社会保険労務士の現状と将来性

注目度が高まっている仕事

社会保険労務士は、たくさんある資格のなかでも近年では専門学校での人気資格のひとつとなっており、毎年たくさんの人たちが合格をめざして受験しています。

平成28年の試験結果を見てみると受験者は39,972人にものぼり、以前よりも広く世間から認知される職業となりました。

社会保険労務士の仕事が注目されるきっかけとなった出来事のひとつが、2007年に発覚した5000万件の年金記録紛失の問題です。

それまで年金に対してあまり関心を払っていなかった人たちが自分の年金の支給額や支給開始の時期に疑問や不安を感じはじめ、年金の専門家である社会保険労務士への相談は急増しました。

また、同時に団塊世代の大量退職によって退職金への関心が高まったり、不況による「派遣切り」の問題が起きたりしたこともあり、社会保険労務士の活躍の場は大きく広がっています。

今後も、複雑化する雇用形態の問題や年金・保険の問題を解決するために、社会保険労務士のさらなる活躍が期待されています。

時代とともに変わりゆく仕事内容

一方で、少しずつ需要が減ってきた業務もあります。それは、労務関係の手続きの代行や給与計算です。

以前であれば、従業員が健康保険に加入するときの手続きや、月々の給料や退職金の計算を社会保険労務士に頼むケースが多々ありました。

しかし、不況とともにできるだけ外部委託を減らそうという企業の思惑があるなかで、こうした業務の発注が少しずつ減ってきています。

その流れを後押しした背景には、世の中のIT化があります。

近年ではどの企業でもインターネットを導入しており、わからないことは瞬時に調べることができるようになりました。

たとえば労務関係の手続きでわからないことがあったとき、以前のように専門家である社会保険労務士に相談しなくても、総務担当者がネットで調べればすぐに解決できるようなケースが増えてきたのです。

さらに、確定申告や給与計算の専用のソフトが広く普及したことにより、パソコン上に数字を打ち込むだけで簡単に計算ができることが一般的になりました。

より複雑なケースに対応することが求められる

このような背景から、今の社会保険労務士は書類を調べて手続きを代行するといったことだけではなく、労務や保険に関する複雑なケースへの対応が期待されているようです。

これらの分野は法改正も多いため、一般の人が最新の情報を追い続けるのは非常に困難なものとなっています。

そこで、プロフェッショナルである社会保険労務士の活躍が期待されます。

そして、これからの社会保険労務士はただ専門知識があるというだけではなく、依頼者の悩みを解決できるようなコンサルティング能力をしっかりと磨き、主体的に活躍の場を広げていくことが必要になるでしょう。