建築士の仕事詳細 -設備設計編

日進月歩の建築設備には専門家が必要

建築物には、さまざまな設備が必要とされます。

たとえば住宅でいえば、お風呂にキッチン、トイレ、洗面化粧台、エアコン、暖房機器、湯沸機などがあります。

住宅の場合はある程度規格化されて設計を簡便に出来るようになっているものがほとんどですが、これが大規模なビルやマンション、公共建築物などになればより複雑となり、設計に当たり専門的な知識が必要不可欠となります。

さらに、建築設備は日進月歩で、常に新しい商品や工法がうまれる世界です。このため、意匠設計や構造設計、監理などの業務の片手間でできるようなものではないのです。

そのため、建築設備を専門に設計する設備設計一級建築士や設備設計士が必要とされます。

なお、法律上は、一定規模以上の建築物(階数3以上かつ5000平方メートル超の建築物)の設計を行う場合には、設備設計一級建築士が自ら設計を行うか、設備設計一級建築士に設備関係規定に適合するかの確認を受ける必要があります。

設備設計一級建築士がうまれた背景

設備設計一級建築士という制度が生まれたのは平成18年で、きっかけとなったのはマンションの耐震偽装事件です。

この事件では、他者によるチェック体制が法的に整っていなかったことが背景とされ、構造設計一級建築士の創設に併せて設備設計一級建築士も創設されました。

このように聞くと、構造設計一級建築士のついでにできたような印象を受けますが、いずれの資格も実務的にはとっくに専門化されていましたし、その実態に法整備が追いつかなかっただけで、本来あるべき姿になっただけであるといえます。

このように、設備設計一級建築士制度は、生まれるべくして生まれた資格といえます。

なお、設備設計一級建築士になるには、一級建築士として5年以上の設備設計に関わる業務経験を持ち、設備設計一級建築士講習を受講した後、修了考査に合格する必要があります。

設備設計一級建築士と設備設計士の違い

設備設計一級建築士は最近になってできた制度ですが、設備設計士はもう少し古く、平成5年に創設されたものです。いずれも業務内容は同じですが、法的な位置づけが異なります。

一定規模以上の建築物の設計を行う場合に必ず設備設計一級建築士が関与することが求められている一方、設備設計士は「建築士から求めがあった場合にアドバイスができる」とされているに過ぎず、設備設計士が関与する法的な拘束力や強制力はないのです。

ただし、設備設計士を有する一級建築士は、受験資格となる実務経験が4年に短縮されており、この4年は一級建築士になる前の設備設計士となってからの実務経験もカウントされます。

そのため、建築設備士をまずは取り、それから一級建築士を取って最終的に設備設計一級建築士になるというパターンが多いようです。