仕事体験談 良い物を誠実に作っていれば必ず報われる 回答者 : クラフトワーカーさん(男性/48歳) 職業名 : 家具製造業 家具職人現在の状態 : 経験者経験年数 : 22年 仕事内容 大学卒業後、広告制作会社に就職しましたが、カタチある物が作りたく退社して、家具の産地である静岡市で家具製造業に就いていました。 会社の規模は5人程度の零細気企業であり、家具の世界では普通の規模です。 仕事内容はマンションや個人住宅、商業施設の注文家具を作ることであり、最初は見習いとして入社しました。 私の場合は職業訓練校の木工科を出ていたこともあり、見習い期間は1年程度でした。 見習い期間の初めは職人の補助的な仕事や、完成した家具の現場への搬入・取付、掃除やお茶くみの雑用仕事でした。 1年を過ぎた頃、図面を渡され簡単な箱物、八百屋の陳列棚を作りました。 現在の家具業界では使うのは木工機械が主であり、昔みたいにカンナやノミは使うことは少なくなっています。 そのため、仕事終わりに残って刃物を研いだり、カンナ掛けをする訓練は欠かせません。 家具と言っても箪笥などの箱物、椅子など脚物があり、それぞれ製作法や材料などが違うものであり、また、使用する木工機械も違ってきます。 私はすべての製作方法や材料、木工機械に通じて、どんな物でも作れる家具職人になりたかったので、その後、指物家具会社や和家具製造会社など3社、15年を経て独立しました。 仕事のやりがい 手間が掛かり、複雑な加工がある家具などは普通の家具製造会社ではやりたがらないものです。 私は自分の興味ある家具や加工方法なら、金額や納期に引き合うと思えば引き受けます。 以前、オープン間近のホテルの天井に埋め込む、直径1メートルの半円状照明ボックス製作が上手くいかないので、やってくれないかと頼み込まれました。 天井に埋め込むので内装より早くしなければならず、時間も押していることもあってどこの会社でも断られたそうです。 大きな円を半分に切断したような形状で加工はとても難しいと思いましたが、なんとか培った技能と経験で作り上げて皆に感謝されたことがありました。 そういう時にこの仕事のやりがいを感じます。 覚悟しておいた方がいいこと 給料は世間の平均よりはかなり悪いです。 家具などの趣味趣向品は不況になれば真っ先に売れなくなるものであり、安い外国産などの競合品も多くあります。 力仕事であり、頭脳仕事でもあります。 集中力と記憶力が必要で、木工機械によるケガなどの危険性もあります。 そうは言っても、一から物を作り上げる喜びはそうしたものを超えることがあります。 また、職人芸であり、一旦身に付ければ、外国でもどこでも体が動ける限り働けるものです。 給料・待遇 20年以上前、静岡で働いていた時、26才入社で給料は18万円、ボーナスは最初はたばこ銭程度、1年目以降は年2回、それぞれの年に変動がありましたが、給料2か月分程度だったと覚えています。 年収で言えば入社当時が200万円、10年後に退社する時は月収32万円、手取りで28万円前後、年収で380万程度だったと思います。 社会保険完備、交通費、道具手当などがありました。 職人歴40年50年という方でも、直接聞いたことはありませんが自分とそれほど変わらないのではと思ってました。 独立した現在は親が残した自宅で工房を持って6年になりますが、年収は300~450万円の間に納まっています。 この職業の恋愛・結婚事情 自分もそうですが口下手で恋愛に消極的な性格の人が多く、派手な恋愛は周囲ではしていなかったと思います。 格好よく言えば自分の腕をどう磨くということに夢中で、恋愛より仕事を取るという傾向があるのではと思います。 その一方、最近はハンドメイドの仕事のブームみたいのがあり、雑誌やテレビなどで取り上げられている職人はイケメンで口も上手な人が多いのでは感じています。 若い女性もこうした職業や職人に興味がある人も増えているらしく、そういう人と恋愛をしているという話も聞きます。 この職業を目指す人へのメッセージ 木工機械やカンナ、ノミなどを駆使して何もないところからカタチある物を作るのは大変ですが大変にやりがいのある仕事です。 日本の木工技術は世界の誇るべきのものであり、ネットで世界が身近になった現在では世界から注目をされています。 他の職業に比べて確かに金銭的な見返りは少ないですが、悪い物は作らないという職人の誇りと自信は持てます。 これからの世界は物心共に「質」を求めていく社会だと思うので、良い物を誠実に作っていれば必ず報われると信じています。
会社の規模は5人程度の零細気企業であり、家具の世界では普通の規模です。
仕事内容はマンションや個人住宅、商業施設の注文家具を作ることであり、最初は見習いとして入社しました。
私の場合は職業訓練校の木工科を出ていたこともあり、見習い期間は1年程度でした。
見習い期間の初めは職人の補助的な仕事や、完成した家具の現場への搬入・取付、掃除やお茶くみの雑用仕事でした。
1年を過ぎた頃、図面を渡され簡単な箱物、八百屋の陳列棚を作りました。
現在の家具業界では使うのは木工機械が主であり、昔みたいにカンナやノミは使うことは少なくなっています。
そのため、仕事終わりに残って刃物を研いだり、カンナ掛けをする訓練は欠かせません。
家具と言っても箪笥などの箱物、椅子など脚物があり、それぞれ製作法や材料などが違うものであり、また、使用する木工機械も違ってきます。
私はすべての製作方法や材料、木工機械に通じて、どんな物でも作れる家具職人になりたかったので、その後、指物家具会社や和家具製造会社など3社、15年を経て独立しました。
私は自分の興味ある家具や加工方法なら、金額や納期に引き合うと思えば引き受けます。
以前、オープン間近のホテルの天井に埋め込む、直径1メートルの半円状照明ボックス製作が上手くいかないので、やってくれないかと頼み込まれました。
天井に埋め込むので内装より早くしなければならず、時間も押していることもあってどこの会社でも断られたそうです。
大きな円を半分に切断したような形状で加工はとても難しいと思いましたが、なんとか培った技能と経験で作り上げて皆に感謝されたことがありました。
そういう時にこの仕事のやりがいを感じます。
家具などの趣味趣向品は不況になれば真っ先に売れなくなるものであり、安い外国産などの競合品も多くあります。
力仕事であり、頭脳仕事でもあります。
集中力と記憶力が必要で、木工機械によるケガなどの危険性もあります。
そうは言っても、一から物を作り上げる喜びはそうしたものを超えることがあります。
また、職人芸であり、一旦身に付ければ、外国でもどこでも体が動ける限り働けるものです。
年収で言えば入社当時が200万円、10年後に退社する時は月収32万円、手取りで28万円前後、年収で380万程度だったと思います。
社会保険完備、交通費、道具手当などがありました。
職人歴40年50年という方でも、直接聞いたことはありませんが自分とそれほど変わらないのではと思ってました。
独立した現在は親が残した自宅で工房を持って6年になりますが、年収は300~450万円の間に納まっています。
格好よく言えば自分の腕をどう磨くということに夢中で、恋愛より仕事を取るという傾向があるのではと思います。
その一方、最近はハンドメイドの仕事のブームみたいのがあり、雑誌やテレビなどで取り上げられている職人はイケメンで口も上手な人が多いのでは感じています。
若い女性もこうした職業や職人に興味がある人も増えているらしく、そういう人と恋愛をしているという話も聞きます。
日本の木工技術は世界の誇るべきのものであり、ネットで世界が身近になった現在では世界から注目をされています。
他の職業に比べて確かに金銭的な見返りは少ないですが、悪い物は作らないという職人の誇りと自信は持てます。
これからの世界は物心共に「質」を求めていく社会だと思うので、良い物を誠実に作っていれば必ず報われると信じています。