樹木医の役割

樹木のお医者さん

樹木医の主たる役割はその名の通り、樹木の診断・治療を行ういわば「樹木のお医者さん」。

仕事の依頼の多くは、地方公共団体から来る街路樹などの診断と治療です。また、天然記念物に指定されているような歴史ある樹木の定期的な健診を行ったりもしています。

最近では造園業務の一環として、民家の庭木の相談に応じるケースも増えつつあります。

樹木は、1.該当の樹木そのもの、2.病原、3.環境の関係が悪化すること、で機能不全の状態に陥ります。

したがって、依頼を受けたら、まず、該当の樹木がどうして病になったのか、この3つの観点から診察します。

原因が分かったら、生物学的、生態的、経済的な観点で治療方法を検討します。

生物学的に考えるには、病気の原因となる前述の3つの関係をよく理解することが必要です。

その上で病気を治すために薬を撒いたとしても生態的に考えて適切かどうかも考慮しなくてはいけません。

これらを調べた上で、機能不全になってしまった樹木を健康的に生育していく手助けができるのは高度な専門的知識を持つ樹木医にしか果たせない役割であるといえます。

新たな命を守り育てる

樹木医が扱うのは疾病にかかってしまった樹木だけではありません。それまで緑がなかった場所に新たに樹木を育成するプロジェクトに携わることもあります。

いわゆる都市計画にも召集されることがあるということです。

あらたに緑地を造成する場所の気候や地形を加味し、どのような種類の樹木をどのくらいの本数育成するかを検討するのも樹木医の役割の一つです。

一度参加した計画には長期的に関わることも多く、その過程でトラブルが発生した時には主治医のような立場で対処していきます。

人と緑をつなげる

私たちは日々の生活において樹木から多くの恩恵を受けています。この地球上の生物全てが心身ともに緑に守られて生きているといっても過言ではないでしょう。

しかし、人々の生活環境の変化により、環境問題が議論されて久しく、樹木の生育にも悪影響を及ぼす事態も発生しています。

このような状況は樹木医などの専門家の力だけで何とかできるものではありません。

一人ひとりが正しい知識を持ち、行動することが必要不可欠なのです。樹木医はより多くの人に樹木に対する興味や関心を持ってもらうべく、樹木保護に関する知識の普及活動も行っています。

各種講演を行ったり、自然に関するワークショップを開いたりなど、一般の人との関わりを大切にしている樹木医が全国的に活躍しています。

後継者の育成

日本緑化センターが実施する樹木医資格審査に合格し、登録されている樹木医は平成26年12月現在で2,443名ほどです。この数は、全国的に見て、まだ十分であるとはいえません。

したがって、樹木医には後継者を育成するという役割もあります。

樹木医志望の学生向けに、大学や専門学校などの各種教育機関で教鞭をとったり、研修や講演を行ったり、新人樹木医を対象とした研修や日々の指導を行ったりと、ほぼ全ての樹木医が教育立場に立っているということができます。

木々を守り、育てることが一人の力では実現しえないことは前述のとおりです。

高度な専門知識を持つ樹木医の数を増加させることは地球規模の環境問題に取り組むためには必要不可欠なのです。