陸上選手の体型・体格

スラリ系とガッシリ系

「陸上競技」といっても、現在のオリンピックでは、男子が24種目、女子が23種目実施されています。

そのため、陸上選手の体型や体格も、種目によってバラバラですが、大きく分ければ、スラリ系とガッシリ系に分けられます。

トラック競技や跳躍系の種目は、どちらかといえば、スラリ系タイプの選手が多いです。

それに対して、砲丸投げやハンマー投げといった投てき競技の選手にはガッシリ系タイプが目立ちます。

ハンマー投げの選手がガッシリ系なのは?

たとえば、ハンマー投げや砲丸投げで世界のトップクラスの選手は、例外なく体が大きいです。平均体重は100kgを超えています。

ハンマー投げや砲丸投げは、自分が回転することによって生じる遠心力を利用して投げます。

ハンマー投げの場合、その遠心力が最大で400kg近くまでになるといわれており、それに耐えるには、体重が重い方が有利なのです。

アテネ五輪のハンマー投げで、金メダルを獲得した室伏広治選手も、身長187cm、体重99kgと日本の選手としてはガッシリしています。

男子短距離では180cm台が有利?

トラック競技や跳躍種目は、いかに前方へ速く、あるいは遠くまで体を運ぶかを競います。

それには、体重が重いより軽い方が有利で、トラック競技や跳躍種目にはスラリ系の選手が多くなっています。

たとえば、陸上界では、男子の短距離選手は身長180cm台が最も有利といわれています。

180cm、75kgのタイソン・ゲイ選手(アメリカ)を始め、188cm、80kgのリチャード・トンプソン選手(トリニダード・トバコ)、185cm、79kgのジャスティン・ガトリン選手(アメリカ)など、短距離のトップ選手のほとんどが180cm台です。

190cm以上の選手は、スタート後の加速が鈍く、出遅れやすいために不利というデータが出ているのです。

また、世界のトップクラスの選手は、100mを43〜45歩で走り抜けます。平均の歩幅は2.20〜2.30mで、身長が180cm以上なければ、この歩幅で走ることは難しいと考えられています。

身長170cm台で世界のトップに挑む

男子100mで、日本人初の9秒台をめざす桐生祥秀選手は、175cm、65kgと、世界トップクラスの短距離選手の中では小柄です。

桐生選手の走りを分析すると、スタート後の加速はよくても、後半の失速が大きいようです。さらに、100mを走るのに47歩前後かかっていて、平均の歩幅も2.13mと、世界のトップ選手と比べて短くなっています。

実は、男子100mで9秒58の世界記録をマークしたウサイン・ボルト選手(ジャマイカ)は、身長が194cm、体重が94kgです。

確かにスタートで出遅れるものの、100mを41歩、平均の歩幅も2.44mで駆け抜けるため、後半の追い上げで巻き返します。

世界記録をマークする前は、スタートのうまいアサファ・パウエル選手(ジャマイカ)のスタートを研究してタイムを縮めることに成功しました。

大切なのは自分の体型に合った走り方とレース戦略

桐生選手も、歩幅が短い分、ピッチ(回転)数を上げることで補うことは可能です。さらに技術的に無駄な部分を修正していけば、もっとタイムを縮めることができるはずです。

大切なことは、自分の体型や体格にあったスタイルを追求するとともに、技術的な無駄を省くことでフォームを洗練させることです。