養護教諭(保健室の先生)になるには? 必要な資格についても解説

養護教諭とは「学校の保健室の先生」のこと。

養護教諭になるには、「養護教諭免許状」を取得して教員採用試験に合格することが必要です。

この記事では、養護教諭の資格取得の方法や大学の選び方、養護教諭を目指す人が知っておきたい基本情報をまとめています。

養護教諭(保健室の先生)になるには【養護教諭免許状が必要】

養護教諭とは、いわゆる「学校の保健室の先生」と呼ばれる人のことをいいます。

養護教諭になるには、「養護教諭免許状」の資格が必須です。

養護教諭も「教諭」ですから、国語や数学などの教科指導を行なう学校の先生が持っている「教員免許」の種類のひとつである養護教諭免許状が必要なのです。

この章では、養護教諭になるための学校と資格について解説していきます。

養護教諭(保健室の先生)になるには【全体の流れ】

養護教諭になるまでのルート

まずは養護教諭になるための全体的な流れを解説します。

養護教諭になるには上の図の通り、3ステップになります。

  1. 大学・看護学校・短大で専門知識を学ぶ
  2. 養護教諭免許状の資格を取得
  3. 養護教諭採用試験に合格

養護教諭免許状を取得するには、大学の教育学部などの養護教諭養成課程で学ぶのが一般的ですが、なかには看護学部などで「看護師」や「保健師」の資格を得てから養護教諭になる人もいます。

なお、養護教諭免許状の資格を取得しただけでは、実際に学校で働くことはできません。

公立学校では自治体が行う教員採用試験に、私立学校では各学校の教員採用試験に合格し、採用される必要があります。

次に、養護教諭に必要な資格について詳しく見ていきましょう。

養護教諭の資格「養護教諭免許状」の種類

養護教諭に必要な資格である「養護教諭免許状」には3つの種類があります。

養護教諭免許状の種類
  • 養護教諭専修免許状:大学院を修了
  • 養護教諭一種免許状:4年制大学を卒業
  • 養護教諭二種免許状:短期大学を卒業

上記3種類のいずれの免許状であっても、小学校・中学校・高校いずれの学校でも養護教諭になることができます。

どの免許状を持っていても職務上の差はありませんが、初任給やキャリアパスで違いが出てきます。

公立学校の養護教諭の給与は知識の習熟度などによって決められます。したがって、短期大学よりも4年制大学で学んだ人の方が広範囲にわたって知識を習得したとみなされ、第二種免許状よりも第一種免許状を持つ人の方が初任給が高くなるのです。

1種免許状や専修免許状を取得していれば、本人の熱意と努力次第で、将来的には管理職(教頭・校長など)を目指すことも可能です。

今後のキャリアの選択肢を広げるという意味では、養護教諭第一種免許状か専修免許状の取得を目指すと良いでしょう。

次に、養護教諭免許状の資格を取得するための大学について解説します。

養護教諭の資格を取るための大学

養護教諭免許状を取得するためのルートは大きく分けると2つあります。先ほど示した図も参照してみてください。

養護教諭免許状を取るルート
  1. 大学、短大の教育学部や看護学部などで養護教諭育成課程を修了
  2. 大学、短大の看護学部で看護師・保険士の資格を取得後、指定教員養成機関で半年から1年学ぶ

養護教諭免許状を取るルート1.養護教諭育成課程を修了

「養護教諭一種免許状」が取得可能な4年制大学の数が最も多く、日本全国に100を超えるほどの大学があります。養護教諭養成課程は、教育学部や保健学部、看護学部などに置かれることが多いです。

短期大学では4年制大学の半分の期間で養護教諭養成課程を修了することができますが、その数は日本全国でも10校ほどしかありません。

より専門的な学びをしていきたいのであれば、大学卒業後に養護教諭養成課程のある大学院へ進んで修士課程を修了し、専修免許状を取得して養護教諭になる道もあります。

学費の目安は次の通りです。

✅ 養護教諭になるための学費の目安

  • 国立大学:年間80万円程度
  • 私立大学:年間100万円~150万円程度

養護教諭養成課程のある大学の種類は、以下のページを確認してください。

参考:養護教諭の免許資格を取得することのできる大学

養護教諭になるためにはどんな学校に行けばいい?(大学・専門学校・短大)

養護教諭免許状を取るルート2.看護師・保健師の資格を取得後、指定教員養成機関で半年から1年学ぶ

所定科目を4科目8単位履修して看護師や保健師の資格を取得して、文部科学大臣が認定する「指定教員養成機関」で所定の単位を取って卒業すると、1種免許状が取得できます。

看護師として医療機関で勤務したり、保健師として行政機関に勤務してから養護教諭になる人もいます。

看護師や保健師の経験があると、より専門的な知識があるとして教員採用試験において有利になることもあります。

養護教諭に必要な資格・免許は? 1種と2種の違いは?

養護教諭(保健室の先生)の資格を最短で取るには?

養護教諭の資格は最短2年で取れます。短期大学で養護教諭二種免許状を取得することになります。

ただし、短期大学で学べる範囲は4年制大学よりも少なくなってしまう点は留意しましょう。

✅ 養護教諭養成課程の短期大学・4年制大学の違い

  • 短期大学:2年で養護科目30単位・教職科目12単位以上を取得
  • 4年制大学:4年で養護科目40単位・教職科目26単位以上を取得

また、養護教諭の資格(免許状)を持っているだけでは養護教諭として働くことはできず、養護教諭採用試験に合格する必要があります。

短期大学よりも4年制大学の受験の方が教員採用試験に必要な基礎学力が身に付くこともあり、近年採用される養護教諭の8割が養護教諭第一種免許状を持つ人といわれています。

資格の取得期間も大切ですが、保健室の先生として実際に働いていけるかという視点で進路を決めることが大切です。

養護教諭(保健室の先生)は文系でもなれる?理系の方が有利?

文系であっても養護教諭養成課程のある大学に進学することは可能ですが、理系科目も必須受験科目となっていることが多いです。

大学によって必須科目が異なるので、事前に調べておいてください。生物や化学といった理系科目の知識は、養護教諭の資格取得には欠かせない知識ですから、大学進学後に勉強についていくためにも基礎知識を身に着けたほうが良いです。

自分の通っている高校で選択できる科目が理系・文系で異なってくるので、担任の先生に相談して決めるのが良いでしょう。

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養護教諭(保健室の先生)になりたい人が知っておきたい3つのこと


養護教諭を目指す人が知っておきたい次の3つのことを解説します。

養護教諭を目指す人が知っておきたい3つのこと
  • 養護教諭(保健室の先生)の難易度
  • 養護教諭(保健室の先生)の給料・年収・福利厚生
  • 養護教諭(保健室の先生)のキャリアプランと目指せる年齢

養護教諭(保健室の先生)の難易度【倍率が高い】

養護教諭になるには免許状の資格を取得した後に、都道府県の自治体がおこなう養護教諭採用試験に、私立学校で働くには各学校の採用試験に合格し、採用される必要があります。

教員採用数が多い都市部の倍率が低く、地方の倍率が高くなる傾向にあります。公立学校の場合、自治体によっては倍率が20倍~30倍になることもあり、平均して8倍前後と非常に狭き門です。

養護教諭は基本的に1つの学校につき1人なので、倍率が非常に高くなりその点で難易度は高いです。

採用試験では筆記試験と基礎知識と面接が課されます。保健室の先生は、体に関する専門知識を持っていることはもちろん、子供たちが相談しやすく落ち着ける人柄であることも求められます。

養護教諭(保健室の先生)採用試験の難易度・合格率・倍率

養護教諭(保健室の先生)の給料・年収・福利厚生【正規雇用かどうかで異なる】

養護教諭の平均年収は、300万円~400万円程度がボリュームゾーン。この中には臨時職員や非常勤講師の年収も含まれます。

公立学校か私立学校、勤務年数、自治体ごとに年収は異なります。常勤の公立学校の養護教諭は地方公務員で、年収400万円を超えることもあります。

一方で常勤ではない働き方は次のように年収が低くなることが多いです。

養護教諭の正規雇用以外の働き方

  • 非常勤講師:1日数時間や週に決まった曜日など。時給制が基本。ボーナスなど手当なし
  • 臨時職員:1日勤務。ボーナスなど手当あり。

非常勤講師は、正規雇用の養護教諭が育児で時短勤務などの場合に採用されます。

臨時職員は1日勤務で各種手当や健康保険加入なども可能で、非常勤講師よりも任用期間は長いことが多いですが、やはり不安定な働き方になります。

正規雇用の養護教諭の方が安定して働くことができます。

養護教諭(保健室の先生)に年齢制限はある?

養護教諭免許状の資格取得には年齢制限はありません。したがって、何歳からでも目指すことは可能です。

ただし、前述の通り養護教諭免許状を取得したあとに採用試験に合格する必要があり、応募資格に年齢制限が設けられていることもあります。

養護教諭が現場に配置されてからは、実務を通じていろいろなことを覚えたり、外部の講習会や研修に参加したりしながらステップアップしていくので、未経験で年齢が高いとなると採用されることが難しいといえます。

最近は年齢制限の緩和が進んでいる傾向にあり、40代や50代になっても受験できるケースが増えています。とくに社会人経験者などは「特例選考」という区分で、年齢が高くなってからも受験できる自治体があります。

また、看護師や保健師から養護教諭になった人は経験を買われて採用されるケースもあり、これまでの経験次第では年齢が上がっても養護教諭として働くことはできるでしょう。

養護教諭(保健室の先生)はどんな人が向いている?


養護教諭に向いている人の特徴は次の3つです。

養護教諭に向いている人の特徴
  • 子どもの世話が好きな人
  • 子どもの成長を楽しめる人
  • 自分で考え、行動できる人

子どもの世話が好きな人

保健室には、身体的なケガや病気での来室はもちろん、「話を聞いてほしい」「友達や担任とは違う人と過ごしたい」という児童・生徒もたくさんやってきます。

そんな子どもたちを優しく受け入れ、じっくりと話を聞いてあげられる人が、養護教諭には向いています。

子どもとの会話は大人のようにスムーズにいかないことも多いですが、イライラしたり自分の考えを押し付けたりせず、寛大な心で対応することが大切です。

子どもの成長を楽しめる人

養護教諭には教育に関わる者として、関わる子どもたちの健全な成長を支援することが求められます。

子どもの性格やタイプはさまざまですし、抱えている悩みも異なります。

どんなときでも一人ひとりの子どもの可能性を信じてそっとサポートすることを楽しめるようであれば、養護教諭の適性があるといえるでしょう。

自分で考え、行動できる人

養護教諭は学校に一人しか配置されないケースが多く、1日の大半の時間を保健室で過ごします。

何か困ったことがあっても、すぐ周りに相談できる環境ではない場合もあるので、誰かに指示されるのを待つのではなく、自律的に行動できるタイプの人に向いている仕事です。

養護教諭に向いている人・適性・必要なスキル

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養護教諭(保健室の先生)になるには|まとめ

養護教諭になるには
  • 養護教諭免許状の取得と採用試験合格が必要
  • 資格取得には短大や4年制大学の養護教諭養成課程で学ぶのが一般的
  • 看護師・保健師から養護教諭になることもできる

養護教諭になるには、養護教諭免許状という資格が必須で、採用試験に合格する必要もあります。

近年、不登校などの悩みを抱えた子供たちに寄り添える養護教諭は重要性が再認識されていて、1つの学校に複数人の養護教諭を配置する動きもあります。

専門的な知識だけではなく、心のケアもできる養護教諭の役割は今後も需要が高まることが予想されます。