中学校教師と高校教師の違い

修得単位数の違い

「教員」と一口に言っても、校種によってそれぞれ有している免許状が違います。つまり、中学の免許状しか持たない人は高校では教壇に立つことができません。

教員免許状取得に必要な科目やその単位数は、文部科学省が定めています。これに従い、教職課程のある大学では「一種免許」(短大では「二種免許」)が取得できるよう、授業を開設しています。

中・高ともに最低修得単位数の合計は同じく67単位(教科によってはこれ以上の単位が必要)ですが、内訳が異なります。

「教科に関する科目」や「その他の科目」(日本国憲法や体育、外国語コミュニケーション、情報機器の操作)は中・高ともそれぞれ、20単位と8単位で同じです。

しかし、「教職に関する科目」が中学では31単位なのに対し、高校では23単位と中学の方が多くなっています。これは、中学には高校のカリキュラムにない「道徳」の授業があり、また教育実習も高校で行なう場合より中学で実施する方が1週間長いため等の理由によります。

一方、「教科又は教職に関する科目」は中学8単位なのに対し、高校では16単位と高校の方が多くなっています。どの教科も、高校の授業の方が専門的であるため、深く広く学んでおく必要があるからです。

さらに、平成10年度からは、中学校の免許状を取得するために社会福祉施設等における7日間以上の介護体験が必須となりました。

両方の資格を取得しておく

高校の教員免許と中学校教員免許は共通するところが多いので、両方の免許を取得する人が多いです。両方の資格があれば、就職先の幅を広げることができるので、どちらも取得しておいたほうがよいでしょう。

教育実習も中学、高校のいずれかで実習すればよいケースが一般的です。ただし、中・高両方の免許を取得する場合、高校教員免許だけのときと比較して、教育実習の期間が長くなることがあります。

資格ガイダンスの折にどちらの校種でどれだけの期間、実習を行なえばよいか、必ず確認してください。

中学校は「義務教育」

中学校は、公立か私立かによってかなり雰囲気が違います。

公立であれば、学区内の生徒が全員入学しますので、学力に差があったり、小学校からの人間関係でクラス・学年の気風が決まったり、指導が難しい場面も。

私立では受験を経験しているため、学力的な差は大きくない反面、高校あるいは大学までエスカレーター式に進学できるとあって、学習面でのんびりしがちであり、教師への態度も「友達感覚」になる傾向が見られます。

ただ、公立私立問わず義務教育なので、自立して生きていくための基本的な学力や社会のルールなどを、生徒に寄り添いながら丁寧に教えるのが中学校教師の重要な役割です。

12歳から15歳の思春期真っ只中の学生は心身ともに未熟な部分が多く、万引きや暴力など問題が多々あります。また過保護な親の干渉もよくあります。俗に言うモンスターペアレントですが、その対応も中学と高校では変わってきます。

基本的には中学校は義務教育のため問題を起こした学生に対しても退学をさせることはありません。そういった面を含めてより良き人間性を育てるのが中学校教師の職務だと言えます。

高校では生徒の自主性を重視

それに対して、高校は義務教育ではないため、「生徒は自らの意志で学びにきている」と捉えます。

学生も自立をはじめ、大人の階段を上りはじめます。文化祭なども生徒たちが自主的に行うことによって教師の負担は減りますし、問題を起こした生徒に対しては相応の処置を取ることができます。

よって、謹慎指導や退学処分といった厳しい対応を通して、社会で「大人」として扱われることの責任を教えるケースもあるでしょう。

生徒の未来を担う点では中学校も高校も変わりありませんが、その教育内容、生徒への接し方に関しては若干異なる場面があります。

生徒の能力を伸ばす

高校も、公私によって校内の様子は異なりますが、同じ公立でも進学校か専門校(職業校)かで指導のスタイルが大幅に違います。

有名難関大学を目指す生徒たちには高校3年間で履修する内容を2年程度で教え、受験までは問題演習がメインとなる授業を展開しなければなりませんし、生徒の学力を向上させるため、教師は日頃から自分の受け持つ科目に対して勉強しなければならないでしょう。

一方、卒業後に働く生徒の多い学校では中学校までの基礎学力を補完すべく復習に力を入れつつ、社会人として必要な決まりやマナーを指導することに力を入れます。

学校によって方針の違いはありますが、卒業後の進路に則して、個々の生徒が身につけるべき力を伸ばす支援をするのが高校教師の役目なのです。

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