生産技術の需要・現状と将来性

生産技術の現状

製造業において重要なポジション

生産技術は「品質のよいものを安く、速く、効率的に量産するためにはどうすべきか」という、メーカーにとって最重要ともいえる課題にたいして、中心となって取り組む存在です。

日本のモノづくりは世界からも高く評価されてきましたが、それは生産技術力の高さとも言い換えることができます。

そのように生産技術という仕事は、製造業や生産活動において、大きな意味をもつ仕事です。

厳しい競争が続く状況だからこそ、どのメーカーも優秀な生産技術者を確保し、少しでも多くの利益を生み出したいと考えています。

後回しにされることもある

生産技術はモノづくりにおいて重要なポジションであり、生産技術部門を強化しようとする企業もあります。

本質的にはそうであるものの、後回しにされたり、企業内での地位が低いケースもあるようです。

とくに規模の小さな中小企業では、大企業のように生産技術部門が用意されていなかったり、なかには生産技術という考え方すらない会社もあります。

また大手中小問わず、生産技術に手が回らない業界もあります。

そのように会社や業界によって、生産技術の立場や扱われ方というのは変わりやすいことを覚えておく必要があります。

製造業は人手不足

日本の製造業は、いま業界全体的に人手不足が進んでいます。

経済産業省が2017年に公開した「製造業における人手不足の現状および外国人材の活用について」によれば、製造業の94%以上の大企業・中小企業において、人手不足が顕在化しているとされています。

生産技術職においても人手不足は進んでおり、少子高齢化、若者の理系離れ、工場勤務への抵抗感なども拍車をかけ、十分な人手を確保できていない会社もあります。

国や企業が一丸となって、製造業へ人を呼び込む取り組みが進められていますが、それでも人手不足は進行しているのが現状です。

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生産技術の需要

人手不足のため売り手市場傾向

理系出身の学生は、花形部署といわれることの多い「製品開発部門」を志望する人が多く、ただでさえ生産技術というのは就職先として陰にかくれやすい存在でもあります。

また人手不足の影響もあり、生産技術系の求人は出しても埋まらないものも多く、売り手市場となりつつあります。

そのため、関連する知識や経験をもった上で生産技術を志望してくる人材というのは、企業側が歓迎しています。

また中小メーカーの場合、働き手がなかなか集まらない会社も多いため、「未経験採用」を行い一から育てようとする会社もあります。

ただし、生産技術の仕事は機械工学や電気系の専門知識が必要でもあるため、未経験採用であっても「理系の大学卒業者のみ」、「理系コースを専攻してきた人のみ」などの条件で制限する会社もあるでしょう。

大手では経験者にニーズ

人手不足な状況といえども、誰もが知るような大手メーカーの場合は志望者も多いため、ある程度のポテンシャルをもつ経験者で絞られるのが一般的です。

たとえばトヨタのような大手メーカーの生産技術の中途採用では、「〇〇(自動車など)に関する生産技術開発の経験〇年以上」、「製造業での勤務経験〇年以上」など、具体的な職務経験が問われます。

ただし、第2新卒に該当するような年齢の若い人材であれば、大手であってもさほど具体的な経験は問われません。

社会的な需要について

商品の新規開発は製品開発部門が行いますが、試作品を一つ作ったら終わりではなく、メーカーはそれを何千、何万個と「量産」していかなければなりません。

いわばその量産の仕組みを考えるのが生産技術であり、たくさんの製品がスムーズに量産され、私たちの消費者の手に届いているのには、生産技術の働きがあるからこそです。

そのため生産技術には一定の社会的需要があり、これから先もメーカーがモノを量産していくかぎりは、生産技術という仕事そのものがなくなることはないでしょう。

生産技術の将来性

業界内の競争は激しくなる

かつて日本の自動車や電化製品などは、「日本製はすぐれている」、「高品質で壊れない」などと世界中から太鼓判をおされ、一定の地位を築いていました。

しかしこの数十年で世界各国のメーカーは技術力を高め、日本だけが品質面で特別すぐれている時代ではなくなりました。

さらに新興国のメーカーには、日本製と近い品質で、価格を大幅に下げたものを販売するメーカーも増えています。

このような状況を勝ち抜いていくためには、品質とコストの両方をさらに改善していくことが求められ、その中心にいる生産技術部門への負荷はより大きくなっていく可能性があります。

グローバル化が進む

昨今、メーカーや製造業の会社は、生産コストを抑えるべく、海外に生産拠点を移す例が増えています。

また、部品を自社で製造せず、外注化するといった流れも目立つようになっています。

今後もこうした流れは加速していき、とくに中国、東南アジア、アフリカなどに生産拠点や工場をつくるケースが増えてくるといわれています。

生産技術は工場勤務となる職種のため、グローバル化が進むと、海外の工場に赴任となったり、海外の新規工場の立ち上げに参加する機会もあるでしょう。

海外の工場では、英語で設計図を書いたり、現地スタッフと外国語でコミュニケーションが求められることもあるため、語学力を身に付ける必要もでてきます。

ITによる自動化

近年、生産現場でもIT、AI(人工知能)、ロボットなどの先端技術導入が進んでおり、生産の自動化が始まっています。

ドイツが産官学をあげて取り組んでいる「インダストリー4.0」という概念も注目をあびており、今後は、工場の各設備(モノ)、また各地の工場と工場がインターネットでつながり、ITネットワークで管理される時代になろうとしています。

そのような「つながる工場」ではないと、注文がとれなくなる時代になると言われています。

生産とITが密接に関わる状況となっているため、生産技術として働く上でも、ITやコンピュータに関連する技術知識が欠かせません。

ITエンジニアAIエンジニアなど、その分野のスペシャリストを生産技術部門に採用する動きが進んでいくでしょう。

AIに仕事を奪われる可能性

生産技術というのは、「いかに生産ラインを効率化できるか」というテーマを、さまざまな要素を交え合理的にかんがえていく仕事であり、そのような分野はAIやコンピュータが得意とするところでもあります。

そのため、長い目でみると将来AIによって、生産技術の仕事の一部を奪われる可能性も示唆されています。

しかし、すべてをAIが担当するというのは現実的に難しく、今後は人間だからこその強みを伸ばしていくことが大切です。