サッカー選手育成の問題点

街クラブ出身の香川真司選手の場合

マンチェスター・ユナイティッドで活躍する香川真司選手は、仙台の街クラブで育った選手としてよく知られています。

香川選手は、小学生時代、地元の神戸NKSCでプレーしていました。そこの監督のツテで、中学生になる時、神戸から仙台へサッカー留学をし、FCみやぎバロセロナに所属しました。

現在も彼の最大の武器であるドリブルは、小学生時代に神戸NKSCで身につけ、個性を大事にする指導をするFCみやぎバルセロナで磨かれたといわれています。

FCみやぎバルセロナに所属していた高校2年の時、セレッソ大阪とプロ契約を結びました。

現在の選手育成システムに潜む問題点

日本の場合、サッカー選手の育成ルートは学校のクラブ活動とプロクラブの下部組織が2大ルートで、そこに日本サッカー協会のトレセン制度も加わります。

現在の育成システムは、日本サッカーが発展した最大の理由といわれる反面、問題点も指摘されています。

似たタイプの選手ばかりが育つ

問題点の1つは、似たタイプの選手ばかりが育ちやすいという点です。日本代表は、ショートパスをつなぐサッカーを大きなコンセプトに掲げており、そのサッカーに合うような選手が育成の中心になっているというわけです。

実際、香川選手は小学時代のトレセンで得意のドリブルをすると「ボールを持ちすぎ」とよく注意されていたそうです。コンセプトからはみ出した選手は個性を失くしてしまうか、排除されるケースが目立つと指摘されています。

中学生になると個性より組織を優先させる

問題点の2つめは、12歳まではノビノビとプレーしている選手が多いのに、中学生年代になると、とたんにノビノビ感が失われる選手が目立つという問題です。

チーム戦術が採り入れられ、個性より組織を優先するように指導されるからです。その結果、選手たちも自分の得意なプレーを封印して、チーム戦術を優先するようになると指摘されています。

補欠が多く、実戦経験を積み重ねにくい

高校生年代の選手登録者数は、約16万人です。日本の子供の数は減っていますが、サッカーをする高校生年代の数はJリーグ創設直後の1994年からほとんど変わっていません。

しかし、登録者数が多いことで、近年、指摘されているのが補欠の多さです。高校サッカーの強豪校でも、プロクラブの下部組織でも、補欠であるため、高校生年代で実戦経験を積めない選手が多いというわけです。

これは、育成にとって大きなマイナスといわれています。

ヨーロッパのクラブチームでは、選手が多ければ、複数のチームを作って大会に出場します。サッカーを楽しむという点でも、将来を考えても、実戦経験を積むことが大切だと考えられているからです。

プロ選手を目指すなら、日本の育成システムの中でうまく適応できなくても、何が問題であるかを考え、サッカーに打ち込める環境を整えることも大切なことです。