書道家の道具

文房四宝とは

書道に使われる道具は筆・墨・硯・紙の四つが基本になります。書道の生まれた中国でこれらは文房四宝と呼ばれ、古くから大切にされてきました。

文房四宝は古くから文房具の中心であるとされ、観賞用としても楽しまれてきたようです。

四つのうち、一つでも欠けてしまったら書という芸術は成立しません。書道家にとって文房四宝は命の次に大切なものであるといっても過言ではないのです。

道具も芸術品

書道の魅力の一つに心惹かれる道具との出会いがあります。

筆や硯は作品を生み出すための道具に過ぎません。しかし、道具の中にはそれ自体が価値のある芸術品であることが多々あります。

中でも硯は大変高価なものであり、骨董品として評価されているものもあります。

道具は大切に使いこむことで、使う人に馴染みます。自然と持ち主の身体の一部になっていくのです。

このように考えると、書の道具は作品制作の過程で同じものが二つとない芸術品になっていくと考えることもできます。

紙といっても侮るなかれ

書道で使用される紙は数え切れないほどの種類があり、大きさや形、色味、書き味など用途によって使い分けられます。

値段もさまさまざまで、一七五㎝×四五㎝の場合、一反(五十枚)三千円から一万円以上のものまであります。

紙を選ぶ際は用途のみならず、筆や墨との相性や使用者の好みも加味します。実際の使用感が想像と違う場合も少なくないので、数種類の紙を少しずつ購入し、好みのものを決定していくという人もいます。

また、高価な紙は清書用として用い、練習用には安価な物を使用する人も少なくありません。

骨董品としても評価される硯

硯には中国製の唐硯と日本製の和硯とがあります。和硯の約九十%は宮城県石巻市雄勝で生産されており、根強い人気を誇っています。

ところが先般の震災で雄勝は壊滅的な被害を受けたため、原料である雄勝石の入手が困難となり、現地に残る硯職人もたった一人となってしまいました。

雄勝では弟子入り体験プログラム等で硯産業の最盛に取り組んでいます。

雄勝硯の他には山口県の赤間硯、山梨県の雨畑硯なども有名です。

唐硯の歴史は古く、かつては皇帝の命で莫大な予算を投じて作られていました。硯職人は役人として大切に扱われ、現代にも珠玉の名品が数多く残されています。

多くの種類がある中でも端渓硯(たんけいけん)、歙州硯(きゅうじゅうけん)、洮河緑石硯(とうがろくせきけん)、澄泥硯(ちょうでいけん)の四つが有名であり、総じて中国の良硯の四宝といわれています。

国産の墨はほとんどが奈良県産

平安時代までは全国各地で行われていた墨の生産ですが、以降職人が奈良に集まるようになりました。現在では九十%が奈良県産の墨です。

墨は製造されて間もないものは水分が多く粘度が強いため、作品に立体感が出ないといわれており、古いものほど好まれる傾向があります。

墨の中にも精緻な彫刻が施され、美術工芸品としても評価されるものもあります。しかし、担い手が少なく、2014年現在で墨への彫刻を専業としている職人は一人しかいないという状況です。

筆は消耗品

筆は、羊・馬・うさぎ・鹿・たぬき・いたち・てん・猫などの獣毛や、鳥の羽毛や植物の繊維などで作られています。また中には、いくつかの毛を混合して作ってあるものがあり、その材質は数え切れません。

加えて、大きさや長さ、穂の形状などその種類は膨大な数にのぼります。筆は硯とは違って消耗品であり、その劣化は避けられず、時期が来たら買い替えることになります。

購入の際は字の大きさや太さ、書体、使用する紙や墨などを考慮しながら、最適なものを選びます。

専門店であれば知識豊富な店員から助言を得ることができる上、水で試し書きをさせてもらえる場合もあるので安心して選ぶことができるでしょう。

筆の生産地は全国に点在していますが、伝統工芸品として認定されているものは愛知県の豊橋筆、奈良県の奈良筆、広島県の熊野筆、川尻筆です。

また、中国産では「湖筆」と呼ばれるものが最も名高いといわれています。

購入は専門店がおすすめ

書道の道具は文具店やホームセンターなどどこでも購入が可能ですが、本格的に書道を行っている人は書道用品店に通っているはずです。

書道用品店の店員は自身が書道に馴染みがある場合が多いため、専門的な質問にも応じてくれます。品揃えも量販店とは一線を画すため、行きつけの店を持っておくことをおすすめします。