航海士の陸上勤務

繰り返される海上勤務と陸上勤務

航海士として会社に採用されると、海上勤務から始めることが大半になります。

勤務先の企業によっても異なりますが、一般的には何年間か海上勤務を経験した後、陸上勤務に移行することになります。

陸上で勤務する期間は2〜3年となっており、その後は再び海上勤務を行うことになります。

海上勤務と陸上勤務は交互に繰り返されていくのですが、陸上勤務の場合に配属される部署はその都度変更されるのが通例です。

陸上勤務中は会社の用意した社宅に居住することができますが、海上勤務になった場合それまで住んでいた社宅を維持する制度がないことが多いです。

つまり、持ち家を持っていない人は、陸上勤務になるごとに転居を余儀なくされます。

勤務先は本社に限らないため、全国各地の支店および子会社へ派遣されることも多く、陸上勤務中の航海士は転勤族といえます。

また、陸上勤務時は海上勤務時にあるような手当てがつかないため、給与が下がってしまうケースがよくあります。

培った経験値を受け渡す

若い航海士は、海上勤務で海の仕事を覚えることになります。

乗船実績を積み、階級の上がった航海士は年齢が進むに連れて、それまでの経験を生かした陸上での仕事を任されるようになります。

つまりは、船を管理し人を育成する職種へと変わるというわけなのです。

危険が伴い体力が求められる海上勤務を行うのには、年齢的な体力の衰えがどうしても影響してきます。

しかし、体力が衰えていく一方で乗船生活の中で培われた人間性と専門知識、さまざまな問題に対処できる経験値は年数と共に増えていきます。

熟練した航海士の人間性と経験値は、若い航海士へと受け継がれることで海運業界全体が活性化することは間違いありません。

技術畑に配属になることも

しかし海上勤務しか経験したことのない航海士が、初めて陸上勤務をスタートさせるときには面食らうことも多くあります。

自分が今まで経験してきた船内での仕事環境とは何もかもが違うわけですから、これは仕方のないことかもしれません。

技術部門に配属された場合、仕事内容は貨物の運搬、固縛方法のマニュアル作成、船上で使用される専門機器の企画、開発、調査などが該当します。

航海士としての経験が問われる業務内容が大半ではあるのですが、力学や資材、材料に関する科学的な知識が必要になることもあります。

海上で得られた知識と陸上で検証された技術を融合させる、大変重要な任務を任されることになるのです。