落語家への転職

覚悟を決める

落語家になるためには学歴や資格などはいっさい関係ありませんから、いったん社会人になってから落語家へ転職することも可能です。

実際にまったく別の職業から転身している落語家も多数見受けられます。

ただ、一人前の落語家になるまでにはおおむね4年程度の見習い、前座という修業期間があります。

師匠宅や寄席で雑用をおこなう分、小遣いというかたちで給金はもらえますが、それまでの収入より少なくなることも多いでしょう。

また、現在は通いの人も多いようですが、場合によっては師匠宅に住み込む必要があります。

いずれにしても最初の4年間は、余一(よいち/31日)しか休みがありません。余一会という特別興行もありますから、無休の可能性もあります。

落語一色の生活にがらりと変わりますが厳しい修業に耐えられるのか、覚悟を決める必要があるでしょう。

さらには一人前の二つ目となってから真打に昇進するまでの約10年間、自分で探さない限り仕事はありませんが、たとえアルバイトをかけもちしながらでも乗り切らなければなりません。

準備をする

三遊亭美るく(さんゆうてい みるく/1979- )という落語家がいます。

会社員をしていたときにたまたま寄席で観た落語に魅せられ、とくに落語や業界について詳しく調べることもなく、いきなり三遊亭歌る多(さんゆうてい かるた/1962- )師匠のもとに入門されたようです。

もし予備知識があったら躊躇して転職しなかったかもしれないので、情報収集はしないほうがいいかもしれないとも言っています。

思いきりがないと飛び込めない業界ですし、誰もが人気の落語家になることができるとは限りませんから、仕事を辞めてしまう前にある程度は準備をしたほうがいいでしょう。

弟子入りする師匠には生涯ついていくことになりますから、どのような一門や寄席(よせ)、演目(ネタ)があるのか、できるだけたくさんの落語および落語家に触れて検討する必要があります。

また実際に寄席に通い、落語業界についても学びましょう。

おそらく美るくさんはたとえ事前に情報収集をしたとしても、ためらうことはなかったのではないでしょうか。

修業の途中で落語家になることを断念するぐらいの思いであれば、詳しく調べているあいだにあきらめてしまうはずです。

実際に入門したあとは一門の落語にどっぷり浸ることになりますから、それ以前にさまざまな流派のあらゆる演目を勉強しておくとよいでしょう。

弟子入りする

落語家には求人募集などはありませんので、とにかく師匠に直談判します。

知り合いにツテがある場合は頼むことも考えられますが、そうでなければ寄席の楽屋口で出待ちをするのが一般的なようです。

とはいえ最初はほとんど断られると腹をくくったほうがいいかもしれません。

繰り返し落語家になりたい熱意や師匠についていく覚悟を伝えるうちに、師匠が根負けして入門を認めてくれることもあるでしょう。

それから約14年間、真打に昇進できるよう稽古に励む日々が続きます。

ちなみに上方では真打制度は消滅していますが、流れは変わりません。もちろん落語の研究や稽古は真打になってからも生涯欠かせません。