャリアについては自分次第です。

鑑定スキルを磨いてメガバンクの担保評価部門で働くこともできますし、会計知識を身につければ監査法人で企業会計に携わることもできます。

もしも自分の事務処理スキルに自信があり、ビジネスの現場で通用するだけの英語力があれば、外資系企業で活躍することもできるでしょう。

不動産鑑定士のなかには、転職を経てゴールドマン・サックスなどの有名外資系金融機関に勤め、世界を股にかけて大金を稼いでいる人もいます。

ただ、自分の実務経験やスキルレベル以上の企業を選んでしまうと、まったく仕事がまわらないという可能性もあります。

企業の知名度や収入面に惹かれて、背伸びしすぎないようにすることが大切です。

不動産鑑定士の志望動機・面接

不動産鑑定士は、かつては鑑定評価業務を中心として、不動産業界で働く人が大半でした。

しかし、近年はその不動産知識を金融分野や会計分野に生かす事例が増えており、就職先も業務内容も幅広くなっています。

このため、不動産鑑定士の志望動機を考える際には、まず「どんな業務を行いたいか」を念頭に置いて、そこから各業界・各企業を目指す理由を個別に練るという手順を踏むべきです。

また、活躍の場が広くなっているということは、それだけキャリアが多様化しているということでもあり、面接時には、まず間違いなく将来のビジョンについて問われることになるでしょう。

キャリアアップのために職場を転々としたり、独立開業する人も少なくありませんが、早期の離職は雇用する側にとっては大きなリスクです。

面接の場においては、長期間にわたって腰を据えて働く意思があることを示したほうがよいでしょう。

不動産鑑定士の志望動機と例文・面接で気をつけるべきことは?

就職先はどのように探したらいい?

一般的な就職サイトや転職エージェント、ハローワークなどでは、不動産鑑定士の求人情報はそれほど多く出ていません。

また、あっても経験者採用がほとんどであり、実務修習生を対象とした募集はほぼありません。

実務未経験から就職先を探す場合の方法は、おおまかには、不動産鑑定協会のHPから探す、月刊不動産鑑定の求人情報欄から探す、予備校の主催する就職説明会に参加する、の3つが挙げられます。

不動産鑑定協会のHP

3つのなかで最も一般的なのは、日本不動産鑑定士協会連合会のHPにある「求人・求職」のページから探す方法です。

日本不動産鑑定士協会連合会 ホームページ

不動産鑑定士を束ねる母体だけあって、求人情報はかなり豊富にあり、実務経験のない資格未登録者から、キャリアアップを目指す転職者を対象としたものまで幅広い募集が掲載されています。

また、近年は働き方が多様化している影響もあって、雇用形態は正社員だけに限らず、パート・アルバイトなどの「補助者」としての募集もあります。

月刊不動産鑑定の求人情報欄

住宅新報社が毎月20日に発行している月刊不動産鑑定という雑誌にも、不動産鑑定士の求人情報が多数記載されています。

一般の書店には流通しておらず、半年間または1年間の定期購読でしか入手できないのは難点ですが、不動産鑑定協会とは違った求人も多く掲載されています。

一風変わったものでは、東京都の保有財産を管理する公務員としての採用情報が掲載されていることもあります。

予備校の就職説明会

就職説明会では、基本的に新たに試験に合格した実務未経験の人を対象に、実務修習生としての就職先をまとめて紹介してもらうことが可能です。

各企業の担当者から直接話を聞くことができる点は、ほかの方法にはない大きなメリットといえるでしょう。

なお、説明会は、毎年論文式試験の合格が発表される10月頃に開催されますが、参加できるのはTACまたはLECの大手予備校受講生だけです。

予備校に在籍していない人については、上記2つの方法で探すか、あるいは都道府県庁などに備え付けてある業者名簿を頼りに、各鑑定事務所に直接問い合わせてみることが必要です。