鍼灸師の役割

東洋医学に基づく治療法で、多様な症状を改善に導く

鍼灸師は、東洋医学の考え方に基づく「はり」や「灸」という治療法を使って、人々が抱える身体のさまざまな症状を改善させたり、健康な身体へと導いていく仕事です。

鍼灸を含む東洋医学の大きな特徴は、病気に対して薬を飲んだり、外科的な処置を行う「現代医学(西洋医学)」とは異なり、人間がもともと備えている「自然治癒力」を高め、症状を改善させようという考え方がなされていることです。

たとえば、鍼灸治療では薬の内服を行いません。そのため薬による副作用がなく、子どもから高齢者まで、幅広い年代の人が安心して治療を受けることができます。

また、東洋医学は、原因はハッキリしないけれど「何となく身体がだるい」といった症状や、慢性的な生活習慣病など、現代医学ではなかなか解決できないものに対しても、効果があると考えられています。

さらに、病気の症状が出る前に鍼灸治療を受けることで、人は病気になるリスクを減らすことができると考えられており、鍼灸は健康な身体を維持することができる「予防医学」としての役割も担っています。

「はり師」「きゅう師」の国家資格を取得している鍼灸師は、人々の生活や健康状態が多様化、複雑化する現代社会において、健康な身体を維持するために力を添えられる職業として期待されています。

さまざまな領域で活躍できる

鍼灸師は、多様な領域で専門知識・技術を発揮しています。それぞれの分野における主な役割は、以下のようになります。

医療分野

現代医学と連携を図りながら、病院で活躍する鍼灸師もいます。

患者さんの症状に応じて、医師や看護師などの医療関係者と協力しながら治療を行っていきます。

スポーツ分野

スポーツ選手がケガから復帰するためのリハビリテーション、疲労回復、コンディション調整などにも、鍼灸が利用されることが増えています。

「スポーツトレーナー」として働く人の中には、鍼灸師や柔道整復師の資格を持っている人も少なくありません。

スポーツトレーナーの仕事

薬の内服とは異なり「ドーピング」の心配がないという点も、スポーツの分野で鍼灸治療が好まれている理由の一つです。

介護分野

副作用のない鍼灸治療は、リハビリが必要な高齢者の身体にとって負担が少ないものです。

そのため、高齢者向け介護施設では鍼灸治療が行える人の需要が高まっており、鍼灸師の資格を持ちながらケアマネージャーとして働く人も増えています。

ケアマネジャーの仕事

美容分野

鍼灸は、顔のたるみやしわ、むくみ、肌荒れを改善させたり、ホルモンバランスを整えることができるとされています。

こうした効果が注目され、近年は女性向けのエステサロンなどで、鍼灸を使ったメニューが取り入れる機会も増えているようです。

近年、注目を集める分野の一つであり、美容鍼灸が専門的に学べる養成学校も増加中です。

小児向けの鍼灸治療

「小児鍼」といって、たとえば夜泣きをしたり、アトピーや小児ぜんそく、虚弱体質など、子どもが抱えるさまざまな症状に対し、はり治療を行うことで改善に導く鍼灸師もいます。

一般的には、生後1ヵ月くらいから6歳くらいの子どもを対象とします。