映画業界のしくみ
映画業界では、「配給」と「興行」という言葉が一般的に使われています。
私たちが普段、映画館やDVDなどで楽しんでいる数々の映画作品。しかし、それらの作品も、ただ作っただけでは多くの人が目にする形にはできません。
映画作品はしかるべき流通ルートに乗せ、映画館で上映するための手続きを行い、消費者である観客の元に届くようにする必要があります。
その間に立ってビジネスを行っているのが「映画配給会社」です。
「配給」と「興行」について
映画配給会社にとって、映画作品は「商品」となります。
映画配給会社が映画館から映画上映料金の一部を徴収し、映画という商品を販売することを「配給する」といいます。
より具体的にいうと、映画配給会社は映画という商品を買い、映画館に配ることや、映画を宣伝することをおもな仕事としています。
一般的に「映画会社」という際には、この映画配給会社のことを指すことが多くなっています。
一方、映画館が観客から入場料金を得て収入を得ることは「興行する」といいます。
映画配給の具体的な仕事
映画配給会社の仕事は、大きく以下の3つに分けることができます。
1. 買い付け
買い付けは、製作された映画を買う仕事です。
ただし「映画を買う」というのは、正確には映画を映画館で上映する権利や、DVDなどのパッケージ作品にする権利、あるいはテレビで放送する権利などの各権利を買うということを意味します。
ヒットしそうな映画を見極める力が求められます。
2. ブッキング
ブッキングとは、買い付けた映画を映画館に提供することです。
映画館には「チェーン」といわれる全国規模の興行網のほか、ミニシアターといわれる小さな映画館などさまざまな映画館があり、ブッキングの仕事ではどの映画館で映画を上映するのかを決め、交渉します。
3. 宣伝
映画をより多くの人に観てもらうためにPR活動を行います。
ひとくちに「宣伝」といっても、さまざまな方法があります。
たとえばポスターや予告編の製作、スターの来日記者会見や舞台挨拶、主題歌などのタイアップ、ノベルやキャラクター商品といったマーチャンダイジング、そのほか新聞やテレビ、雑誌などに出す広告もあります。