棋士のトレーニング

頭の中に碁盤を描いて詰め将棋をする

「永世棋聖」の称号をもつ米長邦雄(故人)は、若いころ、師匠の佐瀬勇次棋士の自宅に住みこんでいました。

そのころ、米長が将棋盤を出して勉強しようとすると、師匠はすぐに「○○さんにこれを届けてくれ」とか、「郵便局へ行ってきてくれ」と用事を頼んだといいます。

当初、「将棋の勉強の邪魔をするとは、なんという師匠だ」と腹が立ったそうですが、そのうち、米長は「お使いに行く道すがら詰め将棋をすればいい」と思いつきました。

そして、頭の中に碁盤を思い描き、頭の中で詰め将棋をするようになりました。

頭の中に無数の盤面を画像として保存できる

いまも、昔も、プロ棋士は、たいてい目隠しをしたまま将棋が指せます。プロ棋士の頭の中には碁盤が描かれ、その碁盤で将棋の駒を自由自在に動かすことができるからです。

そればかりか、プロ棋士は、ある1局面の盤面を見れば、それが、どの大会で誰と対局したときのものか瞬時に思い出せるそうです。局面ごとの盤面が、画像として頭の中に保存されているからです。

頭の中に映像として盤面を保存できる能力を磨く

プロ棋士は、定跡はもちろん、自分の得意な戦法や好きな棋士の棋譜など、膨大な数の棋譜を覚えています。

対局のときは、目の前の展開に応じて先を読み、記憶した棋譜とも照らし合わせて、次の一手を決めていきます。

プロ棋士をめざすなら、普段から頭の中で詰め将棋を行い、盤面を映像として記憶できる能力をトレーニングしておきたいです。

そして、頭の中に碁盤を立ち上げ、自由に駒を動かしながら、局面ごとの画像を保存したり、思い出したりできる脳のシステムを作ることが大切です。

将棋の上達には地道な努力が必要

将棋は、覚えたてのころにはどんどん上達します。ある一定のレベルに達すると、それまでのようには上達しにくくなります。

しかし、その段階に達してから、どれだけ地道に努力できるかが、将棋の実力をさらに伸ばす大きなポイントです。

まず、自分の弱点を分析します。序盤が弱いのか、終盤に逆転されやすいのか、己を知ることから始め、その後、弱点を克服していきます。

弱点の克服は、序盤に弱いなら序盤に強い棋士、終盤に弱いなら終盤に強い棋士の棋譜をできるだけ多く記憶することです。そして、記憶したデータを実戦で使えるように訓練していきます。

これを地道に繰り返すうち、弱点が克服され、自分らしい将棋が打てるようになってきます。