救急救命士の特定行為とは

救急救命処置が制限される場合

救急救命士は、一刻一秒を争う現場に出動して人の命を救うために力を尽くします。

重体の傷病者の命を救うためには、できる限りの施術を行う必要がありますが、気管の挿入や薬剤の投与といった医療行為は身体への負担が大きく、医師の診察なく実施すると、症状を逆に悪化させる危険性をはらんでいます。

そうしたことから、救急救命処置の一部は救急救命士法によって禁止されているものの、救急救命士が病院の医師と無線で連絡を取り、医師の許可を受けることで施術可能となる行為もいくつかあります。

このように、救急救命士にとって医師の許可が必要な医療行為のことを「特定行為」といいます。

具体的な特定行為とは?

救急救命士法で定められている特定行為は、以下の5点です。

(1)静脈路の確保
(2)医療器具を使用した気道確保
(3)薬剤投与
(4)心肺機能停止前の重度傷病者に対する静脈路確保及び輸液
(5)血糖測定並びに低血糖発作症例へのブドウ糖溶液の投与

上記のうち、4と5については法律の改正によって、平成26年4月1日から特定行為が拡大された形で実施できるようになったものです。

なお、救急救命士が特定行為をするためには、その内容によってそれぞれ研修を受けなくてはなりません。

特定行為をめぐる諸問題

特定行為は、救急救命士の医療行為を制限します。

しかし、一刻を争う重体の傷病者に薬剤が十分に投与できない、呼吸停止の場合に気管の挿入が十分にできないといったケースもあり、特定行為の定めによって適切な応急処置を施せないがために、傷病者の死亡率が上がっているのではないかという議論が進んでいます。

また、現場の救急救命士からすると、できる処置が制限されていることで、助けられる命が助けられないということになります。

こうした背景のなか、新たに特定行為が拡大されたことで話題を集めました。今後も議論の進展とともに、特定行為については変化していくことが考えられます。