国立大学 人文社会科学部 社会科学科の口コミ

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社会科学科を目指した理由

多くの人がそうであるように、自分もまた進路選択にあたってはこれと言った確固たる意志とか将来のビジョンが固まっていた訳ではありません。

何となく…と言ってしまえばそれまでですけど、強いて理由を挙げれば、新聞を読んだりニュースを見ることに人より少しだけ関心があったからでしょうか。

社会科学科で学んだこと・役に立っていること

私は政治思想史を専攻しました。

「社会科学科」と言うほどですから、文系学問の社会科学的な領域、つまり法学政治学経済学統計学社会学…etcのおおよそ全領域が1つの学科にまとめられているわけです。

当然在学4年の課程で自身の専攻を絞りこんでいくのですが、最初の2年間は「広く、浅く」これら全領域の基礎的知識を学習させられます。

これっぽっちも興味の抱けない分野であれど問答無用で必修単位に指定されているのがつらいところです。

私には「これを学んでこういう未来を歩むぞ!」といった明瞭なビジョンがないのですが、とにかく義務的にさまざまな分野を教養的に学習したことで、これだ!と思える分野、政治思想史にブチ当たることができました。結果論ですが…。

「役に立っている」ということでは、とにかく好き嫌い問わず、種々の分野の基礎知識を学習させられたことで、たとえ自分自身が理解しきれない・興味の持てない範疇の知識や考え方であっても、それを無意味なものとか不要なものだとは思わなくなったのはとても大きな収穫かなと思います。

一見無関係な情報や知識同士を結びつける・結びつけようと試みる能力は本当に尊く、役に立つものです。

もう少し具体的、かつ政治思想史という分野に沿った話ですと、思想史は文献読解がマストだから、語学力(他言語読解力)がメキメキ伸びたこと。

あとは思考を組み立てるプロセスを絶えず意識する癖がつきました。論理学の入門書なんかは今でも生活の節々で実用性を発揮してくれます。

社会科学科の雰囲気

当校では大規模学科の部類で、一学年に200人超が在籍していました。

男女比は女学生が僅かに上回る程度でほぼ互角。

ウェイウェイからオタク、ぼっち、ゴーイングマイウェイな変人まで、雑多な人種がそれぞれ思い思いに過ごしていました。

「出欠カードや試験情報のやり取りは?!ぼっちでは生き延びられないのでは」、至極全うなツッコミが入りそうですけど、今時珍しい放任主義な先生が多かったです(教務課も然り)。

つまり出欠を取らない(建前上取っていても実際には成績に反映させない)、学生に発言やディベートを強要しない、稀に先生の方が授業に現れない、など。

もちろん、ディベート!グループワーク!プレゼンテーション!ガツガツやってく先生や授業も設置されていましたが、行きたい人たちが自らの意思でそういう雰囲気を選択していた感じです。

全体としては本当に自由、悪く言えば締まりのない学科でした。

それと、これだけ放任主義でありながら、不思議なことに授業中に内輪でバカ騒ぎするタイプの人種はほぼ見当たりませんでした。

誇れる美徳のような、それ自体が学科全体に漂う倦怠感を端的に表してるような…。

社会科学科の楽しかったところ

入学当初はぼっちで不登校(下宿先のアパートで1日中ゴロゴロする生活を送っていました)、専攻を定めゼミに所属して以来は、良い同期と恩師に恵まれそれなりに楽しく過ごしていました。

飲酒して、読書会して、『朝まで生テ○ビ』さながら議論もどきのヤジ大会を開いて、研究室で先生と学生たちとで夜な夜な映画を見て…。

面白かったです。

社会科学科のつらかった・大変だったところ

とにかく専攻分岐までの教養課程がひたすら苦痛でした。

「面白くない」授業を無理矢理取らされるのが本当に不愉快でした。

挙げ句不登校になったくらいです。

思い返せば、未熟な一学部生風情が面白い・つまらないの超絶身勝手な指標を振り回して学問領域を選別するなど傲慢も甚だしい奴だなぁという感じですけど、それでももう一度教養課程をやれと言われたらやっぱりきっとまた不登校になるでしょうね。

裏を返せば、それくらい後に続く専攻に対する打ち込み甲斐が結果見出だせたのですが。

社会科学科の卒業後の就職先・進路

私は他大学の院に進学しました(現在在学中)。

専攻は変わらず、政治思想史です。

周囲の同期を11分割(笑)すると、公務員と民間就職が4:5。

残りの2が進学といったところでしょうか。

志ある有能な人では、海外大学に長期留学で再入学するなんてパターンもありました。

司法試験は、学科のカリキュラムでは網羅しきれない(法学部ではないので)ため、独学または予備校通いで予備試験に挑むか他大法科大学院に進学するかの二択になります。

民間は、これは学科全体の特色というわけではなさそうですが、自分の周囲に限るとマスコミへの就職が目立ちました。

卒業後の所感・メッセージ

大学入学より以前に、大学以降の「学問」について精確に具体的にイメージを膨らませる作業は、現行の教育制度下にあって、多くの人にとって極めて困難を伴う作業です。

また、そんなことをする義務もないと思います(それができる人は本当に図抜けた知能や学際的センスを持っている、もしくはそれを可能たらしめる素晴らしい環境に身を置いているということです。迷わず高みを目指して欲しいです)。

大学は、「大学以降の学問」が何たるかを私たちに知らせる機会と環境を提供してくれます。

私にとって、それは結構な苦痛を伴うものでしたけれど、この「教養課程」を楽しもうが嫌々こなそうが、全力で取り組もうが全力で手を抜こうが、きっと良い専攻に巡り会えると思います(手を抜きすぎて専攻課程に進めないのは駄目ですよw)。

仮に専攻の選択に失敗して後悔しても、もう一度新しい専攻を探せば良いだけです。

それだけの懐の深さとユルさ(敢えて自由とは言いません)がこの学科にはありました。