選考委員は表紙を見ない

文学賞の最終予選まで残るのは約5作品ほどです。そして出版社から選考委員の作家のもとに原稿が送られます。ここでのポイントは、選考委員の大半は表紙を見ないということです。もちろん各作家によっても異なりますので一概には言えません。

なぜ選考委員は表紙を見ないのか。それは既成概念を捨てるためです。

表紙には応募者の個人情報が載っています。性別から年齢、略歴などです。

まず女性が書きそうな恋愛小説を読むとします。しかし、予め表紙を読んでしまい、性別が女性であれば、「いかにも女性が書きそうな表現や視点だな」と既成概念が生まれてしまいます。また性別が男であれば「この小説を男が書いているのか!」とどちらにせよ偏った評価のもとで読み始める形となってしまいます。

次に年齢ですが、こちらも同様です。

「この落ち着いた文章をこんな若い人が書いているのか」「おもしろい話だけど、少し年齢が上過ぎて将来的な期待はいかがなものだろう」などのような既成概念がここでも生まれてしまいます。

そして略歴にさまざまな文学賞の受賞キャリアや最終選考まで残ったキャリアを書いていると、「こんなにキャリアがあるんなら、さぞかし唸らせるような小説を読ませてくれるのだろう」などという考えが生まれがちです。

このような情報は読む前で知る必要はなく、受賞作品を決めた後に知ればいいことですよね。以上のことから選考委員の中では表紙を読まない。場合によっては出版社から表紙を抜いた原稿のみが送られてくるケースもあるということを覚えておきましょう。