役員に社会保険や雇用保険はある?

役員と社会保険の関係

社会保険に加入できるケース

法人の役員として就任する場合には、その会社の業務に従事し報酬が発生していれば「法人に使用される者」という扱いになり、基本的には従業員と同様、社会保険へ加入します。

社会保険とは、狭義の意味で捉えると「健康保険」「介護保険」「厚生年金保険」のことを指し、病気やケガをした場合、また老後の生活などの保障をしてくれる国の制度です。

たとえ1人社長、つまり代表取締役のみであっても、法人であれば社会保険への加入が義務付けられています。

社会保険に加入した場合、社会保険料は会社と被保険者が折半して支払うことになり、病気などで働けなくなった場合に支給される「傷病手当金」のような所得保障などのメリットも多いです。

しかし、会社側としては社会保険の被保険者が増えれば、その分だけ社会保険料の負担も大きくなる側面があります。

社会保険に加入できないケース

上記の内容から、日常的に会社の業務に携わる「常勤役員」であれば、社会保険に加入するのが通例です。

一方、「非常勤役員」に関しては、社会保険に加入するケースと、しないケースがあります。

役員が社会保険の加入対象になるかどうかは、いくつかの判断基準によって決まります。

具体的には、

・報酬が極端に低くないか
・経営に携わっているかどうか
・役員会に出席しているかどうか
・経営に対する意見を述べる機会があるかどうか

などの複数のポイントを年金事務所が総合的に判断して、社会保険の加入有無が決定されています。

役員報酬がゼロや、それに近い場合には、年金事務所から社会保険への加入が断られることがあります。

その場合には、自営業者や個人事業主などと同じく、国民健康保険や国民年金に加入することになるでしょう。

しかし、実質どの程度の報酬額であれば社会保険に加入できるのかどうかは、ケースバイケースで、明確にはなっていないようです。

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役員は原則として雇用保険には加入しない

会社の役員は、原則として雇用保険には加入できません。

雇用保険とは、労働者(被保険者)が失業したときや雇用の継続が難しくなった場合、あるいは育児休業や介護休業を取得して収入が減った場合などに、被保険者に給付金を支給する制度です。

また、教育訓練給付金を給付して、再就職支援・促進につなげる目的もあります。

これはあくまでも「労働者」に対する保険制度であるため、労働者でない役員は加入対象となりません。

しかし、役員でありながら従業員としての仕事も行う場合、つまり「使用人兼務役員」として働く場合には、状況によって雇用保険への加入対象となることがあります。

ここでいう「状況」というのは、実態として「労働者としての要素が強い働き方」をしていることが挙げられます。

その場合、雇用保険料の算定対象となるのは役員報酬を除いた、労働者として支給される「給与」部分のみです。