医療介護福祉士とは

医療介護福祉士は民間資格

介護福祉士が国家資格であるのに対し、医療介護福祉士は「一般社団法人 日本慢性期医療協会」が認定する民間の資格です。

2010年に資格制度がスタートし、所定の研修を受講することによって資格を得ることができます。

かつては介護福祉士がキャリアアップを考えるとき「ケアマネジャー」を目指すのが一般的でしたが、介護福祉士としてより仕事の中身を充実させ発展させていくためのひとつの方法として、医療介護福祉士の資格が誕生しました。

医療介護福祉士の役割

医療介護福祉士のねらいは、医療機関や介護保険施設において「チーム医療」の一員として力を発揮できる介護福祉士を育成することです。

介護福祉士が働く現場には医療依存度の高い患者・利用者もいるため、介護技術のみならず、医学的知識をも併せ持つ介護福祉士の需要が高まっており、医療介護福祉士は、こうした社会的ニーズに応えるために作られた資格となっています。

医療介護福祉士になるには?

医療介護福祉士講座の受講対象は、「介護福祉士としての実務経験が1年以上ある人」です。

研修期間は6日間、24単位(講義と現場実習)を取得し、修了テストに合格することで医療介護福祉士の認定書が授与されます。

講座内容は、脳血管疾患管理や口腔ケア・リハビリテーション介護・胃ろうの管理・排泄ケア・薬や検査といった医学的知識についての講義と施設実習が行われます。

高齢者介護だけでなく、慢性期医療についても深く学ぶのが医療介護福祉士の講座の特徴です。

費用は一般参加で9万円、日本慢性期医療協会会員施設に勤務する介護福祉士であれば7万円です。

医療介護福祉士取得のメリット

医療介護福祉士は民間資格のため、国家資格のように手当てが受けられるなど直接の恩恵は少ないかもしれませんが、介護の現場で働く上で、医療の知識があるということは一定の評価を得られます。

また介護施設では、研修を受けた介護職員であればたんの吸引や経管栄養を行えられるようになるなど、現場で医療知識が必要となることも増えてきているため、こうした知識を身に付けることによって、自身の介護により自信をもって取り組むことができるでしょう。

高齢化が進むにつれ、今後はより医療依存度の高い患者・利用者も増えると考えられることから、医療・介護の両方の知識を持つ医療介護福祉士のニーズは高まっていくことと考えられます。

医療行為はできない

注意しておきたいのは、医療介護福祉士になったからといって、医師のような医療行為ができるというわけではないことです。

ただし、介護の利用者がどのような健康状態であるか、どのような症状を抱えているかを知ることは、介護の仕方にも大きな影響を与えます。

介護の現場では利用者と密に接することで、細かい体調の変化に気づくことも多いでしょう。

介護を担う人がしっかりとした医療知識を身に付け、医師や看護師などの医療従事者と協力していくことで、適切な処置やサービスの提供につながっていくことが期待されます。