和菓子職人のつらいこと・大変なこと・苦労

和菓子職人のつらいこと・大変なこと

下積み期間が長い

和菓子職人を目指す人は、繊細な美しさや深い味わいの和菓子を自分で作りたくて和菓子店に就職するでしょう。

しかし現実には、入社したばかりの新人がいきなり和菓子の作り方を教えてもらえるわけではありません。

数年間は下積みとして、掃除や洗い物、配達などの雑用や、小豆を洗うなどの材料の下処理といった和菓子作り以外の仕事がメインです。

この下積み期間は店によってさまざまで「餡(あん)炊き3年、薪(まき)焚き5年」や「餡炊き10年」などといわれ、少なくとも8年は下積みに必要だと考えてよいでしょう。

後輩が入社して担当がかわるかもしれませんし、先輩が多くいればいつまでも雑用ばかりということも考えられます。

雑用も先輩和菓子職人の活躍を支える大切な仕事ですが、いつになったら自分自身が独り立ちできるか、先が見えない状態を不安に感じる人もいるでしょう。

長時間労働で力仕事

午前3:00から仕込みを始める店もあるほど、和菓子職人の朝は早いのが特徴です。

注文が集中した場合や繁忙期には、早朝から作業を開始しているのに、深夜まで作業することも珍しくありません。

また小豆や砂糖がどっさり入った重たい鍋を扱ったり、大量の餡をこねるなど、力仕事もたくさんあるため体力勝負です。

餡だけでも10種類作るという店もあるほど和菓子は非常に奥深く、微妙な色を出したり季節にあった新作を考えるなど、覚えることや習得することが無限にある難しい仕事だといえるでしょう。

見習いのうちは勤務終了後に残って自主練習をしたり、休日も勉強が必要なので休む暇もない人もいます。

また下積みを終えて和菓子職人として働くようになっても、1日中立ったままの作業が多く身体に負担がかかる大変な仕事です。

最初は給料が低め

職人の仕事はどの分野でもそうですが、下積み中は過酷な仕事内容の割に給料は低めです。

店舗によって違いはありますが、最初は月給12万円~13万円というところが多いでしょう。

和菓子店には小規模店舗や個人店が多いので、社会保険が完備されていなかったり、福利厚生が充実していない場合もあるため、待遇はあまりよいとはいえません。

熟練の和菓子職人になるまでは、余裕のある生活は望めないでしょう。

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和菓子職人の悩み

和菓子職人は、身体の辛さを負担に感じる人が多くいます。

たとえば大きな鍋で煮た小豆は、持ち上げるだけでも大変な重さになるため、多くの職人が腰痛をかかえています。

また餡をかき混ぜるときに手首を痛めたり、1日中立ちっぱなしで作業するため足が慢性的にむくんだりします。

作業台の高さが身長に合わずに肩こりや猫背の習慣から姿勢が悪くなってしまう人もいます。

これらは和菓子職人にとって、いわゆる職業病のような症状です。

また就職してから数年間は下積みとして、重労働のわりに給料が低いと悩んでしまう人もいます。

雑用や材料の下処理などの単純作業が多いためモチベーションを保てなくなってしまう人も多いようです。

和菓子職人を辞める理由で多いものは?

職業病や最初の給料の低さ

実は和菓子職人は、離職率が高い仕事であることが課題になっています。

離職率が高い最大の理由は、和菓子職人の仕事が思ったよりきついことです。

小さく可憐な和菓子を作ることを夢見て見習いを始めた新人にとっては、重労働はかなりこたえるものだといえるでしょう。

腰痛や肩こりなどの職業病に悩まされ、辞めざるを得ない人も多いようです。

下積み時代の給料の低さが割に合わないと感じ、挫折してしまう人もいます。

下積みを終えて実力をつけて職人として活躍する自分の将来像を描けないと、和菓子職人として大成するのは難しいでしょう。

多様化した退職理由

昔は和菓子職人になりたい人は、一流和菓子職人に弟子入りしたり、老舗和菓子店で丁稚奉公(でっちぼうこう)をしながら自分の技術を磨くことが一般的でした。

しかし近年は、まず基礎知識や調理道具の使い方などを習得するため製菓学校で学び、卒業してから和菓子店に就職するパターンが多くなっています。

製菓学校で調理師免許や製菓衛生師免許を取得している人は、きつい和菓子職人以外の道を選ぶことも可能です。

洋菓子店や飲食店に転職すればよいからです。

そのため菓子学校卒の和菓子職人志望者は、比較的気軽に転職してしまうことが多い傾向にあります。

また女性のパティシエの増加と比例するように、女性の和菓子職人も増えていますが、女性の場合は結婚や出産による環境変化で辞めざるを得ない人も多いです。

和食人気から外国人の和菓子職人志望者も増えていますが、就労ビザの関係や習慣の違いから退職する人もいます。