落語家の現状と将来性

落語家の現状

歴史的に、東京、上方(かみがた/近畿圏)のそれぞれから人気の落語家が多数輩出され、寄席や落語会、書物、録音物、ラジオ、テレビによって、落語が広く普及していきました。

ところが真打制度は選考基準がはっきりしないという問題がくすぶっており、1978年(昭和53年)には「落語協会分裂騒動」へと発展しました。

当時会長だった五代目柳家小さん(やなぎや こさん/1915-2002)による真打大量昇進に反対した六代目三遊亭圓生(1900-1979)が「落語協会」を脱退し「落語三遊協会」を設立した事件ですが、本人は翌年亡くなってしまいます。

結果的に、現在の東京では「落語協会」「落語芸術協会」「円楽一門会」(現「五代目円楽一門会」)「落語立川流」の4団体が主流となっています。

後者2団体は、圓生の弟子だった五代目三遊亭圓楽(さんゆうてい えんらく/1993-2009)、七代目(自称五代目)立川談志(たてかわ だんし/1915-2011)がそれぞれ設立しています。

上方では、昭和40年代のブーム(仁鶴、三枝、鶴瓶、ざこば)の際に、真打制度は事実上意味をなさなくなり、騒動の原因にもなることから消滅しています。

また、平成に入ってからも落語ブームが起きました。

1993年(平成5年)には史上初の女流真打が同時に二人(三遊亭歌る多、古今亭菊千代)誕生したり、1995年(平成5年)には落語家初の人間国宝(五代目柳家小さん)が認定されたりしています。

翌1996年(平成7年)には上方の三代目桂米朝(かつら べいちょう/1925-2015)が落語家二人目の人間国宝に認定されました。

そのほか、TBS系ドラマ「タイガー&ドラゴン」(2005)やNHK連続テレビ小説「ちりとてちん」(2007〜2008)といった落語をテーマとしたテレビドラマも人気を博しました。

落語家の将来性

昭和40年代の爆発的な盛り上がりから平成のブームが起きるまでのあいだ、お笑い業界は漫才やコント、バラエティに押され、落語の行く末を心配する声もありました。

しかし再び活気を取り戻すなど、常に進化しながら、伝統を紡いでいくのが落語であると思われます。

落語業界はほとんど男性社会だったという面においても、すでに風穴は開けられました。

間口が広くなり、いったん人気が高まったあとですから、現状は落語ファンも落語家志望者もどちらも人数が多いと考えられます。

この先どのような流れになっていくのかは、長い歴史や昨今のブームをふまえたうえで、なおかつおもしろい落語家が登場するか否かにかかっています。

たとえば「仕事のできるビジネスマンは落語を聞いている」といった切り口があります。

身ぶり手ぶりを交えたトークスキルや話の構成、落としどころなどは、さまざまなビジネスに応用できるでしょう。

娯楽としておもしろいことが大前提ですが、伝統芸能として名人技に触れたいという意識が、多くの人々を落語に向かわせる要因の一つになっていると考えられます。

時代のおもしろさを読み取ることができるかどうかによって、業界全体も個人の落語家としてもさまざまな将来が待ち受けているといえるでしょう。