宮大工のつらいこと・大変なこと

修行期間が長い

センスもさることながら現場での経験年数が物を言うのが職人の世界の常というものです。もちろん宮大工も例外ではありません。

特筆すべきは、その修行期間の長さでしょう。

一般的な家屋大工の場合、個人差はありますが大体2~3年現場経験を積めば一通りの業務をこなせるようになるといわれています。

しかし、宮大工に関して言うと最低でも7~10年見習いとして過ごさなければ一人前としてみなされないのです。中には20年やってやっと一人前だ、と考える棟梁(とうりょう)もいます。

宮大工は木材加工もすべて手作業で行い、その良し悪しが現場での作業に直接影響します。また、手入れの行きとどいた道具でないと良い木材は加工できません。

宮大工にはこうした現場作業以前に習得しなければならない作業が多々あるのです。

見習いの期間は当然、心身ともに厳しさを感じる場面が多くなるでしょう。

それでもくじけることなく、常に向上心を持ち、努力し続ける精神力を長きにわたって維持し続けなければ一人前の宮大工にはなれないのです。

天候に左右される

宮大工を含む大工仕事は雨の日や風の強い日には休まなければなりません。賃金は日当で計算されることがほとんどであるため、悪天候は直接収入に影響します。

したがって梅雨の時期や台風の時期は大工泣かせであると言えます。また積雪の多い地方では冬場は作業を一時中断しなければならなくなることも多く収入が安定しづらいという苦労もあります。

一般建築物において需要が少ない

宮大工が専門とする木組み工法は木材加工をすべて手作業で行ったり、原寸図を作成してから作業を行ったりと手間のかかる工程が多々あります。

そのため、工期が長くかかってしまうという難点があります。さらに施工できる技術者の少ない貴重な工法であるという観点から考えてもどうしてもコストがかかってしまうのです。

このような理由が一般的な住居を木組みで建てることに対する抵抗感が生じているという現状があります。低コストな上に工期が短くて済む在来工法が主流になったのはそのためです。

神社や仏閣などの歴史ある建造物は木組みで建てられているため改築や修繕は宮大工が請け負いますが依頼される数はある程度決まっています。

そのため、まとまった収入を得るために在来工法の技術も習得し、一般的な住宅建築を請け負う宮大工も増えてきているのが実際のところです。

しかし、木組み工法は日本の風土に適しており、耐久年数も長いため、愛好家も少なからずいます。そのような購買層を上手く取り込めるような営業努力をしている宮大工も出てきています。

独立した時に仕事を得づらい

神社や仏閣の施工は代々同じ技術者に依頼している、というところがほとんどです。そのため、新規に仕事を得づらい業界であるといえます。

一人前になり独立した際、その辺りで苦労することが多いかもしれません。

独立したのち安定して仕事を獲得するためには、前述のように一般建築物の分野にも適応できる知識や技術を持っておくことも必要です。