建築士の仕事詳細 -構造設計編

建築物を強度面から支える

建築物の大前提として、しっかりと地の上に立ち、通常の使用方法ではビクともせず、雪の重みや強風や地震でも倒れない、そういった強度面がしっかりしている必要があります。

その強度のもととなる設計が、構造設計と呼ばれるものです。

構造設計の一般的な方法は、「許容応力度設計法」というもので、

・建築物自身が持つ重さに通常の使用方法で想定される人や家具などの重みを加える
・それに対して雪の重みが加わった場合(積雪地域のみ)、強風が吹いたとき、地震があったときに、各部分にどれだけの力(応力)がかかるかを計算する
・それに耐えうる材料の種類や大きさ、鉄筋の本数などを設計する

といったことを行います。

このほかに、建物全体で強風や地震に耐えるかを検討する「限界体力設計法」や、超高層建築物に生じる揺れの周期を把握して設計する「時刻歴応答解析」といった特殊な手法もあります。

いずれも複雑かつ難解な計算であるため、現在ではパソコンの専門ソフトで行うことがほとんどです。

「耐震偽装事件」を契機に資格制度が導入された

平成17年に起きたマンションの耐震偽装事件では、その構造設計を請け負った元一級建築士が構造計算書の数値を偽装し、それに対して第三者のチェック機能が働かなかったことが背景にあるとされました。

それまで一級建築士であれば誰でも構造設計をすることができたのですが、この事件を契機に建築士法が大きく改正されました。

一定規模以上の建築物の構造設計については、「構造設計一級建築士」が自ら設計を行うか、構造設計一級建築士に構造関係規定への適合性の確認を受けることが義務付けられることになりました。

この構造設計一級建築士になるには、一級建築士として5年以上の構造設計に関わる業務経験を持ち、構造設計一級建築士講習を受講した後、修了考査に合格する必要があります。

また、3年毎の定期講習が義務付けられているのも特徴です。

コンピューター化されても最後の判断は設計者

先にも書きましたが、構造設計は複雑かつ高度な計算が伴いますので、実務的に人の手で計算を行うのは不可能(特に人件費や納期の問題が大きい)で、そのほとんどがパソコンの専門ソフトで行われています。

しかし、いくらパソコンが計算を行うといっても、前提となる数値や条件を入れているのが人である以上、ミスが絶対に出ないということはありえません。

そのミスがあったかどうかを、構造計算書から拾い上げたり、構造設計を確認して気付けたりするには、やはり構造設計のプロでなければできない芸当です。

このことから、いくら構造設計のコンピューター化が進歩しても、最終的な判断は設計者になり、そこがまた腕の見せ所でもあるのです。