JICA職員の仕事とは? わかりやすく仕事内容を紹介

JICA職員の仕事とは

「JICA(独立行政法人国際協力機構)」は、国から提供されるODA(政府開発援助)を使用し、開発途上国を支援する外務省所轄の機関です。

JICA職員の仕事を一言で言えば「国際協力事業の総合マネジメント」といえるでしょう。

具体的には、JICAの「開発途上国支援プロジェクト計画」を立て、その実行に関わる機関や人材のマネジメントを適切に行いながら、プロジェクトをスムーズに進めていく役割をになっています。

あくまでもマネジメントに徹するのがJICA職員の仕事であり、JICA職員自身がプロジェクトの現場で実働することは基本的にはありません。

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JICA職員の業務の内容

技術協力

技術協力とは、日本特有の技術や知識を生かし、開発途上国の社会経済をになう人材を育成することです。

日本人の専門家を開発途上国に派遣して、相手国の行政官や技術者に必要な技術や知識を伝えたり、相手国から研修員を受け入れて知識や技術の研修を実施したりします。

最終的には、開発途上国の人々が自分たちの力で開発を行い、さまざまな問題を解決できるようになることを目指します。

有償資金協力

有償資金協力とは、低金利・長期返済などの緩やかな条件で開発途上国に必要な資金を貸し付け、相手国の発展への取り組みを支援することです。

貸し付けた資金によって道路や水道といった生活に欠かせないインフラ設備を整備し、人々の生活をより豊かにすることを目的としています。

有償資金協力は返済を前提とした資金援助であるため、日本にとっても財政負担が小さく、持続性のある支援手段といえるでしょう。

無償資金協力

無償資金協力は有償資金協力とは異なり、返済義務を課さずに資金を提供する援助手法です。

開発途上国のなかでもさらに所得水準の低い国を中心に実施され、提供資金はインフラ整備や病院の建設、学校の建設などに使われます。

無償資金協力によって建設された施設などが持続的に活用できるように、その運営・維持についての技術指導を行うケースもあります。

そのほかの援助・協力

そのほか、大規模災害や感染症の流行が起こったりしたときに援助隊を派遣する「国際緊急援助」や、両国の大学・研究機関などが連携して共同研究を実施する「科学技術協力」などの業務もあります。

JICA職員はこれらの業務について地域や専門分野別に担当を振り分けられ、自身が担当する開発途上国の発展に向けてさまざまなプロジェクトを推進しています。

JICA職員の役割

JICA職員はこのような国際協力事業を通じて、日本社会においてどのような役割を果たしているのかを確認しておきましょう。

グローバル化が進むにつれて、国同士の依存度は昔よりも高まっているといわれています。

とくに日本のように資源や国土に乏しい国の場合は、エネルギーや食料などに関する他国への依存度はとくに高いといえるでしょう。

そういった事情があるなかで、JICAが開発途上国に技術や資金を提供し国際社会での存在感を高めていくことは、日本社会にとって非常に重要な戦略といえるのです。

JICA職員は開発途上国の発展への貢献はもちろんですが、日本の利益を背負って国際戦略を実行する役割をになっていることも理解しておく必要があるでしょう。

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JICA職員の勤務先の種類

JICA職員の勤務地は、本部(東京)、国内拠点(15か所)、海外拠点(約90か所)のいずれかです。

国内拠点については、北海道、宮城、福島、茨城、東京、神奈川、長野、愛知、石川、兵庫、広島、香川、福岡、沖縄にあります。

一方海外拠点については、アジア、大洋州、北米・中南米、アフリカ、中東、欧州の各地域に点在しています。

参考:JICA 国内のJICA拠点

参考:JICA 海外のJICA拠点

JICAでは職種・勤務地を指定した採用は行っておらず、全員が総合職として、上記の国内拠点もしくは海外拠点のいずれかで勤務することになります。

なお、入職後は2~4年ほどのペースで異動があり、海外赴任は必須です。

JICA職員の仕事の流れ

JICA職員は、開発途上国の発展のために力を尽くすことが求められます。

日本国民の税金を基盤とするODA(政府開発援助)を予算として支援プロジェクトを作成し、日本の代表として各国の政府高官などと交渉を重ねます。

最終目標は、支援プロジェクトを通じて支援先の国に発展をもたらすことです。

各プロジェクトには大勢の人が関わるため、関係者のマネジメント上で予期しないトラブルが発生したり、思うように計画が進まなかったりすることも多々あるでしょう。

そうしたなかで各関係者と密に連絡を取り、進行管理をとどこおりなく行うことがJICA職員の果たすべき職務といえます。

JICA職員と関連した職業

JICAと関連した職業として「青年海外協力協会(JOCA)」についてみていきましょう。

青年海外協力協会とは、日本が行う政府開発援助の一環として、JICAが実施する海外ボランティア派遣制度のことです。

参考:JICA 海外協力隊

ボランティアといっても無給で働くわけではなく、現地の生活費として一定の手当が支給されます。

元々は「20~39歳まで」といった年齢制限がありましたが、2018年にその制限は廃止され、現在は69歳まで応募可能です。

青年海外協力協会の活動内容は派遣国・職種によってさまざまで、たとえば地方の小さな村に対する生活改善の支援や、農家に対する家畜の飼育方法のアドバイスなどを行います。

JICAにはどのような部門があるのか

JICAでは仕事内容が部門別に分けられています。

それぞれの部門と、各部門のおもな仕事内容は以下のとおりです。

<地域部>
国・地域を担当し、プロジェクト計画の作成や審査を行う。

<課題部>
平和構築や産業開発、地球環境など、さまざまな課題に対してプロジェクトの企画立案やモニタリングを行う。

<民間連携事業部>
民間企業のビジネス案件やCSR活動との連携を図る。

青年海外協力隊事務局>
海外ボランティア事業に関する募集や選考、派遣を行う。

<国際緊急援助隊事務局>
自然災害発生時などに国際緊急援助隊の派遣や物資の調達を行う。

<サポート部門>
現地で必要になる人材や機材などを整え、事業を支える。

<組織運営部門>
総務や人事、財務など、組織の全体調整を行う。

<研究所>
学問的な立場から、「平和と開発」「成長と貧困削減」「環境と開発/気候変動」「援助戦略」の4つを重点項目として研究を進める。

<在外拠点(海外約90か所)>
支援国に長期在住し、関係者と調整を行いながらプロジェクトのプロセス管理を行う。

<国内拠点(全国15か所)>
開発途上国の行政官や研修員を日本に招き、専門分野について学んでもらう研修コースを実施する。

全員が総合職採用

JICA職員は新卒採用・社会人採用のどちらの場合でも、全員が人事異動や転勤を前提とした「総合職採用」となります。

JICAでは職員一人ひとりが組織の全体像を理解し、個々人の適性を見極めることを重要視しています。

そのため「地域部」や「課題部」などのプロジェクトマネジメントを主とした部門を希望していても、人事や経理といった「組織運営部門」に配属されるケースもあるでしょう。

なお、国内で2~3部署経験したあとは海外勤務を命じられるのが一般的です。

マネジメント職と研究職

JICAの職種を大きく「マネジメント職」と「研究職」に分ける考え方もできますが、前述のとおり、JICAでは全員が総合職として人事異動や転勤を経験します。

しかし特定の分野について専門的な知識を持つ職員については、人事異動のなかで「国際協力機構 緒方貞子平和開発研究所(略称:JICA緒方研究所)(旧称:国際協力機構研究所)」での研究職として配属されるチャンスもあるでしょう。

参考:JICA 独立行政法人国際協力開発機構

研究所では実務に根差した研究が行われ、JICAの各業務や開発途上国の政策決定者などへのフィードバックを図ることを目指しています。

職種や部門に関する希望は提出できる

JICA職員は毎年、自身のキャリアプランを踏まえた異動先の希望を提出できます。

人事部は提出された希望を考慮したうえで、各職員の適性やこれまでのキャリア、組織全体の人員バランスなどをみながら異動先を決定していきます。

最初の配属場所が希望とは違う部門であったとしても気落ちする必要はありません。

希望分野における高い専門性や知識を育ててアピールしてくことで、その後の配属で自身の理想とするキャリアプランを実現できる可能性があります。