グラウンドキーパーの仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

「グラウンドキーパー」とは

グラウンドキーパーの仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

グラウンド整備を行い、スポーツ選手が最高のパフォーマンスを発揮できる環境を整える。

グラウンドキーパーは、野球場やサッカー場などの競技場において、グラウンド整備を行う仕事です。

試合前に土のグラウンドを平らにならしたり、芝を刈ったり、規則に沿ってラインを引いたりし、選手が最高のパフォーマンスを発揮し、安全にプレーできる環境を整えます。

グラウンドキーパーに就くうえで特別な資格は必要ありませんが、整備の際にはグラウンド状態を見極める必要があるため、きめ細やかさを持つ人が望まれます。

また、スポーツ経験がある人も活躍しやすいでしょう。

チームの職員や競技場によって委託を受けた専門業者の社員、あるいは自治体の職員として働く人が多く、給料の相場は一般的な会社員と同等といわれています。

グラウンドキーパーはスポーツ界を支える重要な存在ですが、競技場の施設が限られていることもあって、新規採用はあまり多くありません。

「グラウンドキーパー」の仕事紹介

グラウンドキーパーの仕事内容

スポーツをするグラウンドの整備をする

グラウンドキーパーの仕事は、野球場やサッカー場などのスポーツ会場にて、グラウンドの整備を行うことです。

グラウンドには「土」や「芝」があり、よい状態を保つためには適切な手入れが欠かせません。

試合直前にはグラウンドを平らにならしたり、芝を刈ったり、規則に沿ってラインを引いたりして準備をします。

グラウンド状態は、その日の天気に大きく左右されますし、気象条件によっても微妙に変化します。

野球場なら試合当日の天気に合わせて土を硬くしたり、柔らかめに仕上げたりと微調整もします。

また、サッカー場なら、芝の状態がプレーにまで影響します。

速いパス回しを得意とするサッカーチームのスタジアムなら、少しでもボールの転がりをよくするため、ピッチの芝を短く刈り込んだりもします。

選手がよいパフォーマンスを発揮できるように働く

グラウンドキーパーの役割は、選手たちが試合で最高のパフォーマンスを発揮できるように、競技場の細部にまで目配りしながらグラウンドを整備することです。

選手のように目立つ存在ではありませんが、選手のベストパフォーマンスの裏には、必ずグランドキーパーの活躍もあります。

グラウンドの状態によっては、選手のケガにつながる可能性もあるため、非常に強い強い使命感と責任感が求められる仕事です。

グラウンドキーパーになるには

専門業者への就職、チームの職員になるなど

グラウンドキーパーになるのに、とくに必要な資格はありません。

グラウンドキーパーは、競技場ごとに委託を受けた専門業者(企業)の社員だったり、ホームチームの職員だったりすることが多いです。

専門業者ならその企業に、球団職員ならその球団に採用される必要があります。

一般的に、グラウンドキーパーの仕事では、特別な学歴や資格が求めれません。

まずは、自分にとって興味がある、もしくは何度か行ったことがある競技場のグラウンドキーパーの採用情報を調べてみるとよいでしょう。

採用人数はあまり多くない

グラウンドキーパーの採用についての例を挙げると、甲子園球場の整備で有名な阪神園芸は、「新卒採用」と「キャリア採用」を行っています。

新卒採用の場合、大学や専門学校などの卒業見込み者、キャリア採用は実務経験のある人が対象で、筆記試験と面接によって合否が判定されます。

全体として、グラウンドキーパーはあまり求人数が多くなく、新規の募集がほとんどない年もあります。

この職を強く志望している人は、できるだけ早い段階から、各社がどのような求人を出しているのか、こまめに情報を調べ続けることをおすすめします。

グラウンドキーパーの学校・学費

学歴不問で就職できる企業が多い

グラウンドキーパーは、学歴が求められないことがほとんどです。

体を動かして働く仕事になるため、スポーツやアウトドアが好きな人、とにかく仕事に対する熱意がある人が歓迎される傾向です。

グラウンド整備に必要な知識やスキルは、入社後にイチから学んでいくことができるため、事前に専門的なことを学んでおく必要はありません。

ただし、企業によってはグラウンド整備以外の事業も展開していることがあります。

そういった企業では、大卒以上などの学歴が求められることもあるため、事前に確認しておきましょう。

グラウンドキーパーの資格・試験の難易度

普通自動車運転免許が必要になることも

グラウンドキーパーの仕事をするために、特殊な資格は必要ありません。

ただし、仕事場となる競技場へは車移動をすることが多いため、「普通自動車運転免許」は求められることが多いです。

学生時代の時間があるうちに取得しておくとよいでしょう。

グラウンドキーパーの給料・年収

正社員として雇用されれば安定した収入が得られる

グラウンドキーパーは、グラウンドの整備業を営む企業や団体の社員として給料をもらいます。

給料・年収の額は所属先の企業によって異なりますが、一般的な会社員の金額とそこまで大きくは変わりません。

若手のうちから月給20万円~30万円ほどは見込めるでしょう。

ただし、実務を通してスキルアップしていく技術職でもあり、新卒者や未経験からのスタートになる場合、入社後数年ほどは、あまり高い収入が得られない場合もあります。

また、企業によって、正社員として採用されるケースと、契約社員やアルバイトからのスタートになるケースがあり、その違いでも収入差が出てきます。

待遇や福利厚生は企業によって異なる

待遇・福利厚生については、昇給や賞与、社会保険完備、時間外手当、交通費支給などは整っている企業が多いです。

大手企業では、さらに多様な福利厚生が用意されていることもあります。

グラウンド整備とあわせて造園や土木関連の事業を展開している企業では、関連する資格を有することで資格手当がついたり、基本給がアップしたりすることもあります。

グラウンドキーパーの現状と将来性・今後の見通し

スポーツ界を支える重要な存在

グラウンドキーパーは、現在のスポーツ界では、グラウンドを整備するだけではなく、勝敗や戦術にまで大きく関わる貴重な存在になっています。

チーム戦術や選手の特徴に合わせたグラウンドを作れるグラウンドキーパーは尊敬もされ、プロ選手を支える裏方としてマスコミに取り上げられることもあります。

しかし、競技場の施設は限られており、グラウンドキーパーの人数自体が多くありません。

また、この仕事は経験を積むことで熟練していくこともあって、長く務める人が多く、新規採用があまり多くないのが現実です。

とはいえ、全国にはまだまだ整備の行き届いていない競技場がいくつもあります。

スポーツ人気が高まり、そうした競技場をしっかり管理・運営する動きが強まれば、グラウンドキーパーの働き場所も増えていくはずです。

グラウンドキーパーの就職先・活躍の場

グラウンド整備の専門会社や競技場、スポーツチームなど

グラウンドキーパーのおもな就職先は、グラウンド整備業を営む専門企業です。

造園や土木系の企業が、事業のひとつとして競技場から委託を受けてグラウンド整備を行っている場合があります。

甲子園球場の整備といえば阪神園芸株式会社といったように、地方の企業でも、地元の特定の競技場とのつながりが強く、安定的に事業を営んでいるところが存在します。

このほか、スタジアムの運営元の企業の社員として直接雇用されて働くケース、スポーツチームの職員の一人としてグラウンドキーパーの仕事をする例もあります。

グラウンドキーパーの1日

試合当日は試合の動きに合わせて仕事をする

グラウンドキーパーの1日の動きは、試合がある日とない日、またシーズンオンとオフなどでも変わってきます。

たとえばプロ野球のナイターゲームがある日は、午前中からグラウンド全体の土や芝の状態を確認。

土であれば車両機械を使ってならし、芝であれば適宜刈り込みを行っていきます。

天気や気温によっても整備状態を変える必要があり、まさに熟練の技が問われます。

試合が始まってからは、3回裏・5回裏・7回裏で整備をしますが、試合再開までの時間の目安が設定されているため、のんびりとやるわけにはいきません。

試合中に雨が降って一時中断した際にはシートを敷き、なるべくよい状態で速やかに試合続行できるように管理し、試合再開前には再度土を入れるなどしてグラウンドを整えます。

グラウンドキーパーのやりがい、楽しさ

グラウンドを美しく保ち、スポーツ業界や選手を支えていくこと

グラウンドキーパーにとってのやりがいは、自分が関わるグラウンドを常に美しい状態に保ち、人々に愛される場をつくりあげることです。

グラウンドが良好な状態になっていて、初めて選手たちは全力でプレーができます。

グラウンド全体を見守り、管理する存在として、大きな誇りと責任を感じながら働くことができます。

精一杯仕事に取り組んでいると、選手から「今日のグラウンドはすごくよかった」などと声をかけてもらえることもあり、うれしい気持ちになります。

スポーツ現場の最前線で活躍し、スポーツ業界を支えている喜びも味わえます。

グラウンドキーパーのつらいこと、大変なこと

見えないところできめ細やかな仕事ぶりが求められる

見えないところできめ細やかな仕事ぶりが求められる

グラウンドキーパーに向いている人・適性

繊細な感覚を持ち、ちょっとした変化にも気づける人

グラウンドキーパーに向いているのは、まず繊細な感性をもつ人です。

1年を通じて緑の芝を維持するには、芝のほんのわずかな変化もキャッチしながら慎重に育てる必要があります。

また、芝やグラウンドの乱れが勝敗を左右したり選手のケガにつながったりするため、わずかな乱れにも敏感に気づけることが重要です。

さらに、どちらかといえば、スポーツ経験のある人の方が向いています。

たとえば、野球場の整備で一番難しいのはマウンドです。

マウンドの作りを変えたことで投手成績がアップした球団もありますし、先発投手によってマウンドの硬さを変えている球団もあります。

グラウンド状態とプレーの密接な関係をしっかり理解するには、競技経験がある方が有利でしょう。

もちろん競技経験がなくても、繊細な感性があれば、仕事をしながら理解を深めていくことは可能です。

グラウンドキーパー志望動機・目指すきっかけ

野球やサッカーなどのスポーツ経験者が多い

グラウンドキーパーを目指す人は、野球やサッカーなどの経験者が多いです。

そういった人にとって、「グラウンド」はものすごく身近な存在です。

実際にグラウンドのコンディションによってプレーが左右された実感があったり、競技場の整備をしてくれるスタッフの存在にありがたみを感じたりした経験が、この仕事を志すことにつながるのでしょう。

また、もともとは選手を目指していた人が、どこかのタイミングで選手になることはあきらめ、それでもスポーツに関わりたい、裏方として選手を支えたいと、グラウンドキーパーを目指す例も少なくありません。

グラウンドキーパーの雇用形態・働き方

正社員、契約社員、アルバイトとしての採用が多い

グラウンドキーパーは、グラウンド整備業を営む企業に正社員として雇用されるケースが多いです。

正社員の場合、所属先企業によってはグラウンド整備以外(例:造園関連、土木関連)の部門に配属される可能性もあります。

確実にグラウンドキーパーとして働きたい場合には、その旨が確約されている企業への就職を目指すほうがよいでしょう。

このほか、未経験者は契約社員もしくはアルバイトとして採用され、働きぶりや熱意が認められると、正社員にステップアップできるかたちをとっている企業もあります。

グラウンドキーパーの勤務時間・休日・生活

試合以外の日にやることも多い

グラウンドキーパーの勤務時間は、担当する競技場のスケジュールにも左右されます。

屋外施設の場合、試合の数日前から、当日の天気予報に合わせてグラウンドの準備が始まります。

試合当日は、ナイトゲームでも朝から出勤します。

その日の気象条件に合わせて最終調整をした後、試合前練習の準備をします。

試合中もグラウンド状態を見守りながら待機し、途中でグラウンド整備をしたり、不測の事態に備えます。

試合が終了すると後片付けや整備をするため、試合当日は朝から夜遅くまでの勤務になります。

試合のない日でも芝の修復をしたり、マウンドの補修をするなど作業はたくさんあります。

さらに、シーズンオフは芝の養生や人工芝の張り替え、土の入れ替えなど1年を通して忙しいです。

地震や台風などで被害が出れば、競技場に泊まり込んでグラウンド状態や芝の復旧作業を行うこともあります。

グラウンドキーパーの求人・就職状況・需要

求人はあまり多くないが、アルバイトや契約社員の募集も

グラウンドキーパーに限った採用は、決して多いわけではありません。

グラウンド整備業を手掛ける企業やスポーツチームの職員として採用され、競技場の整備を担当する部署に配属されることが多いです。

しかし、必ず希望の部署に配属されとは限りません。

東京ドームを担当する「東洋ビルサービス」は、「人々が快適に過ごせる空間を維持する」会社として遊園地など他の施設の管理も請け負っていますし、一般のビルや店舗の清掃・管理なども行っています。

入社しても、必ずグラウンド整備部門に配属されるかはわかりません。

ただ、競技場によっては、グラウンドキーパーの補助員としてアルバイトや契約社員を雇っていることがあるため、まずはそういったかたちでチャレンジするのも一つの道です。

グラウンドキーパーの転職状況・未経験採用

学歴・経験不問で、誰でもやる気があれば挑戦できる

グラウンドキーパーは、なるために特別な学歴や経歴が求められる仕事ではありません。

実際に未経験者を対象とした中途採用の求人も出ており、誰でもやる気さえあれば採用される可能性のある職種といえます。

ただし、体力的な負担はそれなりにあるため、健康的であることが求められます。

また、熟練するまでには長い時間がかかるため、未経験からのスタートであれば、できるだけ若い人のほうが好まれるでしょう。