騎手の賞金の配分の仕組みは? 中央競馬と地方競馬の違いや年収についても解説

騎手の収入の仕組み

中央競馬の騎手の収入の仕組み

騎手の大きな収入は「進上金」と呼ばれるお金です。

レースに出馬して賞金を獲得すると、その金額を馬主や調教師らと分け合い、一部が「進上金」として騎手にも入ってきます。

賞金額はレースごとに異なり、大きくて有名なレースほど高めに設定されています。

たとえば、外国からの招待馬も出走する「ジャパンカップ」、また「有馬記念」は、2022年度の場合、1着賞金が4億円です。

春と秋に開催される「天皇賞」の場合、2022年の春(第165回)の1着賞金は2億円。2着8000万円、3着5000万円、4着3000万円、5着2000万円でした。

さらに、「菊花賞」の1位賞金は1億1500万円(2021年)と、中央競馬会(JRA)の主催するG1レースの賞金は高額で、賞金総額が2億円を超えます。

賞金は5着以内に与えられ、獲得した賞金は馬主と調教師、騎手、厩務員で分けます。※なお、6着~8着は(重賞の場合は6着~10着)には「出走奨励金」というお金が与えられます。

取り分は、馬主が約80%、調教師が約10%、騎手と厩務員が約5%ずつ(障害レースの騎手は約7%)となっています。

たとえば2022年にジャパンカップで優勝すると、1着賞金4億円のうち、騎手は5%の2000万円を受け取ることになります。

こうした賞金のほかに、レースに騎乗したことによって得られる「騎乗手当て」や、調教を行うことで得られる「調教手当て」などの合計が騎手の収入となります。

→参考:東京馬主協会 レース賞金について

地方競馬の騎手の収入の仕組み

中央競馬に対して、地方競馬の場合、賞金総額はかなり低くなります。

重賞レースの川崎記念(川崎競馬場)で、1着賞金が6000万円です。以下、2着が2100万円、3着が1200万円、4着は600万円、5着が300万円で、賞金総額は1億200万円です。

地方競馬では、賞金総額が1億円を超える重賞レースは限られ、賞金総額が数百万円、数十万円というレースもあります。

1着賞金が15万円前後というレースも珍しくはなく、このレースで1着に入っても、騎手の取り分は5%のわずか7,500円です。

中央競馬と同様に、騎乗手当てや調教手当てもありますが、金額は決して高くありません。

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騎手の平均年収・月収

中央競馬の騎手の平均年収・月収

騎手の収入は、レースで獲得した賞金の5%(進上金)に加えて、レースに騎乗すると支払われる「騎乗手当て」と「騎手奨励手当て」が中心となります。

「騎乗手当て」と「騎手奨励手当て」は、中央競馬の場合、「G1」や「G2」と呼ばれるレースのランクによって決まっており、1レース当たり4万円~8万円となっています。

実力のある騎手は、1日に複数のレースに騎乗するため、手当てだけでも1日に10万円以上の稼ぎになります。

中央競馬会の騎手は、平均年収が1000万円といわれています。実力のある騎手になると、年収も2000万円以上になります。

月収でいえば、80万円~160万円ほどとなりますが、その月のレースにおける成績によって大きく変動するものです。

人気も高ければ、イベントやテレビ番組、CMへの出演料、さらに本を出版したときの印税やグッズの売上げなどで、1億円を超える人もいます。

ただし、実力がなければ、なかなか騎乗できず、収入は数百万円と低めになります。

それでも、厩舎に所属していれば毎月、厩舎から給料をもらえます。

また、どこの厩舎にも属さないフリー騎手でも、レース前などに調教で騎乗すると、1頭あたり数千円の手当をもらえます。

そのため、中央競馬の騎手には、生活に困るほど収入の低い人はいないといわれています。

地方競馬の騎手の年収・月収

中央競馬の騎手と、地方競馬の騎手では環境が大きく異なります。

地方競馬のレース出場手当ては、レースによって数千円が相場で、調教手当てもわずかな額です。

もちろん、重賞レースに何度も勝てば、収入は1000万円以上になりますが、大きなレースに何度も勝たなければ、なかなか収入は増えていきません。

中央競馬に比べ、地方競馬のほうが実力によって年収に差が出やすく、勝利数の少ない騎手には、年収が200万円以下という人もいます。

騎手のトップの年収

中央競馬のトップ騎手の年収

中央競馬におけるトップ騎手は、年間でおよそ700~800レースに騎乗します。

この騎乗1回につき騎乗手当てが約4万円つき、レースの結果によって得た賞金総額の約5%がさらに収入となります。

武豊騎手で見ると、2005年に212勝のJRA年間最多勝記録(当時)を樹立した年に、約2億2000万円の収入があったと推測できます。

多くの騎乗依頼を受け、G1レースなど賞金の大きいレースを勝ち続けることは簡単なことではありませんが、その分、成功者には大きな収入が待っているともいえます。

さらに、ここにメディア出演した分の出演料などが入るため、さらに年収は上がります。

地方競馬のトップ騎手の年収

地方競馬の騎手は、トップクラスでも、年収は500万円~600万円といわれています。

月収にすれば、50万円前後ということになりますが、中央競馬同様、レースにおける結果によって大きく変動します。

このため、地方競馬で結果を残した騎手は、のちに中央競馬の騎手免許試験を受けて、移籍するケースが見られます。

現在も内田博幸騎手や、戸崎圭太騎手ら地方競馬から移籍した騎手が活躍しています。

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騎手の待遇の特徴

騎手の世界は、実力によって騎乗依頼の数が増減し、能力の高い馬を任される確率も変動する厳しさがあります。

実際にレースに騎乗して得た賞金や騎手奨励手当のほかに、調教に乗ることによって得られる、調教手当も収入源となります。

実はJRAの騎乗手当や調教手当は世界トップクラスだといわれています。

結果を残せない若手騎手にとってはありがたいとも思えますが、一方でこうした状況に甘んじることのないよう向上していかなくてはなりません。

トップ騎手たちの仲間入りを果たすためにも、待遇のよさは生かしつつ、自身の成長を止めない努力が常に求められます。