信用金庫職員の仕事とは? わかりやすく仕事内容を紹介

信用金庫職員の仕事とは

信用金庫は、都市銀行や信託銀行などと同じ金融機関の一種であり、預金や振込、融資といった金融サービスを提供する組織です。

信用金庫職員の仕事内容も基本的には銀行と同じで、窓口でお客さまの対応をしたり、バックヤードで事務作業を行ったり、貸付を希望するお客さまを審査したりします。

しかし、信用金庫は、銀行のように自社の利益を目的とする「民間企業」ではなく、地域への貢献を目的とする「非営利法人」です。

営業エリアは信用金庫ごとに明確に定まっており、都道府県をまたいで仕事をすることはありません。

また、お金の貸出先は、各地域の中小企業と個人に限定されており、大企業を相手に融資することはありません。

利益を追求するのではなく、地域経済を発展させることが信用金庫の役割であり、また信用金庫で働く職員一人一人に課せられた使命であるといえるでしょう。

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信用金庫の種類・分類

全国信用金庫協会の統計によれば、2020年の信用金庫数は255庫と発表されています。

本店、支店に出張所を加えた店舗数は、全国合計で約7200店にのぼり、預金残高の規模は145兆円と莫大です。

北は北海道から南は沖縄まで、47都道府県すべてに信用金庫があり、地域密着型の金融サービスを展開しています。

また、信用金庫の関連団体として、クレジットを扱う「しんきんカード」や、各種情報を提供する「しんきん情報サービス」、リースを扱う「しんきんリース」といった企業もあります。

ほかにも、有価証券の扱いに特化した「しんきん証券」、年金などを運用する「しんきんアセットマネジメント」といった企業もあり、グループ全体の構成は、多用なニーズに対応できる体制です。

信用金庫職員の業務内容

窓口業務

信用金庫職員の仕事内容は、おおまかに4種類に分類することができますが、利用者にとって身近な業務は窓口業務でしょう。

窓口業務は、各支店の窓口でお客さまへの対応を行う仕事です。

信用金庫の窓口係は、銀行と比べて配置されている人数が少なく、少数精鋭であるケースが一般的です。

新規口座開設、入金や出金、振込振替、住所や印鑑などの変更、定期預金の作成など、さまざまな手続きを行うとともに、資産運用など、お客さまの相談にも応じます。

投資信託や国債などの運用商品、生命保険、損害保険なども扱わなければならないため、オールマイティな知識とスキルが求められます。

また、基本的にコンピュータを操作しながらの接客となりますので、複数の作業を同時並行でこなす頭の回転も重要になります。

地域で暮らすお客さまと直接ふれあう窓口職員は、まさに「信用金庫の顔」といえるでしょう。

各支店には、窓口係のほかにも、窓口の前のフロアに立ち、お客さまを誘導する案内係や、窓口係の後方に待機し、「現バス」と呼ばれる機械を操作してお金を用意したりする事務処理係も働いています。

事務業務

事務業務は、窓口職員がお客さまから受け取った現金や伝票、書類などの各種事務処理を手掛ける「後方支援部隊」です。

支店やコールセンターにかかってくる電話に応対し、お客さまからの問合せに回答したり、商品を案内したり、クレームに対処することも事務職員の仕事です。

大量の事務作業を正確かつ迅速に処理することが求められるため、几帳面でまじめな性格の人向きの仕事といえるでしょう。

融資業務

融資業務は、お金を貸してほしいお客さまからの相談に応じたり、申し込み書類を受け付けたり、お金を貸せるかどうかを審査するなど、貸付にかかわる一連の仕事です。

貸付を希望するお客さまに対して、資金使途(何に使うのか)や返済原資(どうやって返すのか)、借入期間、担保の有無などをヒアリングし、決算書類などを取りまとめて、お金を貸すかどうかを検討します。

業務そのものは銀行と同じですが、銀行はあくまで民間の株式会社であるため、自社の利益を優先して融資判断を行います。

信用金庫では、銀行などの金融機関のように大企業にお金を貸し付けることはなく、地場の中小企業や個人などが対象となります。

ときには商店街の店主たちとタッグを組んで街を盛り上げるなど、近年苦境が続く地域経済を立て直すための仕事を手掛けることもあります。

営業業務

営業業務を担当する職員の仕事は、自転車やバイク、自動車に乗ってお客さま先を訪問する外回りです。

「渉外係」とも呼ばれます。

忙しくて支店に来れない店主や足腰が悪い高齢者などをまわり、窓口と同じように入出金手続きを代行したり、国債や保険などの金融商品を販売したりします。

担当者ごとに営業エリアが狭く区切られており、自転車や原付バイク、軽自動車などに乗って、朝から夕方まで、細かく顧客をまわり続けます。

信用金庫の強みである「地域密着型のサービス」をお客さまに提供するには、この渉外係の働きが欠かせません。

相手先が個人事業主や企業の場合は、資金繰りの相談に乗り、融資担当者と連携してお金を貸し出すこともあります。

営業においては、それぞれの顧客と積極的にコミュニケーションを取り、親密な相談を持ち掛けてもらえるだけの関係性を構築することが重要になりますので、対人スキルの高い人向きの仕事といえるでしょう。

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一般的な職種

信用金庫には、メーカーや商社などの一般企業と同じ職種も複数あります。

その大半は支店ではなく本店の勤務となり、人事や総務経理、財務、広報といった、組織運営のための不可欠な業務を担います。

また、近年増加傾向にある職種は、「企画系」と「技術系」です。

企画系は、ほかの信用金庫にはないオリジナリティを生み出す役割をにない、新しい金融商品などを企画します。

技術系は、オンラインシステムを維持管理するため、今や、どこの信用金庫でも必須の存在となっています。

信用金庫の役割

信用金庫の最も重要な役割は、資金を地域のなかで循環させることです。

地域で暮らしている人々や経営している企業から預金を集めて、そのお金を運用して利益を出したり、お金を必要としている人へ貸し出したりします。

そうすることでお金は地域のなかをめぐり、住民の生活を豊かにするとともに、事業を営む人たちの支えとなります。

お金が循環するサイクルを生み出して、相互扶助、地域共生による自然な経済成長を促すことが、信用金庫職員の仕事の目的です。

同じ金融機関であっても、所属する企業の利益を最優先とする民間の銀行と比べると、信用金庫の役割は大きく異なっているといえるでしょう。

信用金庫に特有の職種

信用金庫に特有の職種としては、まず店舗の窓口で来店客に応対する「窓口担当者」があります。

窓口担当者は、窓口業務の通り、直接お客さまと接する機会が非常に多い点が特徴です。

利用者として窓口担当者に接した経験があり、信用金庫の仕事というと真っ先に窓口業務をイメージする人も多いでしょう。

また、外回りをして営業を担当する「渉外担当者」や、お金の貸付や回収、審査を担う「融資担当者」も、金融機関である信用金庫ならではの職種といえます。

なお、信用金庫に就職する際は、特定の業務のみを担当する「一般職」と、職種を限定せずに数年単位でさまざまな業務を担当する「総合職」の2種類に分けられているケースがほとんどです。

信用金庫の有名な企業

信用金庫は、地域に密着したきめ細かなサービスを提供するため、それぞれの営業エリアはあらかじめ決まっています。

このため、ほかの業界の企業のように、全国クラスの知名度がある信用金庫というものは存在しません。

地域別にみれば、関東エリアでは預金残高トップの「城南信用金庫」、中部エリアでは「岡崎信用金庫」、関西エリアでは店舗数が100を超える「京都中央信用金庫」や「大阪シティ信用金庫」などが有名です。

全国的にはそこまで名は知れていなくても、その地域で暮らす人ならば誰もが知っているという、いうなれば知名度の「局地性」が、信用金庫の特徴といえます。

信用金庫の仕事の流れ

信用金庫にはさまざまな仕事がありますが、ここでは代表的な仕事のひとつである融資業務の流れを見てみましょう。

  1. 1.相談を受ける

    まずお客さまから融資の相談を受け付けるところから仕事が始まります。

    資金の使いみちや必要金額、自己資金の割合、返済の計画、連帯保証人や担保の有無などをヒアリングし、申込書を作成して記名・捺印をもらいます。

  2. 2.審査

    申込書とともに、決算書類や資金繰り表、事業計画書、自身が作成した決済書類などを本店に郵送し、審査を受けます。
  3. 3.実行

    審査が通ったら、お客さまに入金のタイミングを報告して、一連の業務は完了です。

    ただし、お金を貸し出してからも、事業の収支状況などについてフォローしていく必要があります。信用金庫の融資担当者は、一人一人のお客さまと深い人間関係を築き、末永く付き合っていかなければなりません。