化学メーカー社員の年収はいくら? 給料についてくわしく解説

化学メーカー社員の平均年収・給料の統計データ

化学業界は日本の基幹産業を支える分野であり、経済的にも技術的にも期待値が高いといえます。

業界としても安定したイメージがあるため化学メーカーは就職先としても人気が高く、福利厚生の充実だけでなく給料面でも充実しているイメージがあります。

ここでは大手化学メーカーを中心に化学メーカー社員の給与や年収の実態を紹介していますので、業界研究の参考にしてください。

なおここでいう大手とは、みずほ銀行が行っている産業調査書に記載されている、三菱ケミカルホールディングス、住友化学、旭化成、三井化学、東ソー、昭和電工の6社を指しています。

化学メーカー社員の平均年収・月収・ボーナス

大手6社の給与を各社の有価証券報告書を参考に見ていきます。

有価証券報告書によると、6社の平均年収は約880万円でした。

東京商工リサーチが調査・発表した2020年3月期決算の上場企業の平均年収は約630万円となっており、250万円も高いのが分かります。

さらに国税庁が発表している民間企業の平均年間給与は約440万円となっており、化学メーカー大手は倍の年収を得ていることになります。

なお、月収に関しての情報は公表されていないため金額は不明ですが、年収から推測すると一般的な月収よりもかなり高めと推測できます。

なお、有価証券報告書は、三菱ケミカルホールディングス、住友化学、旭化成、三井化学、東ソーは2020年3月期、昭和電工は2019年12月期を参照しています。

参考:東京商工リサーチ 「上場企業1,803社の平均年間給与」調査 2020年3月期決算

参考:国税庁 平成30年分民間給与実態統計調査結果について

化学メーカー社員の初任給はどれくらい?

年収が高めなので新卒の給料待遇もよいのではと、これから目指す人は期待するかもしれません。

気になる初任給について、大手6社のうち採用サイトを確認してみました。

化学メーカーは専門知識を有した人材が求められるため、新卒の場合は学士、修士などで初任給が変わる場合がほとんどです。

その上で、大手6社が公表している学部卒以上の初任給平均は約25万円でした。

さらに細分化して紹介すると、多くの場合は学部卒、修士了、博士了に分けられ、それぞれ初任給が違う特徴があります。

学部卒の平均は約22万円、修士了の平均は約24万円、博士了の平均は約29万円となっています。

当然ながら博士了が一番高く、メーカーによっては初任給で月収30万円を超えている企業もあります。

参考までに大手6社、それぞれの初任給を紹介しておきます。

■三菱ケミカルホールディングス
高専(本科)卒:208,200円
学士・高専(専攻科)卒:232,900円
修士:243,500円
博士:289,200円

■住友化学
学部卒:234,800円
修士了:257,100円
博士了:296,000円

■旭化成
高専(本科)卒・専門学校卒:191,260円
高専(専攻科)卒・大学学士卒:200,610円
修士了:222,370円
博士了:291,510円

■三井化学
博士了:292,500円
修士了:249,500円
学士卒:231,500円

■東ソー
学部卒:都市地区226,444円/工場地区216,692円
修士了:都市地区243,799円/工場地区233,300円
博士了:都市地区270,304円/工場地区258,664円

■昭和電工
学部卒:230,000円
修士了:250,000円
博士了:308,000円

ちなみに厚生労働省が公表している民間企業の学歴別初任給では修士了が約23.9万円、学部卒が約21万円です。

初任給だけを比較してみると化学メーカー社員の初任給は平均並みといえますが、年収平均では大きく民間企業平均を上回っているので、経験と年数を重ねることで給与面での待遇も高くなるといえるでしょう。

化学メーカー社員の福利厚生の特徴は?

日本の基幹産業として、業界的・将来的とも安定している業界であるため福利厚生も充実しており、社員としても安心して働ける要素でしょう。

健康保険や厚生年金、労災保険や雇用保険といった各種保険制度が整っているのはもちろん、大手メーカーになると寮や社宅の完備、全国各地のリゾート施設利用、財形貯蓄、従業員持株会制度なども用意しています。

また、直接的な福利厚生ではありませんがワークライフバランスに力を入れている企業も多くなっています。

例えば、育児・介護支援サービスとの法人契約、保育園の開設、在宅勤務の活用、特定曜日の半休サポートなどがあります。

働き方改革が進み、多様な働き方を実現するための取り組みは今後も継続していくと考えられます。

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化学メーカー社員の給料・年収の特徴

紹介した通り、大手化学メーカー6社の平均年収は約880万円で、一般的な平均年収よりも250万円も高く、金銭面での待遇はよいのは確かです。

しかし大手6社の中でも平均年収には開きがあります。

一番高いのは日本国内最大手となる三菱ケミカルホールディングスの約1,166万円で、一番低かったのは旭化成の約770万円でした。

6社の中でも400万円近くもの開きがあり、業界全体で見ればさらに開きがあると予想できます。

しかし、旭化成の平均年収だけ見ても民間企業の平均年収である約440万円よりも300万円以上高いです。

化学メーカーは生活や経済に必要となる素材や製品を扱っているほか、メーカーごとに独自性を持っているので競争も少なく、世の中が変化しても業績が劇的に落ち込むことはあまりないようです。

そのため化学業界は比較的待遇がよく、給与水準も高めとなっているようです。

代表的な化学メーカーの年収・特徴

会社名 平均年収 平均年齢
三菱ケミカルホールディングス 1,165万円 47.5歳
住友化学 890万円 40.9歳
旭化成 769万円 41.8歳
三井化学 847万円 40.9歳
東ソー 806万円 39.1歳
昭和電工 815万円 40.1歳

出典:2020年現在(各社有価証券報告書より)

三菱ケミカルホールディングスの特徴

国内最大手の総合化学メーカーで、機能商品、素材、ヘルスケア分野において強みを持っています。

環境・社会課題の解決に貢献し、持続可能な社会を築くためのグループコンセプト「KAITEKI実現」を掲げ事業に取り組んでいます。

住友化学の特徴

海外事業にも積極的で石油化学はシンガポールやサウジでも合弁展開しているほか、医薬品、農薬、電子材料などの分野にも強みを持っています。

旭化成の特徴

マテリアル、住宅、ヘルスケアの3つのセグメントをメインに事業展開しているほか、繊維、電子部品など多様性のある事業展開を行っています。

三井化学の特徴

モビリティ、ヘルスケア、フード&パッケージング、次世代事業/新事業開発、基盤素材の5つの事業領域に力を入れ、長期的な取り組みを行っています。

東ソーの特徴

塩ビ・苛性ソーダ分野に強みを持ち、免疫診断装置・試薬や触媒、歯科材料など機能商品の強化も図っています。

昭和電工の特徴

黒鉛電極、ハードディスク外販、電子材料用ガス、アルミなど幅広い事業展開が特徴で、特に黒鉛電極、ハードディスクでは技術・品質面で優位性があります。

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化学メーカー社員が収入を上げるためには?

専門性の高い化学メーカーとはいえ経験と実績を積み、地道な努力を続けて社員としての等級を上げたり、役職に就いたりするしか道はないでしょう。

例えば総合職として入社し、最初は研究者として業務を続けていたとしても、企画営業やプラントでの管理業務を命じられる可能性もあります。

会社としては多様な業務を経験させることでキャリアを積んでもらい、将来的に会社を支えられる人材になってほしいという考えもあるでしょう。

そうした積み重ねが評価につながり、結果的に給料を上げることにもつながります。