書道家に必要なこと・求められるもの

高い集中力

一つの作品が出来上がるまでに、書道家は試行錯誤を重ね、納得がいくまで何枚も書き直します。そのため、作品の完成には長い時間を要することもあります。

完成までの間、書道家は高い集中力を保ち続けなければなりません。他のことに気を取られれば、心は乱れ、作品に影響してしまいます。

そのため、気が散りやすい人や飽きっぽい性格の人には不向きであるといえるでしょう。

体力

前述の集中力と連動しますが、体力がないと作品は完成に至りません。身体が万全のコンディションであって初めて高い集中力を発揮することができるのです。

また作品によっては大きな筆を使ったものもあります。そのような作品の場合、制作は全身で行うため、筋力も必要です。

飽くなき向上心

書道のみならず、芸術の世界には真の意味での完成はありません。制作を続ける以上、技術の向上のための努力を絶やすことなく、作品を常に進化させ続ける必要があります。

そのため、日々の修練は必要不可欠です。

ある書道家は「多書こそ上達への近道」とも語っています。現状に満足せず、努力をし続けることが必要不可欠なのです。

さらに、書の道に生きる者として、その長い歴史を深く理解し、知識を増やしていくために学び続けることも大切です。

既存の技術や知識に甘んじて、努力を怠ることなく、常に上を目指し続けることのできる人でないと、この世界で生きていくのは難しいといえるでしょう。

書道以外の分野への好奇心

芸術家としての感性を高めるために、他の芸術作品に触れたり、スポーツをしたりすることを大切にしている書道家もいます。

単調な毎日ではひらめきは生まれづらいものです。意識的に感性を刺激することで創作の材料が見つかることも少なくありません。

また、書道家の中には学校の教員として書道の指導にあたっている人もいます。ときには児童や生徒との関わりが創作意欲につながることもあります。

書の分野だけにとらわれず幅広い分野への好奇心を持ち、時代の変化にも敏感になっていくことが書道家としての素養を高めることにつながるといえるでしょう。

時代の流れに即応する力

伝統的な側面が取り上げられやすい芸術分野である書道ですが、多くの書道家が自身の作品に現代的な要素を融合させ、高い評価を得ています。

今までにないような、まさに現代アートともいえる書道の作品が人気を博しているのです。

抽象画と見紛うような字体や、黒色だけにとどまらない豊かな色彩など書の世界は日々変化し続けているといっても過言ではありません。

もちろん、自身の個性や流派、目指すものはそれぞれです。古典的な作品の価値や魅力は未来永劫、愛され続けるでしょう。

しかしながら芸術家である以上、時流の変化にまったく無頓着であることは自身の足かせになってしまうこともあることを覚えておきましょう。

伝統を重んじる精神

言わずもがな、書道は日本の伝統芸能です。古くから人々に愛され、親しまれてきた手習いでした。

現代の学校教育でも書道の時間が設定され、多くの小中学生にとって書初めが冬期休暇中の課題になっています。

現代でも確実に息づいている書道の持つ歴史を重んじることは、すべての書道家が持つべき精神であるといえます。

温故知新という言葉の通り、歴史を知ることから、新しい技術や作風が生まれるのです。

高い国際意識

日本文化を愛好する外国人は年々増加しています。国際社会の中で書道も注目を浴びることが多くなりました。書道を習いたいと考える外国人も少なくないようです。

現代社会を生きる書道家には高い国際感覚が求められています。自身の作品が海外で評価される可能性もゼロではない時代になってきました。

海外で個展を開くチャンスを得ている書道家も出てきています。逆に海外の文化に触れることが創作活動におけるヒントになることもあるでしょう。

あらゆる場面を想定して、語学力をつけておくことは決してマイナスにはならないはずです。

今後、外国人に書道の指導を行う機会も増えてくる可能性もあります。これからの書道家にとって、語学力、国際感覚を高めることは大きな武器になるといえそうです。