宮大工の技術

木組み工法とは

日本古来の伝統的な建築工法である木組みは釘や補強金物を使用せず、木材の特性を生かし、組んでいくことで建物を建造する貴重な技術です。

木材は木のどの箇所で作られたかによってその強度が異なります。その特性を熟知した上で適切な箇所に適切な木材を使用します。

木組みは日本の風土に適した工法であり、耐久性が高く、国内には築数百年にもなる建築物もあります。

しかし、木組み工法はコストがかかり、工期も長いため、一般住居においては敬遠されがちになってしまいました。

現在ではプレスカットされた木材を釘や補強金物で組み立てていく在来工法がメインになっています。

しかし、木組みで住居を建てたいと考える愛好家も少なからずいます。また歴史的文化財の多くは、木組みによって施行されているからこそ、今日まで残っているともいえます。

木組みは日本における貴重な文化資源の一つとして今後も継承され続けると考えてよいでしょう。

木材の加工はすべて手作業

木組みで使われる木材の加工はすべて職人の手作業で行われます。見習いの宮大工は接木に関わる前にまず木材の加工から仕込まれるのが一般的です。

たとえば、木材の表面をカンナで削って磨きあげていく作業は初期の段階で身につけておくべき技術の一つで地味ながら建物の良し悪しを左右するとても大切な作業であるため、確実な習得が求められます。

木材を加工するときに大切なことは樹種や木のどの部分を使用するかを考えた上で使用箇所を決定するということです。

切り出してから用途を決めるのでは木材の持つ特性を十分に生かすことができません。それと同時に、木材の収縮などの経年変化を読むことも必要不可欠です。

これらは長年の経験で培った勘どころを総動員して判断していきます。それ以外にも木と木を継ぐための緻密な仕口と継ぎ手は熟練の技術が成せる技であるといえます。

芸術性の高い木鼻

神社や仏閣の柱や梁に美しい木彫りがされているのを目にしたことのある人は多いでしょう。これらを木鼻と呼びます。

木鼻も全て宮大工の手作業で施されたものです。

木鼻はノミと呼ばれる道具で何日もかけて丹念に彫りあげられます。木鼻の良し悪しは芸術的センスもさることながら、良い道具を適切に使いこなせているかどうかで決まります。

また女性が活躍しづらい大工の世界で、女性の繊細さが生かせるのがこの工程であるともいえます。

道具の手入れが大切

大工にとって工具は命の次に大切なものであるといっても過言ではありません。大工の商売道具である工具の手入れは何よりも大切にしなければならない作業なのです。

とくに木材加工も手作業で行う宮大工は常に工具をベストな状態に保っておくことが要求されます。

手入れの行きとどいていない工具で切り出された木材は当然良いものにはなりません。そのような木材を使えば建物の質に影響します。

そのため宮大工は一日の作業がすべて終了した後は専用の研ぎ場に直行し、数時間をかけて道具の手入れを行うのです。

原寸図に従って作業が進む

木組み工法の大きな特徴はベニヤ板に原寸図をおこすことです。原寸図に従って木材を切りださないと誤差が生じ、接木の段階で納まりがつかなくなってしまうためです。

ほんの少しの狂いが木組み工法においては命取りであるといえます。

ベニヤ板に原寸図を起こすためには図学と呼ばれる知識が必要です。この図学の習得も見習いの宮大工にとっては骨が折れることでしょう。