新聞記者として大切にしていること (体験談)

新聞記者の仕事で、私が常に肝に銘じているのは、「約束を守る」「時間を守る」の二つの点です。新聞記者は日々、取材のアポイントを取り、人と会って話を聞く、締め切りに間に合わせて原稿を書く。そうした仕事の連続です。

約束を守る

人と会う場合、もちろん、社会人としてのマナー、言葉遣い、身だしなみなど、相手に失礼にならないよう気をつけることはいうまでもありません。その上で、約束を守ることが、新聞記者として如何に大切かということを実感しています。

新聞記者がアポイントした人から話を聞く場合、相手は当然のことながら、重要な案件を聞き出そうとしているのに違いない、と身構えます。

記者は、そうした相手の固い姿勢を和らげようと、さまざまな情報を提供しながら、あるいは、最近のトピックスを話題にしながら、核心部分に話の方向を持っていきます。

核心部分に話が及ぶと、相手は「その件はまだ話せない」「まだ決まっていないのでしゃべることは出来ない」などと予防線を張ります。

しかし、そこで引き下がっていたのでは、記者としての仕事はできません。それまでに周辺の取材で入手したいくつかの情報をぶっつけながら、相手の反応を見ます。

相手が「そこまで分かっているのであれば、この件について、ここまでの情報はやむをえない。しかし、それ以上のことについては、書かないでほしい」などという場合があります。

あるいは「今話したことについては、○○日まで待ってほしい。その日に連絡するから、それを待って記事にしてもよい」といった、さまざまな約束ごとが交わされます。

それらの約束事は、必ず守らなければなりません。仮に、功名心にはやって、約束を破って記事にした場合、相手は二度と会ってはくれないでしょう。たとえ他社が先にその案件をニュースとして流したとしても、約束を守ることの方が記者にとっては大切なことです。

相手との信頼関係をつなぐ以上に、相手は、約束を守った記者に対して、償いの意味で、その後、さまざまな情報を提供してくれるはずです。

時間を厳守する

時間を守ることは、記者のイロハといってよいでしょう。とくに、記者会見、記者発表の場合、冒頭に最重要な情報が明らかにされます。それを聞き逃した場合、記事を書くことは不可能です。

締め切りに間に合わせるため、1分、1秒を争っている時に、他社の記者に、聞き逃したことを聞くことは出来ません。原稿を締め切り時間に間に合うよう、迅速に書き上げることは当然のことです。

時間単位で仕事をしている新聞記者にとって、時間を厳守すること、取材相手との約束を守るという、この2点は、新聞記者が守るべき戒律と、私自身は考えています。