測量士は独立・開業できる?

独立して働く測量士の仕事内容

測量士は、難関国家資格のひとつであるものの、資格保有者にしかできない「独占業務」がないこともあって、決して独立向きの資格とはいえません。

しかし、ほかの資格と組み合わせつつ、測量士としての知識やスキルを生かして、組織から独立して活躍している人も一部います。

測量業務は、大規模工事などを行うための「土木測量」、Webの地図サイトや地図アプリなどをつくるための「地図測量」、土地の面積や境界を確定させるための「地籍測量」の3種類に大別できます。

このうちの前者2つ、土木測量と地図測量については、数多くのスタッフや大掛かりな機材、業界内のパイプなどが必要になるため、新規参入者がいきなり手掛けることはほぼ不可能です。

しかし、最後の地籍測量は、個人顧客などを掴んで事業化できる余地が残っており、開業測量士の大半は、この地籍測量を手掛けて生計を立てています。

ただし、地籍測量業務は、ただ測量を行うだけでなく、法務局への登記申請や行政への許認可申請などがともなうケースがほとんどです。

したがって、「土地家屋調査士」や「行政書士」といった国家資格の取得が不可欠となります。

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独立するまでのキャリアパス

測量士が独立するには、まず測量業務についての実務経験を積むために、測量事務所や測量会社に就職するところが第一歩です。

さまざまな現場を経験して、測量機器の扱い方や測量図面の作成方法などを学びつつ、独立後のことを見越して、クライアントや関係者との人間関係の構築に励みます。

さらに、仕事のかたわらで、土地家屋調査士や行政書士といった国家試験の対策を行うことも必要です。

一連の測量業務すべてを単独でこなせるようになり、案件をまわしてもらえる顧客との信頼関係も密に築き、なおかつ必要な国家資格も取得できたら、会社を退職して独立・開業します。

開業に際しては、事務所を借りても構いませんが、自宅の一部を事務所として使うことも可能ですし、当面はスタッフを雇用せずに1人で事務所を運営することもできます。

独立まではこぎ着けられても、そこから事業として安定させるまでには、さらなる苦労がともなうため、当面は必要経費を極力おさえたほうが無難です。

測量士が独立するメリット・デメリット

測量士が独立するメリットは、仕事の自由度があがるということです。

測量会社や測量事務所に勤務している限り、引き受ける仕事の種類や量を選ぶことはできませんし、労働時間は長くなりやすく、ワークライフバランスを取りにくい職場が目立ちます。

しかし、独立開業すれば、ある程度は案件の種類や仕事量を調整することができ、また勤務時間についても用事がある日は早めに帰宅する、予定がなければ深夜まで働くなど、より融通が効くようになります。

自宅と仕事場を兼用にすれば通勤時間もなくなるため、家事や育児をしながら働くことも不可能ではないでしょう。

反対に、測量士が独立することのデメリットとしては、大規模な案件を手掛けることがほぼ不可能になる点が挙げられます。

トンネルや橋、ダムといった大規模インフラ工事は、測量士の仕事の醍醐味ともいえますが、信頼に乏しい独立開業者に官公庁からの公的案件がまわってくることはまずありません。

そうした依頼を獲得するには、何十年もかけてコツコツ地道に実績を積み上げ、業界内での地位を確立するとともに、業容を拡大していくことが必要です。

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独立して働く測量士の給料・年収

測量士は、そもそも独立開業者が少ないうえ、ほとんど全員が兼業であるという事情もあって、給料に関するきちんとした統計もなく、一概に論じることは困難です。

しかし、ダブルライセンス、トリプルライセンスで働けば、収入を得る手段が複数あるぶん、測量会社などに勤めるサラリーマン測量士よりは高収入を得られる可能性がはるかに高いでしょう。

測量会社に勤務した場合、平均年収は450万円前後が相場とされていますが、独立して成功すれば、その2倍の900万円、あるいは1000万円の大台に乗せられるチャンスも十分にあります。

複数の国家資格を取得するには、長い年月にわたって辛抱強く勉強し続けなければなりませんが、そうした努力に見合うだけの給料が期待できるでしょう。