農家の役割

食料自給率の維持、向上

農家の基本的な役割は農畜産物を生産することです。

農林水産省によりますと、国内における平成25年度の食料自給率はカロリーベースで39%、生産額ベースで65%となっており、近年ほぼ横ばいで推移しているようです。

ただし平成26年に内閣府が行った世論調査によりますと、実に83%の方が将来の食料供給に対して不安を感じているという結果がでており、潜在的な生産能力をあらわす「食料自給力」に関しては問題があるといわざるを得ません。

国内生産による食料供給能力を維持、向上させるという役割を農家は持っています。

環境保全、文化の継承

農業には食料や農作物を供給するといった本来の目的以外にもはたす役割があります。

それは環境保全や景観の形成、文化の伝承などといった機能です。

環境保全の観点からしますと、農村には水源の育成や防災、大気の浄化といった役目があり、地下水をつくったり、洪水や土砂崩れを防いだり、暑さをやわらげたりしているのです。

さらに農村は土の流出を防いで川の流れを安定させたり、さまざまな生き物のすみかとなって自然環境を育んだりしています。

景観の形成機能とは、たとえば棚田やため池、広大な畑や果樹林など農村の美しい風景によって人々の心が癒されたり安らいだりしているということです。

文化の伝承という観点からしましても、地域のお祭りや年中行事、あるいは郷土料理といった伝統文化は農業と深く関わっており、それらを継承していくことが農家にとっての役割でもあるといえるでしょう。

新たな農家の役割

従来の農家がはたしてきた役割に加えて、これからの農家は経済、産業面においても新たな展開をする必要があるかもしれません。

農業そのものは農畜産物の生産をする第1次産業ですので、いままではものづくりをする職人タイプの農家の方が多かったという声も聞かれます。

出荷先が農協だけにかぎられている場合は職人気質のほうが向いているかもしれませんが、新たに農業をはじめてしっかり継続することを考えると、第2次産業の食品加工や第3次産業の流通、販売についても意識したほうがいいでしょう。

農業経済学者の今村奈良臣氏の提唱した造語に「第6次産業」というものがあります。

第1次産業、第2次産業、第3次産業を合わせると第6次産業になるという意味で、生産だけでなく加工や流通、販売にも業務展開する経営形態のことをあらわします。

従来の農業では機能的な機械をつかって広大な農地を管理することが売上の向上につながると考えられてきましたが、近年では6次産業化によって成果をあげている農家も多いといいます。

6次産業化した農家が成功する理由は、食材である農作物が実際に消費者の口もとに運ばれるまでのさまざまな過程を考えたうえで生産するからではないでしょうか。

いわゆる「食育」についての意識を社会に広めることが、新たな農家の役割といえるかもしれません。

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