ライブハウスの制作部は裏方の裏方! 安全性と正確性が重要

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ライブハウスは音楽が好きな方にとって、とても興味深い仕事ではないでしょうか。

自分の好きなアーティストが出演していたり、MVのロケ地に使われたり、TV番組の特番やラジオの公開収録の会場として使われることもあるため「ライブハウスで働きたい」という声も多いです。

ライブハウスは営業部・制作部・企画部に分かれており、業務内容が大きく異なります。

営業部はイベント主催者(イベンター・プロモーター・オーガナイザー)とスケジュール調整、使用料の見積もりと提案、使用する機材の確認など外部との窓口としての役割を果たします。

制作部は会場のステージ周りに関する設備管理を主に行っています。

イベントの開催が決まってから特にやることが多い部署です。

開催前〜当日まで使用する機材の確認やステージ設営と撤去、開演時の会場管理に関わる業務を行います。

企画部はライブハウスが主催するイベントを行う場合に存在する部署です。

自社イベントとして企画立案やイベント内容の肉付け、告知に伴うフライヤーや動画作成・SNS発信など広報としての役割も果たします。

別のイベント会社が主催で会場を借すだけの場合(通称:箱貸し)は、ライブハウスではなく主催者が告知業務を行います。

今回はライブハウスの制作部について詳しく解説します。

ライブハウス制作部の業務内容

主に会場の機材や設備・備品の管理を行っています。

機材とは、会場がもつ音響機材(スピーカー、DI、DJ機材など)・照明機材・楽器のスタンド(ギターやキーボード)・電源ケーブル・音響関係のケーブルなどのライブイベントに関わる機材を指します。

会場下見や打ち合わせに来た主催者から「この機材を借りたい」「この機材ありますか?」と聞かれるときがあるので、営業部から確認の連絡が来たり、制作部が下見に同席していればその場で回答します。

設備はステージそのものに関わるもの全てを指します。

ステージの広さ、照明を吊るす「トラス」の長さや上げれる高さ、ステージ脇や会場内の壁コンセントの電源の位置や対応電圧・系統図。

制作部はこれらの数字を全て把握しておく必要があります。

誤った情報を伝えてしまうと最悪の場合、イベント当日に予定していた設営ができなくて大事故になりかねません。

備品はステージ周りで使う消耗品や設営に使う道具です。

箱馬(はこうま)やカーペット、黒幕、仮設ステージになる台、連結トラスなど、これらの備品数も正確な数でお伝えする必要があります。

機材・設備・備品は日頃から点検や故障していれば修理を行うので、自身で管理を徹底するとともに社内でも情報共有しておくことが重要です。

もともと貸し出す予定だった機材が故障していたり、不足していた場合はコチラで手配する場合もあるので迅速に対応しましょう。

イベント開催当日の業務

イベント当日は稼働時間が長いです。

朝イチは、ライブハウスの裏口(搬入口)の解錠、主催者から事前に使用の申し出があった機材や備品の準備、電源(分電盤)の立ち上げ、照明トラスの昇降から始まります。

ライブ終了後は、撤去搬出をし、最後にステージまわりの清掃や備品の片付けをするため、最後の最後までライブハウスにいる必要があります。

近年は働き方改革で、早番と遅番の交代制を採用している企業もあります。

ステージ設営はイベント主催者が手配した外部の舞台監督が指示を出して設営します。

ライブ中の進行管理、撤去作業の指示出しも舞台監督が行うので、ライブハウスの制作部の人間は基本的にイベントそのものには関与しません。
(豆知識:外部の舞台監督が仕切ったり、照明・音響の方がライブハウスでオペレーション(卓の操作)をすることを「乗り込み」と言います)

お付き合いで、設営撤去をちょっと手伝うときはありますがイベントそのものに大きく関わることは稀です。

ライブハウスの制作の人間がイベントの進行管理も行う場合は別途、ライブハウスに人件費を支払います。

開演中は空調管理や貸し出している機材や備品のトラブル対応などを主に行っています。

自社以外で活動する場合もある

制作部の真骨頂、実力は外部の活動で発揮されると言っても過言ではありません。

ライブハウスの強みは機材や備品が充実していることです。

自身のライブハウスの空いてる日に出稼ぎとして企業のイベントや仲の良い(お付き合いのある)プロダクションのアーティストが出演するときに、乗り込みで別のライブハウスや会場に出向くこともあります。

そのときは自身が舞台監督や舞台監督のアシスタントして、機材の準備〜会場までの運搬〜ステージやブースの設営〜進行管理〜撤去までの一通りを行います。

音響照明もできる方の場合は舞台監督でありながら音響や照明のオペレーションをする人もいるほどです。

業界内の繋がりで、実力をつければ野外フェスのサブステージの舞台監督をする話が舞い込んでくる可能性も大いにあります。

ライブハウスの制作は裏方のさらに裏方としての業務を行う仕事です。

会場のことをすべて把握して、イベント主催者や出演アーティストはもちろんですが、なにより来場してくれたお客様が最高に楽しんでもらうための空間づくりにおいて欠かせない仕事です。

直接アーティストとかかわることは稀ですが、イベント制作の段取りを理解して、外部活動や自身のライブハウス主催のイベントなどで実績を積んでフリーの舞台監督になれば人気アーティストと巡業することも夢ではありません。

「人を喜ばせたい」「最高のひとときを提供したい」

音楽が好きで、ライブが好きで、音楽ファンにとってかけがえのない思い出を提供したい方には最高のお仕事です。