漁師の大変なことは? 仕事のきついことや苦労も解説

漁業者は後継者不足など、さまざまな課題に直面しています。

漁業は「5K」と呼ばれ、厳しい労働条件や危険性から若者の関心を引きにくい傾向があります。

仕事の中での危険は常につきまとうため、細心の注意が必要であり、収入は収穫量に依存するため、不安定さも抱えています。

記事では、漁師が直面する厳しい現実や苦労について解説します。

漁師のつらいこと・大変なこと

5Kと呼ばれる第一次産業

漁業は「5K」と呼ばれ、厳しい労働環境や収入の不安定さから、きつい、汚い、かっこわるい、稼げない、結婚できないなどと敬遠されがちな職業とされています。

漁師は日本の食を支える重要な仕事ではありますが、その一方で労働環境が過酷であり、自然環境に左右される経済的な安定が難しい側面も抱えています。

特に若者の間では、こうした厳しい条件に魅力を感じる人が少なく、多くの漁師が後継者不足に悩んでいます。

危険と隣り合わせの仕事

師にとって最も大変なことの一つは、常に危険が隣り合わせの仕事であることです。

海で広い範囲にわたり漁を行う際、どれだけ注意していても予測不可能な事故が発生することがあります。

特に多いのは「転落事故」で、船の走行中や漁をしている最中に海に転落する事故です。

小型船を単独で操作している場合、救助や発見が遅れることがあり、悲劇的な結末に至ることもあります。

とくに天候が悪いときには事故が起こりやすく、注意深く作業することが必要です。

漁師たちは自身の安全だけでなく、帰宅を待つ家族の心配や不安も抱えながら仕事に取り組んでいます。

世間一般と生活リズムが異なる

沿岸漁業や沖合漁業、遠洋漁業といった漁業の種類によって生活パターンが異なり、漁師の生活は世間一般とずれたものとなります。

沿岸漁業では、早朝や夕方に出港し、獲れた漁獲物を取引所や市場に持ち込むことが一般的です。

早朝の起床や夜間の作業がつづくため、一般的なサラリーマンの生活とは大きく異なります。

沖合漁業では、 数日間船上で過ごし、夜間も操業が行われます。

船上での生活は厳しく、風や波の影響を受けながらの作業が求められます。

遠洋漁業は、数か月間日本を離れて行うため、自由時間が極端に短くなります。

長期間船上で過ごすことで孤独感を感じたり家族と離れて過ごしたりする時間が多く、漁師にとっての精神的な負担となります。

近年、これらの生活環境の厳しさが若者の漁師への参入を難しくしている一つの要因といわれています。

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漁師の悩み

収入が不安定になりがち

漁師の収入はその日の漁獲高に左右されます。

大量に魚が獲れた日は多くの収入が期待できますが、逆にほとんど獲れなかった日は収入がわずかになります。

漁獲高は季節や天候によっても大きく変動し、一年を通して収入の波が激しくなります。

これはサラリーマンのように毎月決まった額の収入がある生活とは異なります。

漁師は収入の不安定さをカバーするため、漁協の婦人部が水産加工品の調理や販売を行って収入を得るケースもあります。

加工品は長期保存ができるため、持続的な売り上げにつながり、収入源の一翼を担っています。

漁師は収入を漁だけに頼らない工夫が重要であり、こうして収入の不安定さを補う努力がされています。

人手不足と高齢化

1961年に699,200人いた漁業就業者の数は、2019年には144,740人と約5分の1に減少しています。

これは日本の漁業の厳しい状況を示しています。

人口減少や都市化の進展、漁業の労働環境の過酷さなどから、漁師を志す若者が激減したからです。

これにより、漁業の現場は常に人手不足で、高齢化が進んでいます。

実際、現場では一般企業なら定年退職しているケースも多い60代~80代も多く働いており、近年は外国人労働者なども増えてきています。

漁師を辞める理由で多いものは?

水産庁の資料によれば、35歳以上55歳未満の漁師の離職理由は、主に「経営体によるもの」や「収入や労働条件のため」が多くを占めています。

具体的には、経営体によるものは業績悪化、倒産、解雇などが含まれます。

漁業は一般的なサラリーマンのように定期的な収入があるわけではないため、生活の不安定さが不安視され、そのために転職を選ぶ人が多いようです。

特に自然災害や気象条件などが影響し、漁業の経営が一度大きく傾くと、その後の経営が困難になり、倒産や廃業に至ることが少なくありません。

漁業の厳しい現実に直面した漁師が、安定した収入を求めて漁業を諦めて他の職種に転職するケースも多いようです。

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漁師不足解消に向けた動きも

急速な人手不足や高齢化をうけて、漁業者だけでなく国を挙げて支援しようと取り組みを始めています。

たとえば、デジタル技術の活用が水産業においても進む中、生産性向上や効率化が期待されています。

これは「スマート水産業」とよばれ、政府でも推奨しています。

たとえば、宮城県東松島市では、KDDIグループと協力してデータ収集を行い、漁獲量が多い場所を分析できるようにしています。

これまでは漁師のカンや長年の経験に頼っていた部分をデータ化・システム化することで、業務量を削減し、効率を高める工夫です。

また、漁業の現状や将来性について若者に対して情報提供を行うために、SNSを利用したり、漁業体験をしたりしているところも増えています。

漁業のイメージ改善や魅力を伝え、漁師としての誇りや生計を立てる可能性をアピールすることで漁業に関心を持ってもらおうという取り組みです。

このように、政府や漁業者などが連携して取り組むことが、人手不足を解消し持続可能な漁業の確立に繋がるでしょう。

今後漁師を目指す人にとっては、さらによりよい環境で働けるようになるかもしれません。

「漁師のつらいこと・大変なこと・苦労」のまとめ

漁師の厳しい現実にはいくつかの側面があります。

漁師の仕事は「5K」と呼ばれ、若者たちからあまり魅力的に感じられないことが挙げられます。

また、漁師の仕事は常に危険と隣り合わせであり、重大な事故につながることがあります。

収入の不安定さも漁師のつらい現実です。漁獲高は季節や天候に左右され、日々の収入が大きく変動します。

この不安定さが、漁師が後継者不足に悩まされている要因となっています。