家具職人の種類

家具職人にも専門分野がある

一言に家具職人といっても実はいくつかの種類に分かれています。

どの家具でも一通り製作することのできる家具職人ももちろんいますが、それぞれの得意分野に特化した家具製作を行い、売り上げを伸ばしている職人が多いのが正直なところです。

たとえば、いわゆる箱物の家具を専門としている職人は食器棚や下駄箱、本棚等に限定して生産を受注することで実績を作っています。

木工技術だけなく布張りの技術等にも長けている家具職人は椅子やソファ等に限定して生産を請け負い、その強みを生かします。

その他、スチール家具専門、ガラス家具専門など、木材以外の材料に限定した製品を作っている家具職人もいます。

これは他の工房との差別化を図り、独自性を打ち出して顧客を獲得するための戦略であるともいえるでしょう。

家具製作に欠かせないパーツ職人

家具職人の中には家具の製作に必要なパーツを専門に製作している人もいます。

たとえば飾り付きの戸棚の取っ手や木枠等はそれだけで製作に長い時間を要します。そのため、一般的な家具職人とは異なる専門技術を持ったパーツ専門の職人がその製作を請け負っているのです。

また、パーツ職人は欠損したパーツの修繕を含めた家具の修理を請け負っている場合もあります。

パーツ職人の業務は家具そのものを製作する他の職人とは異なる部分が多いですが、家具製作には欠かすことのできない技術者です。

作り付け家具を専門にする人も

主に店舗や企業などの建設段階から現場に入り、作り付けの家具の製作を専門に行っている家具職人もいます。

たとえば、オフィスの壁収納や劇場にある観客用の椅子等は家具であることは間違いありませんが、建設と同時並行で制作を行う必要があります。

このような案件を専門とする家具職人は、建設に関わる他の職人と連絡を密に取り合い、連携して作業を行っています。

作り付け家具専門の職人は大工業に近い側面もあるため、工房に詰めて、黙々と作業する一般的な家具職人像とは少し離れるかもしれません。

小物の製作には女性職人も活躍

大がかりな家具ではなく、小さなラックやスツールなどの小物を得意としている家具職人もいます。

この場合、家具に限らず、食器や子供用のおもちゃなども手がけていることも多く、中には木工教室を併設している工房もあります。

小物の製作で活躍している職人の中には女性の姿も多く見られ、製品のデザイン性の高さが人気を集めています。

「先生」と呼ばれる職人とは

家具職人の中には職業訓練校や専門学校等の教育機関で木工技術の指導を担当する講師としての顔を持っている人もいます。

講師を務める職人はほとんどがベテランであり、自身の工房の経営等の傍らで出校している場合がほとんどです。

家具職人の世界には学歴が不要であるため、就職先の工房は学校であり、親方や先輩が講師の役割を担っているといっても過言ではありません。

自身が親方や先輩から学び、そして後輩に指導した経験を実際の学校現場で生かすことのできる講師という立場は家具職人にとってやりがいのあるものであるといえます。

はじめは「見習い」からスタート

どの種類の家具職人を目指すにしても、奉職して最初の5年前後は皆、見習いという立場で勤務することになります。

見習いの本分はとにかく一通りの技術を習得し、一人で作業できるようになることです。

職人としての心構えに始まり、工房の清掃等などの雑務や電話番等の事務作業などを行います。

はじめのうちは実務に携われることが少ないですが、将来的に独立した場合、これらを含めたすべてを個人で行わなければならないため、家具職人を目指す上では大切な修行の一つといえます。

さまざまな業務をこなしながら、段階的に木工技術を学び、一人前の家具職人を目指します。

修行中の5年間は、どの種類の家具職人を目指す上でも共通して重要なことを学ぶ期間です。

給与も食べていくのがやっとであり、休日は技術向上のために充てることも多く、娯楽を楽しむ余裕はほとんどありませんが、その分、集中してモノづくりに打ち込める期間であるといえるでしょう。

経営者としての役割

親方として、その工房を統率する立場に当たる職人は経営者として、工房の収支等も計算しながら戦略を立てていく役割も担っています。

その際、必要に応じ、工房の代表者として営業等の対外的な活動を行う場合も生じます。

また、自分の技術向上のみならず、弟子達の教育にも力を入れなければなりません。もちろん、従業員の安全管理も重要な職務のうちです。

どのタイプの家具職人にも共通することですが、親方ともなると、職人と経営者、教育者といずれの側面もそつなくこなす能力が要求されるのです。