陸上選手のつらいこと・大変なこと・苦労

陸上選手のつらいこと・大変なこと

故障や怪我で大会を欠場すること

陸上選手にとって最もつらいことは、故障で大会に出場できないことでしょう。

どの選手も、大会で自己ベストの更新をめざして、それまでトレーニングや調整を行います。

目標としていた大会に出場できなければ、それまでの努力も報われません。

大会が大きな舞台であればあるほど、選手は気持ちのやり場に困るほど大きなショックを受けます。

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陸上選手の怪我・故障

「外傷」と「障害」

スポーツで起きる怪我には、突発的なアクシデントによる「外傷」と、同じ運動を繰り返し行うことで起きる「障害」があります。

陸上選手に多いのは、同じ運動を繰り返すことで起きる「障害」です。

もちろん、突発的なアクシデントによる捻挫や打撲、骨折、脱臼といった「外傷」もありますが、それより体への負担が重なって起きる腰痛や膝痛、肉離れ、疲労骨折、アキレス腱の痛みなど「障害」の方が多いです。

シーズン当初に起きやすいシンスプリント

とくに、シーズン初めに起きやすい症状として「けい骨の疲労性骨膜炎(シンスプリント)」があります。

すねの下の方が、骨と筋肉が付着するラインに沿ってうずくように痛みます。

最初のうちは、運動の開始時に痛み、体が温まってくると痛みを感じなくなります。

しかし、それを放置しておくと、けい骨の疲労性骨折に発展しやすくなります。

シンスプリントを防ぐためにも、シーズン当初からの飛ばし過ぎは禁物です。

さらに、痛みを感じたら、早めに専門医の診断を受け、アドバイスに従ってしっかりケアする必要があります。

痛めやすい部位は種目によって違う

同じ陸上選手でも、障害を起こしやすい部位は種目によって多少違っています。

短距離やハードルの選手にとくに多いのが、太ももの裏側の肉離れです。

疲労の蓄積で、太もも裏の筋肉が硬くなった状態で強い負荷をかけた時に起きやすいようです。

また、短距離の場合、膝や足首、足裏の腱を痛める選手が多いです。

中長距離の選手に多い「ランナーひざ」

中長距離の選手に多いのは、膝やすね、アキレス腱、それに足を痛めることです。

膝やすねの腱や筋肉が痛んだり、足の骨を疲労骨折したり、さらにはアキレス腱や足裏の筋膜を痛める人も多くなっています。

とくに、中量距離の選手に目立つのが「ランナーひざ」と呼ばれる「膝蓋骨軟化症」です。

ひざに負担がかかりすぎて、ひざのお皿の裏側にある軟骨が痛み、走るとひざの前側が痛くなります。

投てき選手や跳躍選手に多い症状

投てき種目の選手は、腰や手首、肩、ひじを痛めやすく、跳躍種目の選手は、腰やひざ、アキレス腱を痛めやすくなっています。

跳躍選手に多いのが、「ジャンパー膝」と呼ばれる症状です。

ジャンプすると、ひざのお皿の上端や下端が痛くなります。

これは、ジャンプを繰り返すことで、ゆざ関節でクッション役を果たす腱に負担がかかり、炎症を起こしたり、小さな断裂を起こした状態です。

痛みは、体の発するサイン

どの種目の選手でも、痛みが、体の発するサインである点では同じです。

どこかに痛みを感じることは、その部位に負担がかかっているということです。

また、同じ練習メニューをこなしていても、選手によって負担のかかり方は違いますし、各部位の強さも違います。

大切なことは、痛みを感じたら、練習メニューを軽くしたり、専門医の診察を受けて様子をみることです。

痛みがあるのに無理を重ねれば、大きな故障に発展しかねません。体の発するサインに敏感になり、慎重に対処することが重要です。

陸上選手の悩み・よくある怪我

陸上選手によくある悩みや怪我の内容について、実際の例を挙げて紹介します。

桐生祥秀選手の場合

京都の洛南高校時代から、100mで日本人初の9秒台を期待されていた桐生祥秀選手は、高校卒業後、東洋大学へ進みました。

さっそく5月に、ゴールデングランプリ東京の100mに出場、ジャスティン・ガトリン(アメリカ)らすでに9秒台を出している選手と一緒に走って注目されました。

結果は10秒46でしたが、その後も毎週のように大きな大会に出場します。

7月の世界ジュニア選手権の100m準決勝で、ついに股関節を痛めます。

それでも決勝レースに出場し、3位入賞を果たしましたが、70m付近で両ヒザの後ろがつったことで後半失速していました。

さらに、この大会では400mリレーに出場しています。

9月の日本インカレは200mだけの出場にし、優勝しましたが、決勝で左の太もも裏を痛めます。

その結果、歩くこともつらい状態となり、左太もも裏の肉離れと診断されました。

全治2カ月で、9月下旬から韓国の仁川で開催されたアジア大会に出場できませんでした。

現役生活は長くても30代までと考えれば、大きな大会をけがで欠場してしまうことは、競技人生において大きなマイナスです。

桐生選手の場合は、その後リオデジャネイロオリンピックに出場して、4×100mリレーで銀メダルを獲得。

その後、日本人初の9秒台など大活躍をすることができましたが、けがを理由に調子や自分のフォームを崩し、引退してしまうケースもあるため、やはりけがはあなどれません。

野口みずき選手の場合

2004年アテネ五輪の女子マラソンで、金メダルに輝いた野口みずき選手は、その後、左アキレス腱の故障に苦しみました。

ようやく故障を乗り越え、2008年北京五輪の代表に選出されましたが、本番直前のスイス合宿中、今度は左太ももの肉離れを起こしてしまいました。

当時、緊急帰国して懸命の治療が行われましたが、本番レースの5日前に出場を辞退しました。

野口選手はその後、ロンドン、リオデジャネイロとオリンピック出場を目指して現役を続けましたが、結局ケガとの戦いが続き、オリンピックの舞台に再び戻ることは叶いませんでした。

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陸上選手を辞める理由で多いものは?

陸上を辞める理由は大きく分けて2つ。

けがや体調不良など身体的な理由か、競技へのモチベーション低下など精神的理由です。

陸上選手は、ひざやアキレス腱などの外傷はもちろん、自らを厳しく追い込むために体調不良に陥るケースも多くみられます。

とくにロードレースの女子選手は、生理不順など産婦人科系の悩みを抱えることがあります。

レースに体調を合わせるための苦労も男子以上にあるのが現実です。

また、モチベーションの維持も陸上を続ける上では大きな要素です。

オリンピックや世界選手権など、大きな大会に出るために選手たちは厳しい練習に取り組みます。

そのため、大会後にもう一度そのつらい練習に向き合う気持ちが生まれず、引退を決断する選手もいます。