朝早く夜遅い、体力勝負の仕事
仕事の厳しさ、忙しさに対する感覚は人それぞれ違いますが、スタイリストという職業は、平均的に見ても「激務」といえる部類に入るでしょう。
その大変さは、物理的なものと精神的なものの両面から語ることができそうです。
まず物理的な面ですが、スタイリストの労働時間は長くなりがち、かつ不規則です。たとえばテレビの仕事であれば、携わる番組にもよりますが深夜であろうと早朝であろうとロケが行われます。
毎日働く時間が変わるのは日常茶飯事ですし、撮影が予定より長引いて、次の現場に焦って出かけるなんていうこともよくあります。
また、撮影前の時間を使って衣装を借りに行ったり、丈詰めやアイロンがけをしたり、撮影が終われば衣装を返しに行ったり…と、準備や片付けの時間も多くかかります。
また、映画のスタイリングを担当するときは、撮影中の数ヵ月間、一つの現場に付きっきりとなることもあります。
最小限のスタッフで動く場合、スタイリストが企画や衣装作りなどまで任され、徹夜をして準備することもあります。
非常に大変ですが、依頼される仕事の幅や量が多いのは、それだけ自分の力が認められているということでもあります。いくら自分の身を削っても、がんばって期待に応えたいと考える人が多いようです。
周囲に気を遣うことも仕事の大きな一部
テレビ、映画、雑誌、広告、どのような媒体であろうと、制作時は必ずスケジュールが組まれており、限られた時間内で作業を効率よく進めていかなければなりません。
もし予定通りに進まなければ、スタッフはみんなピリピリしますし、その雰囲気の中で素早く行動する必要があります。
そういった独特の緊張感やプレッシャーもまた、ある種のストレスを感じる要因となるかもしれません。
スタイリストは多くの人と関わるからこそ、どのような現場や状況においても良好な人間関係を築くことに気を遣わなければなりません。
いくらファッションセンスがあっても、モデルやカメラマンなどから「このスタイリストはやりにくい。一緒に仕事をしたくない」と思われた瞬間、次の依頼はこなくなるでしょう。
実績がないアシスタント時代は、周囲に気を遣うことが仕事の大部分を占めているといっても過言ではないかもしれません。常に気を張っているため、精神的な疲れはどうしても溜まりやすいです。
ただし、スタイリストとして大成するためには、そういった人との関わりやしがらみも面倒だと思わず、どこか楽しんでしまえるような人であることが望ましいです。