左官の技術・勉強すること

左官の基本は材料を練ることから

新人の左官がまず始めに任される作業は『材料を練る』ことです。

配合の加減や力の入れ具合、かける時間などコツを掴むまで意外と時間がかかるものです。

使う道具も練り鍬をはじめ、ミキサーなど材料や量によって使い分け、それに合わせて練り桶の素材も変えていきます。

意外と体力を使う作業でもあるため、新人左官の登竜門ともいえるかもしれません。

見て学ぶことが一人前への第一歩

左官のメイン作業である塗り壁はまず見て学ぶことが重要です。

先輩の姿を見て真似ることが上達への近道であるといえます。中には新人に映像教材を渡し、自学させる会社もあるほどです。

実践としては、塗り壁の基本である、こて返し(こてに材料を乗せる)から、「こすり塗」「ちり廻り塗」「中うめ」「むら取り」「横なぜ」「ちりふき」「おさえ:と呼ばれる一連の技能を段階をおって学ぶことになります。

実際に身につくまでには最低でも3年はかかるといわれています。

奥の深い塗り壁の世界

一連の塗り壁作業を習得したうえで、「しっくい塗り」や「珪藻土(けいそうど)塗り」「洗い出し工法」「研ぎ出し工法」などの仕上げ作業を習得します。

これらは何工程もある塗り壁の総仕上げであり、この良し悪しが作業の出来を大きく左右します。

ベテランの職人でも満足のいく出来を実感できることは年間数回あるかないかというほど奥の深い世界であるため、この技術にゴールはないと心得ましょう。

仕事は塗り壁だけではない

左官技術といえば塗り壁を指すことには間違いありませんが現代の左官はそれ以外にも多くの仕事を手がけています。

現実問題、壁塗りだけでは十分な収入が得られないというのが正直なところなのです。

壁塗り以外の作業としてはタイル貼り、ブロック積みなどがあります。

タイル貼りは外装・内装用、床用、モザイクタイルなどタイルの種類や材質などに応じた施工方法(割り付け等)を学び、基本的な貼り方や切断等の技能を学びます。

ブロック積みはエクステリアや間仕切りなど各種ブロックの用途や積み方を学び、基本的なブロック積み工法や切断方法等の技能を学びます。

伝統技術を継承しながら現代建築を学んでいく姿勢も必要不可欠なのです。

もはやアートの領域

最近では美大出身者が左官を志すというケースが増えてきました。左官技術の芸術性に魅せられた学生たちは一つのアートとして塗り壁をとらえているようです。

確かに塗り壁をはじめとする左官技術は職人の手作業によるいわば一点ものです。これを芸術作品ととらえる向きがあるのもおかしいことではないといえます。

たとえば武家を象徴する建築様式で防御壁として発達した海鼠壁(なまこ壁)はその機能性の高さのみならず、壁面に張られた平瓦の接断面にかまぼこ形に漆喰を塗り上げられるという独特の形状から見る者を魅了し続けてきました。

この工法には非常に高度な技術が必要であり、左官の中でも取扱わない職人もいるようです。

鏝絵(こて絵)はその名の通り、左官職人が壁を塗るこてで絵を描いたもので、漆喰装飾の一技法です。鏝絵こそが左官技術を芸術に高めた匠の技であるといえるでしょう。

高松塚古墳や法隆寺の金堂の壁画などの歴史的遺産にもこて絵が施されています。非常に歴史の古い伝統的な技術である一方で、現代建築の壁や、レリーフへの応用など、新旧合わさった装飾技術の一つとして、重宝されています。